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どうも!落ちこぼれの勇者です!!




……子供の頃から親父の姿に 勇者のあり方に、憧れていた……


将来は自分も親父のような世界を救えるような勇者になるのだと、夢見ていた………………


だがそれは、叶わない夢。俺は、皆が普通にできていることが出来なかった…………


努力を重ね、そして届かず絶望し、周りからは軽蔑・嘲笑う声……。それを乗り越えようとも、幾たび努力を重ねようとも、決して破れぬ壁が幾度となく立ち塞がる。

その度に折れる心を必至に震わせる。

そして再び絶望の地に堕ちる。


これを俺はどれだけ繰り返したんだろう?

あぁ、なんでだよ。なんで俺じゃダメなんだ!もう嫌だ!!なんで、なんで、なんで!……………くそぅ。俺に、力さえあれば……………





『逃げるのか?』




…………この言葉も何回聞いたかな?…………何がだよ。仕方がないじゃないか!皆んな自分の力が強いから、あんなことが出来るんだ!だけど、俺の力は…………





『諦めるのか?』





………………違う。


違う違う違う違う!?俺は!!勇者になれなかったかもしれないけど!!だけど! だけど!俺は………………………………




◇◆◇




「………………はっ!?」


はぁっはあっ…………!

……はあ〜。また、あの夢か。


「あ〜頭いってぇ〜…………」


あー眩しい。今日なんかあったけ?


ドゴンッ


「ぐぇ!?」


うわ痛った!つつつ。

ん?

あ〜今日入学式だったけ。

つうか


「あぁームッゴいなぁー……」


朝っぱらから、優しく揺すって起こしてくれる彼女の手……はなく、自立行動型ベットに叩き落とされ

待っているのは彼女の温かい朝ごはん……でもなく、チンされたコンビニ弁当って


「相変わらずだが俺の青春、ムゴすぎるよ〜」


そう言って俺はあくびを一つ、頭をかいて畳んで置いた制服に手を伸ばす。

意識は覚醒しきらずに目は半開きでだらしがねぇ。


はぁ〜家に篭って ゲームしてたい…………




◇◆◇




突然だが、あなたは『パーティ』というものをご存知だろうか?


『勇者』がいて、『魔導士』がいて、後は『格闘家』とか『狙撃手』とか、それらが1つの仲間の集まりとして、一緒に冒険したり、助け合ったりするのが『パーティ』である。


そういった『勇者』とか『魔導士』とか、かつて職業と言われていたものは、今では大きく形を変えている。


ある時、俺たちの先祖達は 『今現在の自らの職業を極めようではないか!』という考えに至り、それを達成するべく不要なものを切り捨てたという。


勇者の先祖は、勇者特有の力を得る代わりに魔力を失い。


魔導士の先祖は、今以上の魔力を得る代わりに身体的能力が著しく減少。


格闘家の先祖は、身体的能力向上の代わりに能力適正そのものを失った。


その他もろもろ。


何かを失った事で、力を手に入れることはできたものの、その時まで普通だった転職は出来なくなった。

そして失った力は2度と戻ってくることはなく、それは次々と遺伝していき、職業と呼ばれていたものは、いつしか、それぞれ1つの『一族』と呼ばれるようになった。


今の俺からすれば、迷惑極まれる所業だ。もし出来るのなら、先祖に「寝ぼけてんじゃねぇ!」と1発寝起きのパンチを叩き込んでやりたい。不要なものとか伝えられているが、どれを見ても不要なものなど1つも無いじゃねぇか!


一族の集まりはいつしか『国』を造り、俺達はそれぞれの力を活かして、他の一族とも協力しながら生きてきた。


ここは魔導士の国『ラギア・マジック』。

国のほとんどの物に魔法が給付されている魔法の国だ。



◇◆◇



「はぁ〜。取り敢えず、学校行くか〜」


今日はこの国に数多く存在する『魔法学院』の入学式だ。


俺も、そのうちの1つ『ラギア魔法学院』の入学生だ。この国の名前が使われているのは、この国で一番でかい学校だかららしい。


あー凄くダルい。


「――――ちょっ、ちょっと! やめて下さい!!」


ん?


何だ?

……ああ。あーあぁ。いたいけな少女が暴漢に襲われてるよ。


まぁ、俺には関係無いけどね。

ふわぁあ……。

寝み。


「ちょっと!! そこの人! 助けて下さい!!」


ん?

視線がこっちに集まってるけど、気のせいだよね?


「おうおう!! あんちゃん!! 何ガン飛ばしてんだあ "ぁ ん?」


うわぁーー!!勘弁してくれっ!?


「オラぁ! 見せもんじゃねぇぞさっさと消えろぉ!!」


髪がキンキラキンのツリ目が首を振ってのいかついジェスチャー。

ええ!是非そうさせて頂きます!!


「おいちょっと待て。ガキ、俺たちちょっと金に困ってんだよぉ。ちょっとだけ俺達に貸してくんねぇかなぁ〜!」


勘弁ーーーーーー!!!


あー、ちょ!?あーーーーー…………



…………――あーあぁ。こんな路地裏に連れてきちゃって。こういうことする奴って、負けキャラだってこと分かってんのかね。


「オラ。分かってんだろ? 命が惜しかったらさっさと金出して消えな」


はぁ…………どうしよ。

手があるっちゃあるけど、上手くいくかな?


てっ!おいそこの少女よ!?んな目で見んじゃねえよ!元はと言えばお前のせいでこうなったんだからな!?


「オラオラオラァッ!! さっさと……………」


うっせぇ!

ツバ飛ばすなっ!

しゃあない。上手くいくことを願おう。


すう〜〜!


「ワード入力!!保管庫取り出し『聖剣(せいけん)』!」


カラララッ!


う〜ん。スマホの音は軽々しくて気持ちが良いね。


ふふふ。俺が出現させた魔法陣から出てくる剣に、全員身を丸くしてやがるな。まぁ、俺のコレは魔法じゃないけど。


ってぇ! だから!

あんたもそんな目で見んな!?


「おい、やべぇぞ!聖剣っつたら勇者の………」

「馬鹿言ってんじゃねぇ。勇者がこんなとこにいるわけねぇだろ!!」

「んなこと言ったて!実際『聖剣』って…………」


ふっふっふ。良い感じに動揺してくれてんじゃないか。

この剣は俺が作った中でもなかなかに強そうな外見をしているからな。

よっと!軽く振っとこ。

っとっとっと。おっも。

片手じゃ厳しかったか……


「ひっ! お、オイずらかるぞ!!」


よし! 逃げた!!


……………ふぅ〜〜〜。

あ "ぁああ!上手くいって良かったぁああ!


「あ、あの。ありがとうございます………」


あ "ぁあ?


「ひっ!?」


一体誰のせいでこんなことになったと思ってんだ?

あ?軽々しく礼なんてしやがって。

ってか睨まれたぐらいで悲鳴上げるなよ。

何?

俺が悪いの?


「俺の名前は『荒杭(あらくい) 勇魔(ゆうま)』。大丈夫だったかな? 怪我はない?」


笑ってるよ? 満面の笑みだよ?




まぁ、目は全く笑ってないんだけどね?



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