14話 古の命
14話目です。
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これもみなさんのおかげです。ありがとうございます。
風が吹く。
木が揺れ、葉が散る。人の命もそれと同じ。
命はあまりにも残酷である。
人間ならば心臓や急所を潰せば、簡単に死んでしまう。
木の葉も風で飛ばされ、放置されれば同じこと。
やがて体が弱くなり、いずれは死ぬ。
それが、それぞれの生きている者たちの命の流れである。
西暦965年 6月23日 夜
もうじき夏を迎えるころである。
カイトは男子寮で寝ていた。
ギルドにはもちろんベッドなどはあるが、この魔術学園では、資格を持たない人間、つまり無力と呼ばれる人間は、ちゃんとした資格を取らない限り、たとえギルドマスターでもギルドで泊まることが出来ないのである。
グランに話せば何とかなるが、カイトはクロノスの塔までいくのが「ダルイからいかねぇ!!」という理由で行かないのである。
しかも、資格を持っていないのはカイトだけであり、他のギルドからなどから入ってきた連中は、ギルドに入るために資格を見せなければならない。
アスカもなんとか資格を取って、ギルドで暮らしているのである。
だが、カイトがギルドに入れないわけではなく、ただギルドの権利を持っていないだけである。
以前のグランが渡した紙は、ギルドの承認だけであって、カイト自身に権利を与えたわけではないのである。
「っつー…すげぇ寂しい。」
枕を抱きしめ、泣きながら布団にこもる。
ビリーブのギルドメンバー全員はギルドで今頃寝ているころだろう。
悔しく思っていると、窓をコツン、コツンと叩く音があった。
窓を見ると、一匹の狐がいた。
口には手紙をくわえていた。この魔術学園では、動物などに手紙を届けさせるシステムなのである。
人間たちは、ギルドなどの仕事で忙しく、なかなか郵便などができないため、訓練などで動物を成長させ、届けるようにしてあるのである。
ベットから立ち上がって、頭をかきながらカイトは窓を開け、狐を中に入れる。
だが、突然狐から煙が出て、カイトを包み込む。
「ぐほ…なんだ…この煙…。」
やがて煙が消えて、カイトが目を開く。
だがそれはあまりにも驚く出来事だった。
まだ煙が消えていなかったため、見えてはいないが。
真っ裸の状態で人間の姿に戻り、口に紙をくわえたアスカだった。
「んな!?」
あまりにも驚いたカイトはニ、三歩後ろを歩いて腰をぬかす。
アスカは自分の体を気にせず、カイトに自分が加えていた手紙を渡した。
カイトは先ほどの出来事を思いながら、顔を真っ赤にして、おそるおそる手紙を取った。
封を開けて、手紙を開く。
すると、それはグランからの手紙であった。
いまから、魔術学園の中央の噴水に来い。
大事な話がある。
それだけしか内容は書いてはいなかった。
「一体何が…」
カイトは手紙を置いて、急いで着替えだす。
パジャマを脱いで、黒い半ズボン、赤いシャツを来て準備をした。
着替えてる最中、カイトはアスカがじっと見ている事に気づく。
「おいアスカ…せめて体を隠してくれ。」
「…ふぇ!?」
自分が裸の姿だと気づかないかのように、顔を赤くしながらカイトのベットの布団で体を隠した。
耳が垂れ下がり、布団を一生懸命のようにして握り締めていたアスカに、カイトも一瞬顔を赤くした。
「と…とりあえず帰ってくれ。か、かぎ閉めるから…」
といってカイトは自分の予備用の服を差し出して、部屋のドアを開けて出て行った。
今回からキャラを紹介していくと言ったので、紹介していきます。
まずはカイトから。
カイト・フェリス 16歳
黒い髪が特徴です(見えてないから分かりませんが…)。
趣味は漫画、手伝い…
好きなもの 肉、やさい、仲間…
嫌いなもの 悪い奴…
小さいころからこの魔術学園で預けられている孤児の子です。
親は誰なのかも分からないまま、ずっと親を探している子ですね。
なぜ、カイトが突然魔法を使えるようになったのかは、これからの話で分かる…はず?
次回は、次の依頼の話です…