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彼と、彼のお寝坊さん  作者: ともむら
27/45

23   王様の冠みたい

 まだまだディアちゃんの謎は深まってゆきます。


 アルside

 翌日、前回のように魔力が見えなくなっている事を確認し、改めてディアの魔力から発生したらしき石を見た。魔力により邪魔されていたその姿を見た時の第一印象は、ディアの精霊石によく似ているというもの。大きさも形も違うが、色が、非常に似ている。角度を変えると様々に色を変えた。ただ、それ以上の事は私にもディアにも分からなかった為、一先ずはそれを魔力から生まれた石という事で、魔石、と呼ぶ事にした。

 ディアは、分かっていないながらも魔石を気に入っているらしく、寝る前も、起きてからも、魔石を取り出してはきれいだねと言いながら眺めている。聞いた事もない現象であった為、どのようなものかは、学長に訊ねた方が良いのだろうと思う。今日図書室へ行った際には、精霊が生み出すものに関して調べてみようと思っていた。


 友人達と共に朝食を摂り、教室へ入って先生を待つ。授業開始前に声を掛ける事が叶わなかった為、授業終了後に直ぐ、声を掛けた。学長に、ディアに関して相談に乗って頂きたい事がある、そう伝言を頼むと、以前から心配してくれていたせいか、特に事情も聞かず、必ず伝えておく、と言ってくれたのは有難い。


 それ以外は、特に変わりない一日を送った。残念なのは、図書室でそれらしき資料が見つからなかった事だ。司書の方にも尋ねたが、見つかったのは一冊。しかもそれはスプライト達が大事に育てる植物、のような関係性の内容であり、精霊の魔力や魔法によって生み出されるものではなかった。

 隣でディアが読んでいたものは、相変わらず精霊とその魔法に関する図鑑である。先日借りていた植物に関する精霊の図鑑は読み終えたらしく、現在は水に関する精霊の図鑑を読み始めていた。彼女は、読書が早い。読み流しているのかと思えば、しっかり読み込んでいる。

 昨日も思った事だが、キーワードがあれば直ぐに情報を思い出すだけの頭の回転の速さも持ち合わせている為、彼女自身が膨大な量の知識を持つ辞書のようなものだ。小さい頭のどこにそれだけの知識を詰め込むのだろうか。これから増えていく知識の事を考えると、恐ろしいというか、頼もしいというか。本人は楽しく読書をしているようなので、私から言う事は特にない。人間の子供のように知恵熱を出してしまわないかどうかが心配なだけである。


 夕食も食べ終え、いつものように就寝準備をすると、ディアは魔力操作の訓練を始める。同じように魔力を大量に凝縮すれば、魔石が出来るのか。彼女は昨日と同じ位張り切って魔力を集める事で、実験をするつもりらしい。

 暫く見守ってみるが、いつもより目を瞑っている時間が長い。更に、目を開けてからの集中もいつもより長いように感じた。彼女に触れられていない為、私にはどれだけ集まっているのかが分からないが、少し心配になる。かと言って、声を掛けては集中を乱してしまうのではないかと考えてそれも出来ない。

 暫く見守っていると、いつもとの差に気付く。いつもは手を伸ばして人差し指を見つめているのに対し、今は、手のひらを見つめるようにしているのだ。手の甲と手の平の向きがいつもと逆、というだけではない気がした。はて、集中させる場所を変えたのか? と思っていると、彼女がふう、と息を吐く。

 魔力を集める作業は終わったのだろうか。

 そう思っていると、彼女はおもむろに手の平を返して下へ向けた。そのまま、じっと待つ。一分、二分、三分。五分経っただろうか、それは、起きた。


 ぽちゃん、というような音が聞こえたと同時に、ベッドへ何かが落ちたような、軽い音がする。ディアの視線を追って下を見ると、あったのだ。あの小さな雫型のものと似た色合いのものが。ただし、それの形と大きさは違っていた。


「王様の冠みたい」


 ディアがそう呟く。穴は開いていないが、円形で、尖った先端がいくつもある。水滴が落下した後、弾ける瞬間のような、その形。この世界の王はこのような被り物をしないので、恐らく前世で言う王冠の形なのだろう。


「形も大きさも違うが、これは、ディアが今首から下げているのと同じ魔石、で間違いないんだろうな」


 実験の結果は、同じ過程を辿れば魔石は出来上がる、だ。但し、形は同一であるとは限らず、大きさに関しても同じ。


「多分、魔力を昨日よりいっぱい集めちゃったから、大きくなったんだと思う」


 そういう事らしい。もしかすると、この形になったのは、魔力の量が多すぎて固体になるのに時間がかかった、という事なのかも知れない。別に形は問題ではないので、これ以上深く考えるつもりはないが。


「きれいだね! 宝石、みたい」

「そうだな、綺麗だ」


 そう言ってディアを見ると、ディアが形を保ったまま傾き、ぽす、と音を立ててベッドに倒れた。


「ディア?!」


 思わず大きな声を出してしまった。慌てて近寄ると、きらきらあ~、とかふにゃー等と言って口をもごつかせている様子に固まる。


「頑張りすぎて疲れてしまったのか」


 今までは眠たいという意思表示の後に眠っていた為驚いてしまったが、今日は特別魔力を多く集めていつもより疲れたのだろう、という所まで思考が回ってほっと息を吐いた。疲れて眠ってしまったというのは少し心配だが、本人の幸せそうな寝顔と、頬に触れた手に伝わる温もりに安堵する。


「勉強熱心なのは感心だが、少しやりすぎるきらいがあるな。明日にでも、注意しておいた方が良いか……」


 明日どのようにディアに注意しようか考えながら、新しく生み出された魔石を雫型のものと同じ袋に入れておく。首から下げたままでは危険なので、サイドテーブルに置いて自分もディアの隣に寝転ぶ。

 ディアの結っていた髪を解いて手櫛で軽く梳いてやると、擽ったいのかディアが身動ぎした。最後に顔にかかっている髪を避けてやると、一度頭を撫でて自分と一緒に布団を掛けてやる。


「お休み、ディア」


 明日は何かが進展すると良い、そう思いながら、眠りに落ちた。

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