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彼と、彼のお寝坊さん  作者: ともむら
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28   その時間を引き伸ばした

 今回は今までの中でも極端に短いお話になります。文章の終わりに関しましては、推理していただけると嬉しいです。


 ディアside

 実習授業で分かったのは、白い魔力のこと。私以外の誰かに頼んで白い魔力の検証をしないと分からないことだから、学長先生か、さっきの実習授業のグループの人か、誰に頼めば良いんだろう。お兄ちゃんと出会う前に本で得た知識には、魔法に役立ちそうなものは殆どない。魔法の言葉がどういう意味を持っているのかが分かれば、もしかして魔法が使えるのかも知れない。そんなことを考えている内に、時間が過ぎてしまったらしい。ふと、気が付くと、目の前のお皿が空になっていた。


「あれ、私の夜ご飯」


 そう呟くと、隣のお兄ちゃんが苦笑いするのが分かる。上の空だったようだな。だが、お腹は膨れているだろう? と言って頭を撫でられた。言われてみれば、お腹が重い。お腹を摩ってみると、胃のある所がぽっこりと膨らんでいるのが分かった。味、全然覚えてない、とがっかりしたようにしょぼくれる私を、お兄ちゃんが抱き上げる。何を考えていたんだ? と、背中を撫ぜられた。


「魔法のことを、考えてたの。うう、ご飯」


 あんまりしょぼくれているから、お兄ちゃんは暫く私を甘やかしてくれた。本当は、直ぐに気持ちは浮上したけど、甘やかしてくれるのが嬉しくて、少しだけ、その時間を引き伸ばしちゃった。心の中で、そと謝っておく。ごめんなさい、お兄ちゃん。


「ディア、聞きたい事があるんだが、構わないだろうか?」


 お部屋に着いて、私をベッドに座らせた後、しゃがみこんで目線の高さを合わせたお兄ちゃんがそう言った。


「なあに、お兄ちゃん?」

「ディアは、魔法の言葉が、聞き取れるのかい?」


 それは疑問というよりは、確認のような響きだった。


「うん、あの声の出し方は分からないし、言葉の意味は分からなかったけど、聞くだけなら」


 そう言えば、さっきの実習授業で、人間には魔法の言葉が聞こえないって言ってた。私も、聞こえるって言ったことがないし、お兄ちゃんにも聞こえるって思ってたから不思議に思うこともなかったけど、そっか、お兄ちゃんには聞こえてなかったんだ。


「ならディア、今度授業のない日にドームを借りて魔力で喋る練習をしてみようか。後、誰かに純粋生力のみを体外に出してもらうという実験もしてもらう必要があるんだが、その時に、ディアに頼みがある」


 頼み? お兄ちゃんが私に?


「私が出来ること? 任せて! 私は何したら良いの?」


 お兄ちゃんからの頼みごと、すごく嬉しい! 何したら良いのかな?


「その、白い魔力を放出する実験をする事になったら、その実験前に、私の目を前のように魔力が見える状態に、して欲しいんだ。疲れてしまうだろうから、前回より少ない量の魔力で構わない。頼めるか?」


 お兄ちゃんも魔法と魔力のことをもっと知りたいっていうことかな。


「分かった! 誰に、実験参加してもらうの?」


 学長先生? 今日の実習のメンバー? 誰に頼むんだろう。


「そう、だな。学長から次の魔法授業の日程を伝えられないという事は、恐らく忙しくて時間が無いという事なのだろう。だから、今回は学長ではなく、クララとカーシー、ポーレット、ブライアン、あのメンバー全員を誘ってみようかと思う。ブライアンは正直睡眠を優先してしまうかも知れないが、そうでなければ皆乗ってくれるだろう」


 全員に頼むの? 楽しそう! 皆で一緒に何かをするってとっても素敵!


「明日にでも皆に話をして、ドームの予約を取ろう。今週予約が取れるかは分からないが、予約が取れ次第実験だ。後、予約が取れなければ、皆で箱庭に行こうな」


 実験の話を途中で切り上げて、私のほっぺたをむにっと摘んだ。全く痛くなかった上に、摘んだ場所を次の瞬間には撫ぜられる。あんまりに優しい目をして皆で箱庭に行こう、なんて言うから、摘まないでって怒る気も完全に失せて、目の前の大きな胸に抱きついた。今日は甘えすぎかなって思って少し腕の力を弱めると、ぎゅっと、ううん、きゅっとっていうくらいに優しく抱き返された。


「お兄ちゃん、楽しみだね?」


 内緒話するみたいに小さな声で彼の耳に話しかける。小さく笑った吐息が耳に届いた後で、肩に当たった顎が少し下に動くのを感じた。


「ああ、そうだな」


 そう言うお兄ちゃんは、すごく温かくって、うとうとしてきた。

 あ、まだ、魔力の訓練してないのにってそう思った時、胸に温かみを感じた。ぽかぽかして気持ちが良いな、ああ、もう寝ちゃうな。

 そう思った時だった。胸のぽかぽかが、もぞもぞしている。もぞもぞもぞと動いてるな、眠たいなってまだ、その時私は思ってた。でも、それだけじゃなかった。


『●*×▽っ!!』


 ……ん? 私じゃない。腕の力を緩めてお兄ちゃんを見上げたけど、お兄ちゃんも、不思議そうな顔をしてる。お兄ちゃんでもない。


『◇×$*!!!』


 だーれ?

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