12-2 守護精さんいらっしゃーい! (後編)
12日に間に合いませんでした……すみません。
無理かもしれませんが、出来れば、今日もう一度更新したいです。出来なければ、明日に2回更新したいと思います。
前後編という事で、引き続きディアちゃんのターンです。
ディアside
そうやってドームの列に並んだまま楽しくお話してると――お兄ちゃんと私は、ドームに入る必要がないので、カー兄とガールさんが並んでる所の隣にいる――ドームの方からバリバリバリバリって音がした。
急に起きた大きな音に驚いてると、カー兄が隣でおーおーって何か感心するように頷く。
「派手にやってんなー。ありゃ多分、クララんとこのボルトだな」
知らない名前が沢山出てくる。今の音だけで、そんなに分かるの?
「今のはバチバチしてたからなー。分かりやすいんだよ。クララっていう女子の、ボルトっていうライジュウって種類の守護精の技だ。出て来る時にクララの頭見てみろよ。多分ボルトが乗ってると思うぜ」
ほわー、カー兄って物知りだな。ボルトさんは雷みたいな魔法が使えるって事だよね。魔法ってあんな音がするようなすごい魔法を使えるって事?頭に乗ってるっていう位だから私より小さいのかな。どんな守護精さんなんだろ。
そうそう思いながらドームの出入り口を見てると、ふわふわそうな茶色の長い髪の周りを灰色の長い何かがぐるぐる巻いていた。よく見ると、女の人の、ちょうど頭のてっぺんくらいの所にある灰色の部分に真ん丸な目がある。
「あれあれ、あの灰色のなっがーいのがボルト」
思っていたより全然大きかった。頭に顎を乗せるみたいにして、体がマフラーみたいに首に巻いてる。
見た目は、灰色をしたイタチみたいな感じ。イタチより、少し丸っこくて、顔はタヌキに似てるかも知れない。あ、挨拶に、いきたい!!
「ディア、クララの所に行くか?」
そわそわしてたのがばればれだったらしい。お兄ちゃんが、そう聞いてくれた。カー兄とガールさんも、行ってこいって言ってくれたから、ドームの出入り口まで小走りで行く。
「クララ、少しいいか?」
お兄ちゃんが、先にクララさんに話かけてくれた。
「アルヴィン? ええ、もちろん構わないけれど」
近くで見たクララさんは、お兄ちゃんの肩位までの背で、薄い黒縁の眼鏡がとってもよく似合うお姉さん。
「あ、あの、クララさん、ボルトさん、こんにちは! カー兄に、名前、教えてもらいました。魔法、とってもすごかったです!」
あれ、ここに着くまでに言いたいことまとめたつもりだったのに、全然まとまってない。
「あら、ディアさんこんにちは。魔法見てくれてたのね? あの魔法はボルトが出した雷ね。まだ、そんなに大きな雷は起こせないのだけど」
そう言って、クララさんが首元のボルトさんを撫でる。
『よー、新入り。俺の事はボルト様って読んでくれていいんだぜ?』
尻尾をふよんふよんと揺らしながら、ボルトさん改めボルト様が私に声をかけてくれた。
「あい、ボルト様!」
そう言うと、ボルト様が、お前、良い奴だなーって言ってたけど、すぐにクララさんが、間に受けなくて良いのよって言ってぴちってボルト様を人差し指でピンッて弾いた。
『いっで! クララ、愛が痛い』
はいはいってクララさんは聞き流してる。隣でお兄ちゃんが、クララ達はいつもこんな感じなんだって教えてくれた。様呼びもしなくて良いって言ってたけど、ボルト様嬉しそうだったから、ボルト様って呼び続けようと思う。
『新入り、お前出てきたばっかなんだろ?知りたい事があんなら、俺が教えてやってもいいぜ』
「本当ですか?! ありがとうございます、ボルト様!」
ボルト様の尻尾は、ふよんふよんを超えてびたびたとなりそうなくらいに右へ左へ動いてる。早くなってもなめらかなその動きに思わず目で追っかけてると、それに気付いたクララさんがしゃがんでくれた。
「気になる? ボルトは、機嫌が良いと尾が左右に揺れるのよ」
「『えっ?』」
どうしてか、ボルト様も私と一緒に驚いてる。
「あら、ボルトまさか無自覚なの?」
『い、いやー? 知ってた、ぜ?』
黒目が大きいからあんまり分からないけど、目が泳いでるのが分かった。
「ま、そんな事はどうでもいいのいよ。ディアさん、いえ、ディアちゃんでいいかしら。これからもボルト共々よろしくね」
そう言って、クララさんは私の頭を撫でてくれた。ボルト様も、しっぽをこっちにひょいって伸ばしてくる。ほら、尻尾早く握れよって言われたから慌てて握ったんだけど、焦り過ぎてぎゅって握り締めてしまった。ぎゃってボルト様の声が聞こえて、すぐに謝ったら、し、新入りの力なんか屁でもねーぜって涙声で言ってた。あんまり何回も言うのはどうかなって思ったんだけど、心の中でもう一度だけ言った。ごめんね、ボルト様。
「前足があるのに何故尾を使って握手みたいな事しようとしたのかしら……」
クララさんがぼそって言ってたから、あれは握手の代わりだったらしい。ボルト様が私の事お友達と思ってくれたって思うと嬉しかった。
「それじゃ、私達はもう一度並ぶからこれで失礼するわ、またね、ディアちゃん、アルヴィン」
そう言うと、クララさんは列の後ろへ並び直しに行った。ボルト様は振り返ってはくれなかったけど、尻尾を立てて、横に振ってくれてた。多分、あれは手を振った、みたいな意味で良いんだよね?
それから、私とおにいちゃんは、カー兄の方には戻らずに、ドームのすぐ外で見学する事にした。ボルト様みたいな雷を扱う守護精さんはいなかったけど、その代わりにばらばらな種類の魔法が見れた。
火がぼって出る魔法、多分私が両手を広げたくらいの範囲に強い雨が降る魔法、地面から私の背くらいの棘? が3本くらい出る魔法。
守護精さんも見た目から全然違う。大きい毛玉みたいなグランさんに、大きな象さんの姿をしたラーさん、私くらいの身長色黒おじさんナイさん。ドームから出て来た時に挨拶したら、皆さんよろしくって言ってくれたから、すごく嬉しい。
ナイさんがまた後ろに並びに行くと、なんと、カー兄とガールさんの番になりました。
「よっしゃ、俺の番だな!」
ってカー兄張り切ってるけど、魔法使って頑張るのはガールさんじゃないのかな?
『主が頑張る必要はない。しっかり見てレポートの材料を集めるのに集中するべきだ』
すぐガールさんにそう言われて、げろげろーって言ってるけど、大丈夫かな。ちょっと心配になってくる。私もしっかり見ておくからね、カー兄!
じっと瞬きもしないくらいガールさんを見てると、ガールさんの背中からもこって何か出てきた。体とおんなじ色の、コウモリみたいな羽だった。背中から羽が出切った後、ゆっくりと羽ばたく。何回か準備運動みたいに羽を動かした後、いっぱいいっぱい羽を開いて、大きく羽ばたいた。その瞬間、多分1メートルくらい先に、お兄ちゃんと同じくらいの風の渦が出来た。お兄ちゃんが、あれは竜巻と言うんだって教えてくれる。
「ガールさんすごーいっ! 風を起こす魔法なんだね!!」
竜巻が完全に消えるのを待った後、ドームから出て来たガールさんに声をかけると、ガールさんはまだまだ力が弱いって首を横に振った。
羽はどうなってるのか聞いたら、使わない時は仕舞ってあるらしい。どうやって?今は羽のない背中を見てみる。羽が出る切れ目も、収まってるみたいな出っ張りもない。不思議。ぺたぺた羽が出てきてた所を触ってると、どうせなら耳の後ろを掻いて欲しいって言われたから、ガールさんの耳の後ろをごしごし掻く。あれ、私何やってたんだっけ? ってちょっと思ったけど、ガールさんがごろごろ喉を鳴らしてるのを聞いて、羽の事は頭からすぽんと抜けた。
その後は、もう一度列に並んで、ガールさんがさっきよりも小さい私くらいの竜巻をいっぺんに2個作った所で、おじいちゃん先生の声が聞こえた。
「時間じゃぞーー。最初に並んだ場所へ集合じゃー」
きょろきょろ周りを見てみたけど、おじいちゃんの姿はない。力いっぱい出した声って感じでもなくて、首をうーんって傾げてると、お兄ちゃんが先生の守護精の魔法だって教えてくれた。
魔法って本当色々ある。私も、守護精だから魔法、使えるのかな?そう思ったら、わくわくした。




