この制服思ったより恥ずかしいな!!
「………………へっ?」
何だよ?その素っ頓狂な返事は。
―――素っ頓狂か
最近使わねぇな
「ほらっ!手ぇ取れよ。こちとら尻餅をついている女性をそのまま立たせるような外道じゃないんだ」
紳士でもないが。
「え、あ、えっ……………あ、ありがとう」
はぁ、たく。
よっとっ!?
「そ、その、ごめんなさい。巻き込んじゃって。その、お、怒ってる?」
「あぁ。怒ってるよ?」
う〜〜む。紳士道を重んじる奴ならここは
「いや、そんな事はない。何故か? あなたの笑顔を、守れたからさ」
くらい言うのだろうが、悪いがこの俺にはそんな余裕は微塵もない!
そんな
「そこまで言わなくても!!」
なんて顔しても何とも思わんぞ!
思わんからな!
おも、……わ……
「あぁー、いや、嘘。あんま気にしてねぇから、気にすんな」
くそぉぉお!? 負けた!?
戦いに負けた!
女の涙は卑怯だ!? 女の武器を最大限に発揮しやがって!?
「本当?」
あぁぁぁあ!? 本当だよ!?
本当だから!? そんな泣きそうな顔はよしてくれ!?
「ああ。だから泣きそうな顔はすんな。俺が悪いことしたみたいじゃねえか」
「あ、うん。ごめんね」
ふう。
ようやく落ち着ける。
「あ、その。改めて、助けてくれてありがとう。ユウマ君、で よかったよね」
ふむ。
赤みがかった雪のようにふわっふわな白いポニーテールの髪に、薄い朱色の目。軽く、慎ましく笑みを浮かべる唇。身長は160センチ前半。3sizeはおそらく上から、80/58/83だろう。よくよく見るとなかなかに可愛い。ああ。勘違いしないで欲しいが惚れたりはしないぞ? いくらわりと顔が良くとも、こんなトラブルに俺を巻き込むような奴に惚れてやるほど俺は面食いじゃない!
「あ、あの……ユウマ、君? で、いいよね?」
「おぉお! え? あ、ああ」
おっと。いかんいかん。
「そっか。間違えたかと思ってビックリしちゃった。私は『小寺 春花』。宜しくね。ユウマ君」
「ん? 宜しく、ね?」
宜しくって、どゆ意味よ。
「えっ? だってその制服。私達同じ学校でしょ?」
え?
あ。確かに。女子の制服にこんなデザインのあったな。
薄い青のリボン。腕や腰あたりの丈が長い服。これも濃い青。
サイズちょっと合ってないんじゃないかと思われる手が覆われた袖。
スカートはちょっと短め。これは黒っぽいな。でも青っぽくもある。制服が何十種類もあり色も好きに選べるとはいえ、青にこだわりすぎだろ。
まぁ、全身真っ黒の俺が言えた義理じゃないか。
俺の場合もはや制服ってよりコートやマントに近いからな。
黒髪に黒い目。あとマントみたいな黒いロングコートに、黒いズボン。
うん、制服ってより魔導服だな。いや?魔法学院だからそれが制服か?
うむ。よくよく考えても真っ黒だな。もはや漆黒と言ってもいい。
おっ? 漆黒? 何? かっこいい! 何か勇者っぽい!!
いや……勇者っぽくはないな……
俺だといいとこ、悪の大幹部ってとこだろう……
悲しいことである。
というかよくわかったな。俺も意識しないとわからなかったのに。
ん? おい。
まさかお前。
同じ学校だから俺に頼ったのか?
まぁ、もう気にしてないけどさ!
もう終わった話だけどさ!
やっぱね。ほら、ね?
……気になるじゃん?
「え?
ああ、うん。そう。強い人だと思って………。あっ!? 違うよ? 別にユウマ君が弱いって言いたいわけじゃないよ?さっきも助けてもらったし!?」
気を使わせてしまった。
「ってそれどころじゃないよ! 早く入学式行かないと!!」
あ。ヤベッ。
ん?
いや、このまま遅れれば合法的に学校に行かなくて済む……か?
ハルカは突然俺の手を取ってくる。
「?」
勿論俺には意図がつかめない。
何?
「ほら、早くぅ」
「あ、ああ、っうおあ!!」
おわっとたった!急に引っ張るなって!!
「ほら走って走って!!」
「わかった! わかったから! 走るから!? 引っ張る手を離してくれぇぇえ!!!」
ふむふむ。異性と初の2人っきりの登校。こちらとしては大変ありがたいのですが……
手を引っ張っていくのはどうか勘弁して頂きたい。