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War Game  作者: 雷帝
1/3

イサク・カサブランカの高揚

はじめまして。

初投稿の雷帝です。

段落の付け方がわからないので段落存在しません。

日本語が変かもしれません。

こだわる方は疾くお帰りを。

コメント頂けると喜びます。

ミクシィにもあげていましたが今は退会してなろうにしかあげてません。



ほら皆さんが望んだ戦争です。

2030年にA・S(アームド・スーツ)という兵器が提唱され、2040年、A・Sが戦場にて頭角を表し、生身の歩兵は徐々に数を減らし、戦場には機械が溢れるようになっていった。

今まで以上に。

戦場の兵器が変わると共に、戦争の形態すらも変わっていた。

今の時代は国家対国家の構図は当たり前、企業や、反動勢力(テロリスト)など幅広い戦争が行われるようになった。

国家は自国に巨万の富をもたらしかねない天然資源の争奪、防衛に走りそのくせ建前だけは、「我が国の安全を脅かす外敵の排除」等と謳っているが、なんのことはない。

お得意のプロパガンダだ。

どちらが先に仕掛け、なんのために仕掛けた戦争かも忘れ去られた昨今ではなんの意味も持たないし、どちらが正義というのも可笑しい話だ。

国家は国家でああいう醜い体制をとっているが、だからといって別に企業が正しいとも言うつもりはない。

テロリストに至っては言わずもがな。

企業は企業でただ純粋な利益のためだけに戦闘を繰り返す。

企業には種類があるが、まず一つが「PMC」。

所謂、民間軍事会社。

コイツらのメリットデメリットはまず、国家に帰属する軍人よりも腕が良い場合が多い。

しかしこいつらがなぜPMCにいるかといえば、現地などでの素行不良、つまり現地での虐殺、強姦、強盗といった戦争犯罪を犯したことのある、国家でさえ庇いたくないキレた人間がわりと多いのが特徴だ。

もう一つは軍需企業。

様々な兵器を実験、開発しそれを戦場に送り出す。

それだけの簡単な仕事だが、何を隠そうA・Sという所謂「装備型装甲モジュール」はコイツら企業の発案の元に産まれた産物だった。

産みの親がコイツらだけに「企業専属兵」なんていう言葉の産物も産まれてしまった。

彼ら企業の仕事は、企業の勢力拡大や領地の獲得。

生活に必要なインフラ設備や潤沢なライフラインの獲得。

企業専属兵の仕事は、兵器工場や研究施設の防衛、民間居住区の防衛だけに収まらず、敵対企業施設の襲撃や、新兵器の破壊、鹵獲。A・Sが世に出てからは、新型機体、パーツ、兵装の試験運用。

ここでA・Sという兵器の特殊性を説明しなければならないのだが、これは後に回そう。

とにかく、世界はあらゆるところに火種を抱えながら回っていた。

そんな中、俺はパトロンの居ない独立傭兵とは名ばかりの、使い捨ての駒を演じきっていた。

いや…演じることしか出来なかった。

戦争とは、人々の思惑という大小様々な歯車の集まりだ。

一度でも銃を取り戦ってしまった者は、それが自分から望んだものであろうが望まなかったものであろうが、歯車に組み込まれてしまう。

時の権力者は大きな歯車となり、戦場における尖兵達の意思など、極々小さな歯車に過ぎなかった。

度重なる戦争に疲弊しきった人類はある一定の単位毎に固まり、比較的戦火の及ばない場所で暮らしていた。

企業や、傭兵はそれを「施設」と呼び、国家はそれを「楽園」と呼んだ。

どちらにせよ、無垢な人々は戦場において邪魔なだけであった。

人々は施設において、ただ労働に従事し決められた量の食糧を確保するためだけに生きていた。

施設は食糧生産プラントによって内部で自己完結しており、決まったサイクルをもって、決まった量を産み出す、半分以上はオートメーションの生活。

生活水準すらままならない人類はしかし、科学的な技術水準は常に進歩していた。

そしていつしか戦争は激化し、より狂気と狂喜と驚喜だけが蔓延していった。

いつしか……そう、あのクソ忌々しい兵器「A・S」が戦場に現れるまでは。

A・Sは本来「装備装甲型モジュール」というコンセプトの元、開発が進められていた「歩兵強化兵装」という兵装ジャンルのプロジェクトの一端だった。

『前線の兵士達に最強の肉体を』というキャッチコピーの下開発していった途中、偶然機動兵器として発展したこじつけ製品だった。

しかし、今や戦場にA・Sはなくてはならない兵器でありまた、一騎当千も夢ではない兵器なのだ。

A・Sは大まかに分けると、ノーマル(一般の国軍兵や企業専属兵が搭乗する機体)、ハイエンド(ノーマルに乗っていた兵士が一定の評価を得ると搭乗できる機能強化型。個人の権限で武装の変更も認められる)、オリジナル(企業や国家が少数しか生産していない希少モデル。搭乗には特別な資格が必要。装備も企業や国家などの生産パーツで補われる)、そしてワン・オフ(企業や国家がある特定の人物の為だけに設計、製造した完全ワン・オフ製品。オリジナルよりも数が少ない)、イレギュラー(既存する企業や国家の様々なパーツを組み合わせたA・S)の五種に分かれる。

俺はこの分類からいくとイレギュラーに類する。

ワン・オフは企業や国家に帰属する兵士のなかでも内外的に英雄と称されるほどの人物にしか製造(つく)られない。

オリジナルは、ハイエンドに比べると更に強くなった感じだ。

A・Sの質はオリジナルからおかしくなる。

俺が独立傭兵として受ける以来の四割はオリジナル撃破かワン・オフ撃退で占めている。

残りの四割は企業の施設の防衛や襲撃、制圧、奪還から始まりノーマル部隊撃破や輸送部隊護衛、海上戦力の撃破等様々な依頼を受けている。

残った二割は……まあ、秘密だ。

オリジナルがハイエンドとノーマルと違うところは、ハイエンドとノーマルは人工筋肉を通じてパイロットが少し筋肉に力を入れると機体がそれをフィードバックし機体を動かしているのに比べ、オリジナルやワン・オフ、イレギュラーはハイエンドとノーマルの機体操作に加え、神経系を機体に繋ぎ更に機体操作を円滑にし、ノーマルやハイエンドの欠点である『筋肉から人工筋肉への命令伝達のタイムラグ』を解消している。

この神経接続には人によって適性値…つまり向き不向きがあるのでなろうと思ってオリジナルやワン・オフ、イレギュラーにはなれないのだ。

幸か不幸かある種の才能というものだった。

…………俺か?

まあ、適性値は高い方だろうな。

ただ、高いからといってそれが強さに直結するわけではない。

なぜなら神経接続はあくまで機体操作を円滑にするためのものであり、強くなる要因には挙げられるが強くなる原因ではないからだ。

……まあ、適性値が高いやつは大概強いがな。

友達もあらかた殺されたが、敵と仇は倍殺してやった。

これは、俺しか語れない俺の物語だ。






「ミッションの概要を説明します。

今回、貴方には旧日本、現「大扶桑皇国」領の首都、「トウキョウシティ」の大規模制圧作戦に参加してもらいます。

彼らは、かねてより我々フランケンウルフ社を中心とした、M&Aで提携している企業たちによる再三の資源明け渡し勧告を無視し、未だ強引に自国開発と鎖国政策を敢行しています。

作戦プランは、A・Sによる重要施設の先行強襲です。

まずトウキョウシティまで輸送ヘリで移動し降下。

その後、此方の指定した重要施設を破壊していただきます。

今回貴方に破壊していただく施設は、対空ミサイル施設、物資流通センターの破壊をお願いします。

状況によっては更に追加される可能性もありますのでご理解下さい。

もちろん、報酬は上乗せします。

現地には大扶桑皇国軍所属のオリジナルA・S4機が確認されていますのでお気をつけ下さい。

四機の内ランク18とランク25の二機が確認されています。

他の二機はランキングには登録されておらず、機体構成も全くのイレギュラーのようですが油断はしないでください。

今作戦はA・Sの撃破が目的ではなく施設の破壊が目的です。

ですので、決して無理はしないようにしてください。

以上です。幸運を」






トウキョウシティ


ヘリの喧しいローター音が響く中パイロットから無線が入った。

「「降下ポイントだ!宜しく頼むぞ、傭兵!」」

「了解した。クウェイク、出撃する」

と俺は愛機の名前を呟きながら昼下がりの物資流通センターへとダイブする。

「せーそーけんからちじょーへダイブっと」

落下しながら昔聞いたことのある曲を口ずさむ。

俺が飛び降りたヘリの横にはもう一機同じのがあった。

そこから別のA・Sが飛び降りた。

「こちらフランケンウルフ社、シープイーター、ロベルト・マイヤーズだ。宜しく頼む」

「こちらクウェイク、イサク・カサブランカだ。こちらこそ宜しく頼む」

「活躍の噂は聞いている。期待しているよ」

二機は全速力で流通センターの中央ベルトコンベアに向かう。

「き、来た!A・Sだ!撃て!」

「ジャベリン用意!撃てー!」

前方に防御線を張った皇国軍兵士たちが鉄の悪魔に全力で抵抗してくる。

「下らん…」

俺はそう呟き、両手に持ったP90サブマシンガンとSAIGAオートマチックショットガンを構え弾をばらまく。

前面に弾幕を張り、ミサイルを破壊。

その隙にシープイーターが肩部に装備した広範囲グレネードをぶちこみ、道が開く。

「呆気ないものだな、皇国軍兵士も」

大型成形炸藥弾を新たに装填し、施設破壊に備えるジープイーターが呟く。

「過去に…こいつらと何かあったのか?」

「なに、話すようなことはない。それに…生きていれば皆それぞれ、なにがしかの因果もあろう。……貴様、本当に傭兵か?余計な詮索など」

「あぁ、いや、禍根を残しているくらいなら寄り道がてらに精算すればいいのにと思っただけだよ。あくまで俺個人の意見だったんだ。気にしないでくれ」

「「こちらフランケンウルフ社オペレーターです。迅速に作戦を継続してください」」

要約、

『黙って仕事しろ』

「だとさ。怒られちゃったよ」

「貴様からふってきたのだろうが……」

「着いた。破壊はよろしくシープイーター」

「なっ…ごふっ…きゃふんっ!」

俺がそう呟いた途端にシープイーターがむせる。

ご飯が気管に入ったのかお前は。

「随分と可愛いむせかただな」

「貴様……何のためにこの任務を受けた!?この任務は…」

「破壊任務だろ?知ってるさ。ただ、あんたの機体は見たところグレネード砲やミサイル、戦車砲といった比較的携行弾数の少ない兵装だ」

「だからどうした」

「あんたがもし、このまま作戦を継続し、破壊目標を破壊したあとに破壊目標が追加されれば、弾薬のないあんたはなにもできないただの木偶だ。替わりに、俺は作戦が終了するまであんたをA・Sから守るしもちろん撃破する。A・Sの撃破ボーナスは全部あんたにやる。俺はこの作戦の基本報酬だけもらえればいい。あんたにとっても悪いはずじゃない」

それに……弾薬のないあんたを振り切って行きたい場所もあるからな。

勿論俺は、そんなことを口に出して漏らすほど、口の筋肉は弛緩していない。

「貴様……」

「どうした。戦場において人員の適材適所は常識の……」

「わかった。わかったよ。俺の負けだ、好きにしろ」「フフンッ、物わかりのいいやつに悪いやつはいない」

「その代わり…」

「なんだ?」

「必ず守れよ」

「なんかキショイなぁ」

「貴様ァ!!」

グレネードやらプラズマキャノンやらを施設にぶちこむ。

「八つ当たりはよくないよ。みっともないなぁ」

「ンガァァァァァァ!!」

そんなこんなで、

「破壊しちゃったね。施設」

「ああ。シープイーターよりHQへ、繰り返すシープイーターよりHQへ。こちらの目標施設のうち一つを破壊した。目標施設を次に移す」

『こちらHQ、こちらHQ。了解した、シープイーター。作戦を続行してくれ』

よしよし、いい風が吹いてきた。

さて…と、

「次の施設まで俺が先行する。付いてこいよ」

「ミサイル施設か。施設より手前五キロまで近づいてくれるだけでいい。後は何とかしよう」

「頼りになるぅ」

「黙れさっさと動け」

「はいよ」

流通センターより東に五キロ。

そこからさらに二キロ先にミサイル施設があった。

「着いたぜ」

「ああ、少し待て」

シープイーターがそう残し、

「HQ。こちらシープイーター。judgment system(ジャッジメントシステム)を起動してくれ」

『こちらHQ。了解した。judgment system起動。オンライン接続確認。データリンク開始…成功。ジャッジメント、聞こえるか?応答せよ』

『こちらジャッジメント。よく聞こえるぜ糞野郎』

『詳細を送った。君達の出番だ』

『了解。よし、わかった。オーケー任せな。こちらコントロールルームより全搭乗員へ。座標をセットした。エネルギー充填を開始しろ。シープイーター、聞こえるか?』

「聞こえている。これよりレーダー照射を開始する。発射までどれくらいかかる?」

『あと八分ってところか』

「了解した」

なんだか俺の知らないところで楽しそうなことやってるじゃん。

シープイーターが左肩に装備しているミサイル……に見えるそれは実はレーダー照射器を展開し、遠くにそびえ立つミサイルに向ける。

「こちらシープイーター。レーダー照射を開始する」

特になにも起こらない。

「な、なぁ…完全に置いてかれたんだが…。ちなみにもうレーダー照射は始まってんのか?」

「ああ。今からやろうとしてるのは………」

その時。

コックピット内のレーダーに敵を意味する二つの点が現れる。

「何!?気付かれてた!?」

「いや、違うぜシープイーター。今気づいたんだ、こいつら。何せこいつらの来た道をたどってくとミサイル施設に行きつくからな。ってことは…レーダー照射がばれてるってことだ」

「クソッ!HQ!聞いていたか!」

『ああ!シープイーターは直ちにレーダー照射を中止、ジャッジメントは通信を遮断しろ!』

「駄目だ!レーダー照射を中止するな!」

俺が叫ぶ。

『我が社の貴重なA・S戦力を見殺しにするつもりか!』

「俺が先行しあの二機を挽き肉にする。だったら文句ねぇだろ!?」

『できるわけがない!貴様ごときに!』

「相手との距離はまだ開いている!こっちから近づいてやるさ!」

そう言い残すと、俺は制止の声も聞かず敵の来る方へ向かう。

『クソッ!聞かん坊はお前の前任者にそっくりだな!!仕方ない!オペレートしてやる!!』

前任者?

ああ、あの時代遅れのことか。

「あいつとだけは一緒にすんな!あんな偽善者なんかとは一緒にされたくない!」

『待て……クソッ!?』

「どうした?」

『敵A・Sの後方二キロ地点に敵増援を確認!!』

「A・Sか!?」

『ああ!それも二機だ!』

「敵増援が俺を素通りしてシープイーターに接敵するまでの時間は!」

『待て…今出す……まずい!七分だ!!』

「クソッ!ギリギリ間に合うのかよ!」

『おい!先行しているA・Sとあと三十秒で接敵するぞ!』

「クソが!!即殺しだ!ミンチにしてやる!」

俺がそういい終えた瞬間相手の機体が二機、林の向こうに見えた。

『映像を照合…データベース一致。相手はランク18の「月閃」だ。炭素ブレードを量腕に仕込んでいる。接近戦は禁物だな。もう一機の方はイレギュラーA・Sだ。こちらについては情報がない。気を付けろよ』

「オペレーター。イレギュラーの武装解析急いでくれ」

「「彼が、あなた方の言っていた溝鼠ですか」」

「「……参る……」」

とりあえず近づかれたらヤバい月閃をイレギュラーA・Sと一直線になるように立ち回り、ショットガンとP90を放ち牽制する。

「「…………」」

月閃はかなり素早い高機動型の機体を組み上げているらしい。

弾を避け、瞬間ブースターで俺に近づく。

しかし俺は後ろへバックブースト。

俺めがけてブレードを振り切っていた月閃は空振りし、大きな隙を生み出してしまう。

「控えおろう」

と冗談ぽくつぶやき、月閃めがけてショットガンとP90の装填しているマガジンの弾をすべてくれてやる。

しかし月閃は右腕に装備されたエネルギーシールドを展開させ自機の重要な部分の被弾は避けていた。

「「……終止……」」

これはヤバい。

量腕の武器はリロード中。

重大なミスを犯した。

使いたくはない奥の手だが使うしかない。

早速奥の手を使ってしまうような自分に腹がたち、歯噛みするも状況は変わらない。

右肩の105ミリ滑空砲と、とある企業から譲り受けた左肩の試作型レールガンを展開する。

精神負荷を承知で神経接続に半ば強制的に侵入し、105ミリ砲のロックオンシーカーを月閃から外す。

105ミリ砲の砲身を真下へ向け間髪入れず発射。

大きな爆発と巻きおこる粉塵によって突撃を断念する月閃。

そんな中俺は、後方で狙撃に徹していたA・Sに対しレールガンを放つ。

辺りに響き渡る電撃音。

そして撃たれた相手は、

「「くっ!?溝鼠風情が……!」」

右肩を装甲ごと貫通させられたイレギュラーA・Sがさらに後退する。

「「こちらテスタメント。月閃、長くは持ちませんよ」」

「「……承知……」」

テスタメントと自ら名乗ったそのイレギュラーは両背からミサイルと対戦車ライフルを展開、ロックオンと共に俺に向かってミサイルを放つ。

俺は追ってくるミサイルにショットガンを月閃には105ミリ滑空砲を向けながら牽制しつつタイミングを見計らう。

しかし、相手もやはりただで命をかけているはずもなく、テスタメントの左肩に載る対戦車ライフルが火を吹く。

「うっ……そだろっ!!」

強引に機体を旋回させなんとか回避。

「「……勝機……」」

旋回で発生した慣性で左腕のショットガンを月閃に向け放つ。

ショットガンを至近距離で全弾喰らった月閃は衝撃で一時停止する。

俺にはこの一瞬でいい。

「死ね」

展開している105ミリ滑空砲をテスタメントに発射。

テスタメントの胴体に当たるも、テスタメントはまだ動いていた。

「「ゴハッ……!!こ……これ以上は限界ですね……。すみません月閃……。テスタメント、撤退します」」

「「…………」」

俺と月閃の間合いはそう遠くなく、しかし俺は敢えて前に踏み出す。

「次はお前だ」

「「……笑止……」」

右腕のP90を再度展開。

月閃に張り付きながらP90をばらまき、ショットガンで的確に射撃する。

「「……失策……」」

そして105ミリ滑空砲を展開し、追い討ちとは名ばかりの処刑まがいに容赦なく至近距離で攻撃。

「「……無念……」」

105ミリ滑空砲の砲弾は月閃にクリーンヒットし、月閃はその場に沈んだ。

「成る程、シープイーターの言うことも一理ある。この程度か…皇国軍兵士も」

『ごちている暇はないぞ。約一分後に更に敵A・S二機と接敵するぞ』

「まあ、なんとか間に合ったんだ。よしとしようぜ」

その時、オープンチャンネルにて明らかな敵意を持って話す人間の声が二つ。

「「月影、こいつか。企業の飼い犬は」」

「「その様だの。しかし飼い犬とはいえ、月閃を倒すほどだ。ぬかるなよ、アルヴァ」」

鋭い鋭角的なフォルムの高速機と、丸みを帯びた分厚い装甲の機体二機が高速で突っ込んでくる。

『敵機体確認。映像識別開始。……完了。敵機体……まずい!ランク23、月影だ!』

「23で何をそんなに慌てて……」

『お前…知らないのか?過去にあいつはロシアの企業に所属していたA・S全四機をまとめて一度に撃破し、企業を壊滅寸前まで追い詰めたほどのパイロットだ。大扶桑皇国の英雄だよ』

「ふーん。で、もう一機は?」

『あの鋭角的なフォルムを販売している企業、国家は……なにっ!?』

「どうした?」

『あのフレームを販売している企業は…かつて月影が壊滅寸前まで追い詰めたロシア企業、トライデントのフレームパーツだ!!それに…アルヴァと言えばトライデントの虎の子、北方の雄とまで呼ばれたパイロットじゃないか……!なぜ月影と…いや、なぜ大扶桑皇国に……!?』

「なるほど…人違いでは無さそうだ。偶然にしては出来すぎてるしな。イレギュラー違いってわけか」

俺らの生きるこの戦場で言うイレギュラーには二つの意味がある。

各企業や国家に帰属しない、かつ様々な企業や国家のパーツなどを制限を受けずに組み立てることができる。

こうした型にはまらないA・Sのことをイレギュラーと呼ぶ。

もう一方アルヴァのように過去に死亡扱いとされ、ランキングからも外されたが、しかし本人はちゃっかり生きていましたみたいなやつのこともイレギュラーと呼ぶ。

まぁ、九割五分は死んでるが。

俺のイレギュラー違いとはそういう意味だった。

「……ともすれば…さっきと同じようにはいかねぇか!!」

機体を前進させる。

分厚い装甲のA・S、月影対策でレールガンを展開、鋭角的なA・Sに対してP90を選択。

「さて……どうくる?」

先に鋭角的なフォルムの高速機が突っ込んでくる。

「「行くぞ、飼い犬。お前は…俺を楽しませてくれそうだ…!」」

月影は後回し、先にこいつを秒で片付けるか。

ってか…

「楽しむって……まだ居たんだ、そういう時代錯誤な厨二患者って……」

ぼやきつつも、相手の銃口が此方に向いた瞬間、右に回避。

相手の武装をさらっと見る。

右手にはM4アサルトライフル、左手には14EBRが構えられている。

左肩には四角い正方形の箱の中を十字に仕切った形の4連装ミサイル「ボム・ボックス」がある。

それをたてに二つ横に二つの計四つのボムボックスが装備されていた。

右肩には

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