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狼の瞳にうつる世界(仮修正版)  作者: 蒼鈴六花
1章 二人の弟子
9/25

水浴びと特性

なんとか投稿です。

俺が二人に出会った日、自分の棲家に着いた頃には日が沈んでいた。

洞窟で二人を下ろすと、二人ははしゃぎ疲れて眠そうにしていた。

洞窟の一番奥に行き寝転がると、それを見てうずうずし始めた二人はすぐ腹に飛びつき、


<ふっかふかーーー!!>


「すごいふかふか、ふさふさですー!」


と喜んだ。少しくすぐったかったが、別に不快でもなかったのでそのまま二人を観察してると、二人は頬ずりしたりして毛皮のふかふかさを十分に堪能した後、ぐっすり寝てしまった。


そのままだと寒そうなので、尻尾を優しく二人の上に被せてから、少し微笑み、


(なんか暖かいな……)


そう思ってから頭を地面に下ろし自分も寝ることにした。




そして翌朝、いつも通り日の出数分前に起きると、まだ二人はぐっすり寝ていた。

いつもなら日の出を見に出るのだが、二人を起こすつもりはなかったので、動かずじっと二人を観察する。

シェリトゥスは大人びたしゃべり方をしていたが、昨日のはしゃぎっぷり(レイよりはおとなしいが)を見ると、精神年齢は多少高くてもやっぱり子供のようだ。

レイはしゃべり方からしても、中身は外見通りの子供らしい子供、やんちゃな雰囲気からシェリトゥスより少し幼く見える。


二人の寝顔を観察しながら、寝る時に魔法を発動させておいて良かったと思った。


対雨の日用に開発した魔法を発動させていた。自分に触れそうになる液体を消滅させる魔法。正確には、自分を不快にさせる液体、自分に害がある液体等を消滅させる。

雨の日とかに濡れずにすむので便利だ。

なぜそんな魔法を発動させていたか……


レイはおもいっきりよだれたらして寝ていた。よだれが自慢の毛につくのはさすがにいやだったので、万が一のために発動させておいたのだ。嫌な予感もしていたし。

人だった頃から勘はよかったが、狼になってからさらによくなったようだ


レイのよだれが垂れた瞬間、ジュッという音をたててよだれが消滅する。


(……)


じっと寝ている様子の観察を続ける。

二人とも幸せそうな顔して寝ている。きっと良い夢でも見ているのだろう。

300年間触れることのなかった生物の暖かさを感じながら、自然と優しく見守っていた。


それから3時間ぐらいして、ようやく二人は目を覚ました。


<ふあぁぁぁぁぁぁ>


「ふわぁ…」


二人揃って欠伸をして。


「良く寝たな」


「あっ、はいお陰様で、すごくふかふかだったんで、ついぐっすり寝てしまいました。おはようございます!」


<俺もふかふかで気持ちよく寝れたぜ!あんがとな!>


「そうか……レイ、よだれ……拭いとけ」


<おわっ!?よだれ垂れてた!>


あわてて前足で口をこするレイ。


「レイ!まさか師匠に付けてないだろうな!」


とシェリトゥスが怒るが、


「寝る前に……発動させた……魔法で……ついてない……安心しろ」


「いつの間に。すごいです師匠!」


<魔法って地味にすげーな>


と二人とも感心した。そんなにすごい魔法でもないのだが。


「さて今日は……何をするかな。」


今日することを考える。二人の師匠になったから、今まで通りじゃいけないだろう。などと考えていると、


「魔法を教えてください!」


<あっ!俺も俺も!魔法って楽しそうだ!>


「魔法の知識……ないのか?」


「少しだけならあるようなのですが、使うには知識が足りないです」


「そうか……なら魔法を……教える。……泉にでも……行ってやるか」


特に準備するものなんてないので、そのまま行くことにする。

洞窟の入り口まで来て伏せの姿勢になる。


「乗れ」


二人が背中によじ登り、


「しっかり……つかまっとけ」


二人はそれぞれ元気よく返事を返して背中にしがみつく。


「いくぞ!」


俺は空に飛び出した。そしてまっすぐ森の泉に飛ぶ。

二人のためにいつもより遅く走ったが、すぐに目的地について二人を降ろす。


「うわぁ、キレイなとこですねー」


<きらきらしてるぞ!>


降りてすぐに、二人は森の泉に近づく。


「ついでに……顔洗っておけ」


二人は初めて水に触るからか、そろそろと慎重に指先で水に触れて見た。レイは匂いを嗅いでから顔を突っ込み泉で顔を洗い始め、シェリトゥスは手ですくって丁寧に顔を洗った。


顔を洗い終わった後、レイが先に水を前足で叩いたりし始め、それで跳ね返った水がシェリトゥスにかかり、シェリトゥスはお返しとレイに向かってすくった水をかけ返したりしてばしゃばしゃと遊び始めた。最初は喧嘩みたいな感じだったが二人ともすぐに楽しそうに水遊びを始めた。

俺は、はしゃぐ二人を少し微笑ましく見ていた。


「今日は……魔法の練習……じゃなくて、遊ぶか?……それか……泳ぎの練習でも……するか?」


「っは!?つい遊んじゃいました。でも魔法の練習もやりたいけど泳いで見たいし……どうしよう」


<俺も迷うぞ……どっちも楽しそうだ>


二人とも必死に悩み始めた。


「泳いだ後……水系統の……魔法練習……するか?」


と聞くと。


<「うん!!」>


二人とも一瞬で目を輝かせてうなずいた。


「泳ぐんなら……シェリトゥスは……ズボン以外……服脱いどけ。……重たくて……動きづらい……からな」


そう言うと服を脱ぎ始めるのだが、てこずっているようだったので、

シェリトゥスを手伝うために人化の術で人の姿になると、


<「!?」>


と二人はこちらを見て驚き、


「師匠の姿が変わった!」


<シェリトゥスみたいになったぞ!師匠、何なんだそれ?それも魔法か?>


「魔法だ。……人化の術……と言っている」


「人化の術ですか。魔法はそんなこともできるんですね」


それからシェリトゥスの服を脱ぐのを手伝う。シェリトゥスに魔法をかけて服が濡れないようにもできるが、自分でやれるようになるまでは手伝わない。魔法に頼り過ぎるのもよくないしな。


「あれ?師匠は服、脱がないんですか?」


「無意識に……使う魔法で……何とか……なる」


「その魔法僕には使えないんですか?」


「使えるが……使わない。自分で……できるように……教えるが、……今はまだ……できない……だろう?」


シェリトゥスはよくわからないと言った顔をしている。


「魔法に……頼りすぎる……のは……よ良くない」


「そうですか。分かりました」


その後、念のため軽く身体を動かした後、


「泳ぐか」


<「おおー!!」>


そういって二人は元気よく泉に飛び込む。その後に静かに泉に飛び込んで……

溺れかけた二人を救出した。


「自分が……泳げる……か分かからないの……に飛び込む……な」


<ごめん>


「ごめんなさい、知識に泳ぎ方があったのですが……無理でした」


「知識に……あっても、実際……できるかは……別だ」


「はい」


腕に抱えられて水から顔を出した二人は、しゅんとしながら謝った。


「ここの泉は……結構深い……以後気をつけろ」


注意してから、


「岸辺か何かに……つかまりながら……泳げるか……試していけ」


そういうと、二人は俺にしがみつきながら色々試し始めた。なぜ二人とも俺にしがみつくのか……


ちなみに俺は泳いでいない。魔法を使って水を固定化して、その上に立っている。


二人は自分で色々考え、試行錯誤しているようだ。

それを溺れないように見守りながら、アドバイスをしていく。


<うぬぬぬぬ!>


レイは必死に足をばたつかせ、何とか水から顔を出している。


「うぷっ!わぷぷ!」


シェリトゥスは俺から手を離したとたん溺れかけ、また俺にしがみついての繰り返しだった。


そんな二人の様子をしばらく眺めているうちに、


「だいぶ水に……慣れてきた……ようだな」


「はい……なんとか」


シェリトゥスは身体を動かすのが苦手そうで息切れ気味だが、レイは逆に得意そうでまだまだ元気だ。


<俺、結構泳げるようになったぜ!>


シェリトゥスはちょっとまだ泳げなさそうだが、レイはわりと早めに泳げるようになったのでちょっと余裕な感じである。


「今日は……水に潜るのは……できそうに……ないな」


シェリトゥスの方は寒そうだった。


「少し休憩して……魔法の練習……するか。身体が……冷えただろう」


ふるふるとシェリトスは震えながら、


「はい……寒いです」


反対にレイはケロリとして、


<そうか?俺は全然大丈夫だぜ?>


二人を抱えて陸に上がり、火の魔法を使う。

無詠唱の初級魔術で30センチくらいの火の玉を出した。


いきなり空中に出た火の玉に、二人ははしゃいで喜んだ。


<なぁなぁ!これどうやるんだ?教えてくれ!>


「僕もやりたいです!お願いします!」


「ここでは……だめだ。初めて……火属性魔法……使って……暴走させたり……したら、どうなる?」


「そ、そうですね」


<うー、今使いたかったぞ>


「火の近くで……温まっておけ。……代わりに……水属性魔法……教えてやる」


そう言うと、少し落ち込んでいた二人は一気に喜び始めた。


(感情の浮き沈みが激しいな。…子供だからか?)


そんなこと思いながら、色々と暇な時間に考え事をする。


シェリトゥスだけが寒そうに火に近寄っていて、レイはきらきらした目で火を見続けていた。


俺は自分の魔力が勝手に(無意識に魔法を使っている)体温調節しているので、寒くない。レイは、ドラゴンの持つ鱗が耐寒性にも優れてるから寒くないようだ。シェリトゥスは、まだ魔力操作もできないので体温調節の魔法ができない。


それから数分休憩した。

シェリトゥスが元気になってきたのを見て、


「大丈夫……そうだな。魔法……使う。……見ておけ」


そうして俺は泉の淵に近寄る。後から二人がついてきて、俺をじっと見上げる。

俺は少量の魔力を操作し、呪文を一言唱える。


「水よ」


泉の水がうねってどんどん上に伸びて、僕の前で球体になりつつ、下から来る水が細くなり、最後に切れて球体だけ残り、空中に水の玉がふよふよと浮いていた。


二人は目を輝かせて水球を見上げている。


「これは……水属性。一番簡単な……魔法だ。……使う魔力量……によって操れる……水の量が……増える」


「さっき……休んでいる間……見た感じでは、二人とも……使えるはずだ」


「質問してもいいでしょうか?」


「なんだ?」


「休んでいる間に見たといいましたが、師匠は何を見たんです?」


(今は説明を省いても問題ないので、……後で説明するつもりだったが今するか)


「二人の……属性適正を……見ていた」


「属性適正?」



「人によって……使える属性と……使えない属性が……存在する。使える属性を……属性適正という。……二人の使える…属性は――」


「全部だ」


<おおー!すげーじゃん俺たち!>


「すべての属性が使えるというのは、調和者だからでしょうか?まぁ、全部使えるとは得した気分です。でも、属性適正ってどう見るんですか?」


「探知式魔法……で見た。……探知式は……言葉の通り……いろんなものを……探知する……魔法だ。探知式の……魔法だけ……でも結構……ある」


質問されそうだったので、予め説明を加えて話す。探知式魔法には、探索魔法の強化版とか、さまざまな種類があるので、面倒だからまとめて探知式魔法と呼ぶことにした。


「探知式魔法ですか。色々と使えそうな便利な魔法ですね。早く習得したいものです」


<なんか面倒そうな感じの魔法だな-。>


「レイにあう……探知式魔法もある。気配とかを……察知しやすく……したりするの……とか」


<それ、簡単にできるのか!?>


「他の者よりは……向いていると……いった感じだ」


「元々竜は感覚が……鋭いから、その感覚を……鍛えて……魔法で……補助したほうが、魔法を覚える……より早くて…楽だろう」


<魔法じゃない方がいいときもあるんだな>


「魔法は……何でも……できるわけ……ではない。知識・魔力・技術が……あれば、大抵の事はできるが」


<ふーん、大抵のことはできるって、師匠はどんな魔法を使えるんだ?そういえば属性も聞いてないし。>


「俺の属性は、お前たちと……同じく……全属性だ」


<さすが師匠だな!>


「まぁ、それは予想してましたけどね」


<で、どんな魔法使えんだ?>


「初級から……中級・上級と……ランクが、あるとしたら……基本属性、特殊属性・初級から……上級まで……だいたい……使える。特殊魔法の……時間操作も……できる」


「だが……新しく属性……が生まれる……こともあるし、魔法は……次々と新しい……のが……できる」


「じ……時間操作ですか。まぁ師匠ならやれそうですが。魔法は新しく作り出せるんですか?なんというか色々とすごいです!」


<よく分からんが、師匠はすごいんだな!>


「お前たちも……全属性…使えるから、やる気が……あれば……できるように……なると……思うぞ」


<そうなのか!俺、師匠より魔法使えるようになるかな?>


「お前次第……だが、魔法は……強力なものほど……精密な操作が……必要だ。お前は……そういうの……苦手だろ」


<うっ……面倒なことは苦手だ!>


「その点で……言えば、シェリトゥスの……方が、レイより……魔法に向いて……いるだろう。種族の差も……あるしな」


「精霊は、魔法に向いてる種族なんですか?」


「そうだ」


「精霊は身体が……魔力の元であるマナで……できているからな。。普通、精霊の姿は見えないが、今のお前は……身体を構成する……マナの密度が……濃いから……誰にでも……見えるように……なっている」


「僕を普通の精霊みたいに見えないようにすることは、無理なんですか?」


と、シェリトゥスが聞いてくる。


「体内のマナを……調節すれば、姿を消せる」


「ただし、俺とレイ……には見えてしまうがな」


「なぜ、師匠とレイには見えてしまうのですか?」


「魔法の素質が……高い者や、精霊と……魔力の……波長が合う者には……見える」


「そうなんですか、師匠とレイは魔力の素質が高いから見えてしまうんですね」


とうなずいて、説明の続きを促してきた。


300年の間に得た知識には、この世界の種族に関することもたくさんある。今回は、二人に自分の種族について知ってもらう。他の種族は後々遭遇したら説明しよう。


「精霊は、マナが意思を……持ったような……存在だ、魔力・マナ操作が……他の種族より……しやすく、魔法が……使いやすい……ようだ」


「うーん、自分のことだけど、そういうことが知識に無いなんて、変なとこが欠けてますね。でもまぁ、自分の特性が分かって良かったです」


<なぁ、俺はどうなんだ?>


「竜は、他の種族より……圧倒的に……優れた肉体を……持っている……ようだな」


「レイは……魔法より、竜にしか……できない……ようなことを……重点的に……覚えた方が……良い」


<そうなのか?>


「魔法を……覚えておいて……損は……ない。魔法と……竜の特技を……組み合わせた……方が良い」


<竜の特性って、どんなのがあるんだ?>


「翼で空を……飛べるから、飛行魔法を……覚えなくてすむ。ブレス……火の息とかも……吐ける」


「お前の場合、特性が……あるから……覚えなくても……すむ魔法がある。」


<魔法覚えなくても、俺っていろいろできるんだな>


「そうだが、魔法を……覚えた方が……できることが……増えるって……事だ」


<そっか、俺魔法も覚えるよ!面白そうだし!>


「魔法、教えるに……しても、それぞれの……特性を……考えた方が……良さそう……だな」


「師匠、それを考えるのは後にして、さっきやってた水属性魔法教えてください」


<あー忘れてた!なー師匠教えてくれ>


せがまれたので、魔法の使い方を教えた。

二人は水の初級魔法に挑戦したが。なかなか苦労していた。


「まず、魔力を……感じさせる……ことからか」


俺の時とだいぶ違うなと思う。


「うーん、難しいです」


<初級魔法で、こんなに難しいなんてな>


「……」


俺が、魔力操作を全く知らずに魔法を使っていたこと自体が変だったのか?と思う。


(無意識に使っていることもあったしな。……色々と危なかったな……あの頃は)


と昔を思い出しながら辺りを見ると、辺りがオレンジ色になっていることに気づく。


「もう……夕方か。魔力については……棲家に……戻ってから……教える」


狼の姿に戻り、二人を乗せて棲家へと帰る。

二人は、魔法ができなかったことで、ちょっとしょんぼりとしていた。

魔力操作が少しでもできれば、初級魔法は使えるから明日には魔法が使えるようになっているだろう。





今回は種族についてチラッと説明しました。他の種族が出てくるのは当分、後になります。


ほのぼのしてもっと盛り上がりのある話が書ければと思います。


では誤字・脱字・感想・アドバイス等くださると助かります。

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