プロローグ
いつからなのかははっきりしない。
目が開かず、体も動かず、言葉も紡げない状態で、意識さえもはっきりとしない中、一つだけ確かに感じていたのは、泣きたくなるような、ほっとするような、でも、どこか怖くなるような温かさだった。
更にそれからどれだけ経ってからだろうか。
温もりに加えて、何か言葉が降ってくるようになった。
おはよう。おやすみ。
今日は晴れだよ。雨だよ。虹が架かっていたんだよ。
そんな言葉がいくつも降ってくるようになった。
それも、どれだけ経ったんだろうか。
その声が少しずつ高さを変えて、眠りに誘うような優しい声へと変わっていった。
その頃からだろうか。降ってくる言葉に、出ておいで、待っている、という類の呼びかけが増えたのは。
優しい揺り篭のような世界で眠っているのはとても温かい。
だから、それを失う事が怖くて、もう少し。もう少し。呼びかけに応えるのを引き伸ばしにしていた。
初心者マークひっさげて失礼致します。
拙い所も多いかと思いますが、どうぞ、宜しくお願い致します。
なろうさんで有名な、100万文字を越えるような長いお話にはならない予定です。よろしければお付き合い下さい。