14-1 魔力とはなんですか?(前編)
なんとか今日中に2話目を投稿する事が出来ました。明日からはまた1話ずつ投稿して参ります。魔法授業は、大事な所なので、大事に書いていきたいです。
ディアside
お兄ちゃん達が受ける最後の授業がもうすぐ終わる。いつもなら、カー兄かクララさんとお喋りして、一回お部屋へ戻って、それからお兄ちゃんがシャワーから出てきたらカー兄と、今はクララさんも一緒に、夜ご飯に行く。でも、今日は違うんだ。だって、学長先生に魔法のこと教えてもらえるから!
お兄ちゃんは、魔法が使えないかもしれないって私のことを心配してくれたけど、私からしてみれば、魔法が使えるかもしれないっていうことがすごく嬉しかった。
きっと、お父さんを待っていた時の私のままだったら、魔法なんて使えない。絵本には、魔法を使う悪い魔女とか、夜の舞踏会のためにドレスとばしゃを用意してくれる妖精さんがいたけど、私にはお父さんを呼ぶ魔法は使えなかったから。思っても願っても、魔法は使えない。ある本に、魔法は、私達の生きている世界で使うことが出来ないって書いてあった。絵本の世界は、きっと私が生きている世界ではない別の場所なんだってその時に思ったのを覚えてる。
それが、今は魔法が使えるようになるかもしれないって言われて、すごく嬉しかった。お兄ちゃんが、私の気持ちまで考えて、学長先生に魔法の授業をお願いしてくれたのは、もっとずっと嬉しい。
お兄ちゃんはお願いした、なんて言ってなかったけど、学長先生って、この学校で一番偉い人だから、きっとお父さんよりも忙しい。そんな忙しい人が一人のために時間を使ってくれるなんて、お願いしても本当は難しいことなんじゃないかって思う。
授業が待ち遠しくて、授業が終わってすぐ、お兄ちゃんの右手を両手で引っ張った。
「あまり慌てて行くと転ぶぞ。」
そう言いながら、私を抱き上げて少し急いで学長室に向かうお兄ちゃんの首に、ぎゅっと抱きついた。
学長室に着くと、お兄ちゃんが私を降ろしてくれる。ドアをノックすると、中からどうぞ、って声がかかった。
「「失礼します」」
二人で一緒にそう言って、学長室へ入る。
「お待ちしておりました。今日から一週間、続けて授業を行います。今日は座学です。どうぞ、そちらに座って下さい」
今日も女神様みたいな学長先生は、そう言って席を勧めてくれた。
お兄ちゃんが、自分と私の分のノートと筆記用具を出してくれる。よっし、頑張るぞ!
「ディアさん、アルディンから聞いているかもしれませんが、この授業は、貴女が魔法を行使する可能性を広げるものであって、保証するものではありません。それは分かっていますか?」
最初に学長先生がそう言う。何も言われないまま授業をしてたら、魔法が使えるようになるって思い込んじゃってたかもしれないから、最初にそう言ってくれるのは、多分私のため。
「はい、学長先生」
私がそう答えると、学長先生は私を見つめて頷いた。
「では、授業を始めましょう。まず、魔法というものは、精霊や妖精等にしか魔法を行使する事が出来ません。人間や、普通の動植物に魔法は行使出来ません」
そう、お兄ちゃんも魔法が使えないって、そう言ってた。
「それは、人間に、魔法を行使するのに必要な魔力というものが存在していないからです」
「まりょく、ですか?」
初めて聞いた言葉。絵本にも、魔法という言葉は出て来たけど、まりょくっていう言葉は載ってなかった。
「ええ、そうです。魔法というものは、自然の力を利用して行われるものです。その魔法は、己の中にある魔力を介して自然に影響を及ぼすのです。ここで間違ってはならないのが、魔力は、魔法を行使するのに必要な力ですが、魔法が魔力で構成されたものでは無いという事です」
魔法を使うのに魔力が必要だけど、魔力が魔法そのものじゃないって、ことかな?
「貴女は実習授業で他の守護精達の魔法を目にしましたね? どのような魔法でしたか?」
「ガールさんの魔法は、竜巻を起こす魔法です!」
魔法と言われてすぐに思い浮かんだのは、ガールさんとボルト様の魔法だった。
「そうですね。その竜巻は、魔力が形どったものではなく、風の力を魔力によって行使した結果、発生したものです。私達精霊は、自然の力を借りて、魔法を行使しています」
「学長先生、それじゃあ、お兄ちゃん達が持っていない魔力っていうのは、どういうものなんですか?」
そこが分からない。お兄ちゃん達人間は持っていないって決まってるってことは、きっと鳥さんに翼があって、人間に翼がないのと同じようなどうしようもないことなんだろうっていうのはなんとなく分かる。
じゃあ、自然の力を魔法として使うために必要な魔力っていうのは、一体どういうものなんだろう。
「そこが、難しい所です。どう表現するのが一番適しているのかしら。最初から知っている私達は、初めから知っているだけに、理解するための理屈を考えた事がないのです。」
うーん。なんだかそれって
「電卓みたい」
「「でんたく?」」
あっ。お兄ちゃんも不思議そうな顔をしてる。
「えっと、お父さんが便利だって言ってた、計算をするための道具、です」
えっと、合ってるよね?
「ディア、今の学長の話とどこが似ていると思ったんだ?」
そ、そうだよね。皆知らないから、どうして似てるかなんて、分からないよね。
「電卓は、数字を入れたら、私達が考えなくても、答えを出してくれるから、答えは分かるけど、どうしてそうなるか分からないって意味で、似てるなって」
「そうか。言ってる事は分かるような?」
ちょっと首が傾いてるけど、何となく分かってもらえたみたい?
魔力ってなんだろう。自然の力を借りるために必要なもの。
「お金、みたいなもの?」
「ああ、食べ物を買う対価のようなもの、という解釈で合ってるならそういう考えで間違えていないんだろうな。学長、どうですか?」
2人で学長先生を見たけど、学長先生は難しそうな顔をしてる。
「対価、とは違うのですよね。本当に難しいですね」
皆でうーーん、と唸る。
「水を氷にするための温度?」
「原型に力を加えるものという事か」
「それも、違いますね。なかなか答えが出ませんね」
それから何回か、皆でうーーんと唸り続けた。
「言葉、とか」
「言語という事か?意思伝達をするための」
「あ、それ、それに近いかも知れません」
え?
「言葉?」
「そう、です。少し違うかも知れませんが、自然に、望む形を伝えるための声のようなものと言っても良いかも。魔力というのは、自然が理解出来る音のようなものかも知れません。だから、その音が出せない人間には魔法が使えない。自然に、どうして欲しいのかが伝わらないから。生まれてすぐにあまり協力な魔法が使えないのは、その音の使い方が上手くなくて簡単な事しか伝える事が出来ないから。そのように考えれば、良いかも知れませんね。」
ぜ、全身した!! 魔法っていう結果を引き起こすためには、魔力が必要で、魔力は、自然に引き起こしたい結果を伝えるための声っていう、考え方をすれば良いんだね!
「学長先生、それじゃあ、私に魔力がなかったら、絶対に魔法が使えないってことですよね?っていうことは!」
「ええ、貴女には魔力があります。これは私が保証します」
ぱあっと周りにお花が咲いたような気持ちになった。魔法を使うための声を、私は持っているってことだもんね。
「やったー!!」
思わず大きな声を出してしまって、学長先生とお兄ちゃんを驚かせてしまいました。反省。
現在お話が10数話という規模になり、章管理をするべきか悩んでいます。このまま分けずに書くのは、読みづらいでしょうか?




