12話 火竜
ドラゴン…かっこいい。
傷口を巻いている包帯から血がにじみながら、カイトは森を走っていた。
移動中意識を保ち、走り続けるのはかなりキツイ。
その状態の中で、カイトは走り続ける。
やることは、あの神獣を止めること。
一度敗れた相手に対して、カイトは考えていた。
あの角の攻撃はどうやって防ぐのか。
□
神獣は山の洞穴から300メートルほど離れたところで立っていた。
口からよだれをたらして、周りを見て、獲物を探していた。
赤い目を動かし、まるで睨みつけるかのように探していていた。
カイトは神獣のところまで着くと、ゆっくりと腰を落とした。
あの角の攻撃をなくすためには角を最初に折ること。
そして体から炎を出して、地面から飛んだ。
右手にありったけの炎を纏って、神獣の鋭い角に思いっきりぶつける。
ゴンッ!!!と激しい音をたてる。同時に角に亀裂が入り、折れた。
これで角の攻撃はなくなった。
神獣は倒れ、カイトは地面に着地した。
カイトは左右の手に炎を纏って、神獣の体を殴り続けた。
その手はすべてを焼き払う、まるで空想上の竜のような炎だった。
だが、ブシャと妙な音が鳴った。
同時に血が飛び散る。カイトの腹の傷口から血がもれていた。
激しい痛みに耐え、そのうえ角を折ったときに、かなり体に負担がかかっていたのだ。
「ご…ふ…」
そのままカイトは倒れこんだ。傷口からはありえないほどの血が出ていた。
炎の手で傷口を押さえて、止血をしようとした。
だが手遅れだった。意識は保てず、そのまま気絶しかけたのだ。
魔力が尽き、カイトはもう立ち上がることも出来なかった。
神獣が倒れたカイトのところに向かう。
よだれを垂らし、神獣の目は赤く染まっていた。
もはや全ての力を出し尽くし、諦めかけたカイトだった。
神獣の鋭い歯がカイトの方に向かう。
手は動かず、足もあがらず、もはやカイトは人形状態になっていた。
だが、カイトの体から炎が出てきた。
神獣は驚いて、後ろに下がった。
カイトはそのまま立ち上がる。傷口からはもはや死んでもおかしくはないほどの血が出ていた。
それでも、カイトは立っていた。痛みなどない、まるで人形のようだった。
その瞬間、カイトは神獣を炎を纏った足の蹴りで空に吹き飛ばした。
そして神獣が飛んだ場所に飛んで、また蹴りをいれる。
急落下して、たたき落とされた神獣は体をビクビクさせながら、起き上がろうとしていた。
だが、立ち上がった時にはもう遅かった。カイトは空から右手を構えて、炎を纏っていた。
すべての炎を右手に纏う。空から急降下しながら、その拳を握る。
その右手は、火竜の爪のように。
「火炎拳!!!!!」
その拳は神獣の体にくい込み、回転しながら吹き飛ばされていった。
12話終わったー!
なんとかバトルはおわりました。