過ちと呪い
初めて書いた小説です。ある曲を聴いていたら、思いついたので文章にしてみました。
ご意見・ご感想をお待ちしてますが、酷評されると心が折れてしまうので、批評は優し目に書いていただけると嬉しいです。
あと、タグの残酷な描写は保険です。人が亡くなられる話題が出てくるので。特に戦闘とかグロテスクな描写は無いです。
未熟な文章ですが、読んでくれた方が少しは楽しんでもらえたらいいなと思っています。
昔々のある時代。
初めて大地に人間が現れてから数百年後、人々の進歩と魔法の恩恵によって世界はとても豊かな時代を迎えていました。人は飢えを知らず、季節に合わせた快適でお洒落な衣服をまとって、魔法のお蔭で健康に長生きできるようになり、通信魔具によって様々な人と繋がれるようになり、転移魔具によって遠く離れた場所へも一瞬で行け、知りたい知識は調べずとも魔具一つで解る日々。しかし、そんな豊かで幸せな夢のような生活をしていても、人の欲望がつきることはありませんでした。
もっと美味しい物を、
もっとお洒落で特別な服を、
もっと健康に長生きを、
もっと便利な魔具を、
もっと、もっと、もっと!
人々は求める事を止めず、より豊かに、より幸せになるために争い続けました。希少な食物や動物を奪い合い、特殊な技術を持つ人間を自国に引き抜き、それが叶わなければそれ以上の発展を防ぐために殺し、ある時は国ごと全部襲い、幸せな毎日を顧みることなく人々は争い、戦い、血を流し、大地を穢しました。
世界の全てを奪い尽くすまで続くと思われたその争いは、しかしある日突然、終わりを迎えました。
どれだけ豊かになっても、争いを止めない人々に業を煮やした神様が罰を下したのです。
『長い寿命があるから貴様らは多くのモノを求めるようになり、争いなど下らないことに興じるのだ。戦い、奪い合うことが如何に下らなく無駄なことか解らせてやろう』
そう言って神様はその時代、世界を五つに分けていた、水の国ヴァッサー・火の国グルート・風の国シュピラーレ・土の国エーアトボーデン・森の国オープストの王族全てに呪いをかけました。
そして神様は『猶予をやろう。それでも考えを改めないのなら、一年後。呪いがお前達の過ちを戒める』と言い残し神界に帰っていきました。
しかし、人々はそれでも争う事を止めませんでした。神様が呪いをかけたといっただけで何処にも実害が無かったのです。精々、王族の血を引く人間達の胸に不思議な紋様が刻まれただけでした。ただ、神様が最後に慈悲をくださっただけだというのに。
何処までも愚かな人々は、人々は神様の言葉を深く考えず、今まで通りより豊かな生活を求めて争い、戦い、奪い合ったのです。
そして、神様が現れてから丁度一年後。二十歳を超えている王族の血を引く人間が、同じ日の、同じ時間に、一斉に息を引き取りました。残っている王族は二十歳に満たない、年若く、政治などやったことも無い者ばかり。もちろん、そのような者達が統治した所で上手くいく訳が無く、今まで国を導き指導し支えてきた王達を失ったことで、人々は混乱し、世界は荒れました。人々は始めて飢えを知り、服といえない布を纏い、いつ病気になり死ぬかも分からない日々に怯え、一から調べ知識を学ぶことの難しさを知りました。
そして、人々がようやく呪いの正体を知った時にはもう遅く、呪いを解く術も無いまま私達の贖罪は今もまだ続いているのです。
プロローグ的なものです。次の話から物語が始まります。