姿と魔石の洞窟
ユニーク数1000人突破!読んでくださった方々に感謝です!
忙しかったんでもう少し投稿が遅れると思ったんですが、早めに書けたんで投稿しました。
朝
起きてすぐに、日課になりかけている毛づくろいをして毛並みを整える。
朝は、特に丁寧かつ念入りに毛づくろいしてしまう。まぁやることがあるといっても急ぐことでもないし、とりあえず詳しいことは分からなかったが、500年以上寿命があるみたいだし、のんびりやっていこうと思っている。
(とりあえず今日は、人化したときの姿を見ようと思っていたんだっけ……泉に行くんだったら、ついでに水浴びでもしていこうかな)
毛づくろいでふさふさとした尻尾を振り毛並みを確かめ、
(よし、できた)
仕上がりに満足し、
いつもの洞窟の入り口で座りながら景色を見る。
(今日も良い天気だな。適度に暖かいし、絶好の水浴び日和だ。昼寝も良いかもしれない)
そう思ってから僕は森に飛び降りた。
泉に到着した僕は、
(早速、人化するか)
そうして人の姿になる。
(さて、どんな顔しているのやら)
泉に近づき、地面に手をつき覗き込む。
そこには端正な顔立ちの青年が映っていた。
そして、後ろの髪が一房だけやたら長く地面に垂れていた。
(なんだこれ……やたらと整った顔立ちだな。……しかも髪の一部だけ異様に長いし、尻尾みたいだ)
(…しかしこの顔で「僕」は、若干似合わないな。人だった頃とは全然違う容姿だと、顔を覚えてないのに断言できるし。…自分の呼び方を変えてみるかな。……転生してしまったし、前世と同じままでいる理由ないからな。…よし、今から自分のことを「俺」と言おう)
自分の呼び方を変えることで、少し自分が変化してきていることに気づく。
(まだ転生して1週間も経ってないが、変わってきているんだろうな…まぁ違う生物に転生したら、記憶があっても誰だって変わるだろうけど)
(さて、考えるのはこの辺にして、泉を泳ぐか)
泉を覗き込みながら、念のため深さをみて、
(なんかこの泉わりと深そうだな。潜って見るか)
大きく息を吸い飛び込む準備をし、服を着たまま泉に飛び込んだ。
服を着たままだったのは、なんとなく大丈夫そうと思ったからなのだが、実際不思議なことに、水中でも水の外にいる時と同じ位の服の重みや感覚しかない。
普通動きにくくなったり、服が重くて邪魔になると思うが……無意識に魔法でも使ってるのかな?と思うだけだった。魔力使っている感じが微かにするし。
泉に潜った俺は、水底まで行ってみることにした。
(ほんとに深いなぁ)
潜り始めた頃は、水底は黒く底が見えなかったが、潜っているうちに底が見え始めた。
そうして、2~3分で水底についた。
(…もう2~3分たった気がするが、息全然苦しくならないな。水圧も感じないし…さすがにもうこの身体のハイスペックさには驚かないが)
水底に立ちながら上を見上げる。
(かすかに光が届く程度で辺りはほぼ真っ暗だな……この身体になってかなり夜目が利くようになったが、それでも見えないくらい暗いとは……魔法で照らすか)
そう思い、魔法を使って目の前に光の玉を作り出し、辺りを照らし出す。
(無詠唱でもできたな……)
照らし出された水底は、光を反射して蒼く輝き幻想的だった。
水底の横には、ぽっかりと大穴が開いていた。
(すごくきれいだな……けどこんな所に大穴……洞窟か?があるなんて……)
光の玉を洞窟の方に向け照らして見ると、かなり奥まで続いてそうだった。
(なんか気になるな…息も余裕あるし行って見るか……)
そうして、水底の洞窟を泳ぎ始めた。
洞窟を泳ぎ始めて少しすると、ちらほら光るものが見え始めた。
それらは、水晶のような鉱石で、自ら蒼く発光していた。
その鉱石は洞窟の壁全面から鋭く突き出しており、奥に行けば行くほどその数を増してした。触れれば刺さりそうなので、注意深く避けながら泳いでいく。
だいぶ時間がたった頃、洞窟が上に続いていたので上ってみると、蒼い光が見え始め水面が見えてきた。
水面から顔を出すと、そこは水の中の物より強い光を放つ蒼い鉱石でできた洞窟になっていた。
俺はまだ進めそうだったので、元の姿に戻り、ぶるぶると身体を震わせて水を飛ばし毛づくろいした後、さらに洞窟の奥に進んだ。
そして少しだけ歩いた所で、広い場所に出た。
そこには、一際巨大な蒼い鉱石が中央に聳え立っていた。その上には穴が開き外と繋がっており、外の光を受けてさらに輝いていた。
(きれいなだけでなく、よく見ると、この鉱石は魔力を含んでるようだ…生物以外でもマナを魔力に変換できるのか……この光は魔力によるものか?だとすると、強く光っているものほど、魔力を溜め込んでいるのかもな……)
謎の鉱石を観察しつつ考える。
(魔法研究に使えそうだな……けどどうやって調べたものか……魔法で調べるにしても、属性にはない魔法って使えるんだろうか……魔法はイメージが重要のようだし、新たな属性を作れるかも……)
(この鉱石を調べる魔法でも試してみるか。もし、その魔法がうまく使えるようなら、魔法研究に役立つ)
俺は鉱石の名称、効果、性質等調べたいことを思い浮かべ、知りたいという気持ちを込めてみた。
「探索・解析」
と呪文を言うと、鉱石の前に魔方陣が現れ、くるくると鉱石の周りを回り、フッと消えた。その瞬間、鉱石の情報が頭に流れ込んできた。
名称:マギネラル(魔石)
性質:マナ吸収・マナを魔力に変換そしてそれを溜め込み発光する。魔力吸収も可。
効果:魔力を吸収させ蓄積できる。魔力を蓄積した魔石は、魔法を込めた人以外であっても使用可能で、念じて呪文を唱えると魔法が発動する。なお、魔石の質しだいでは、複数魔法の装備も可能。
鉱石を調べた結果は大体こんな感じ。
(あっさりできたな…新たな魔法を作り出すことが可能ということか。いろいろと試すことが増えたが、できる幅が広がるのは素直にうれしいな)
尻尾を少し揺らしつつ作業に取り掛かる。
(魔石か、色々と使えそうだし採取して収納用空間に放り込むか)
中央にある巨大な魔石は残しておいても、周りにはいくらでもあるので、質とか大きさに関係なく、くわえて引き抜いたり、折ったりして採取した魔石を収納空間に放り込んでいく。
(このくらいあれば大丈夫だろう……まぁ足りなくなったらまた来ればいいし…ん?もしかしたらイメージしだいでは魔法で増やせるかも……植物みたいに増やせるといいな鉱石育成とかいいかもしれない……)
(魔法は万能ではないが、大抵のことはできそうだ。地道にできることを、探すのもなんだか楽しいしな)
(とりあえず、今日は魔石育成ができるか試すために、帰るか)
俺は上を見上げて穴を見る。
(人型なら通れるか?人型でも飛べるか、試してできるようなら、あそこを通って帰ろう)
人型に変化し、浮くイメージをすると、自分の周りにふわりと風が吹いたと思ったら浮いていた。
(よし、これならいけそうだな)
上の穴まで飛び、外に出る。
辺りは夕方になる少し前くらいといった感じだった。
(結構長い時間洞窟にいたんだな……今日はもう帰って魔石を育成できるか試すかな)
宙に浮きながら、元の姿に戻り棲家に帰った。
棲家に帰りつき、一つ魔石を取り出し観察する。
(適度に魔力を与えれば、照明代わりにもなりそうだな。…洞窟の天井に埋め込めば、明かりにいちいち魔法使わなくてもすむな。これで魔法の道具みたいなものを作れば、色々便利になりそうだ)
(魔法の道具って、言い方変えた方が良いな。これから色々作れそうだし、一応魔法具と言うことにしよう)
(まずは、十分な魔石が欲しい。今まで見てきた限りでは、魔石はマナが濃い場所もしくは魔力の濃い場所にできそうだな…この洞窟にはマナが豊富だし、ここでも魔石できるかもな)
洞窟の壁を見て、片足で壁を少し引っかき壁に傷をつけながら、
(もう少し洞窟大きくしたほうが良いかな?これから色々するだろうし、身体のサイズも元の大きさに近い方が楽だしな…それに、岩山だから普通の山より簡単に崩れたりはしないだろう。念のため魔法で補強するか)
(今日はもう暗くなってきたし、少し掘って棲家を大きくして寝るか)
出したままだった魔石をくわえて収納空間にしまい、壁を爪で切り裂いていく。
斬られた岩は、それ専用の収納空間にずぶずぶと入っていく。
岩壁をどんどん切り裂く爪の切れ味は、刀とは別の意味で凶器だったが、自分の身体の一部なので危ないとは思わなかった。実際気をつけないと、すごく危険なのだが。
黙々と完全に暗くなるまで、前足でスパスパ斬りながら洞窟を広くした。
作業している間、楽しそうに尻尾が揺れていた。
(以外に楽しかったな。地味な作業だが飽きなかったし)
前足を舐めて毛づくろいを始めながら、明日のことを考える。
(明日は棲家を拡張してから、魔石増幅できるか試すのと平行して、色々魔法を試そう)
色々やりたいことが多く、楽しみは増える一方だ。
そう考えている間に毛づくろいが終わり、広くなった棲家に合わせて少し身体を大きくして丸くなる。
(明日が楽しみだ)
そう思ってから大きく欠伸をして寝た。
自分では変なところとか見落としがちです…なかなかうまく文章が書けませんね。面白い小説書く人たちほんとすごいです。
自分もあんなの書けたらと思って、日々面白いものを書くため奮闘中です。
では誤字・脱字・感想・アドバイス等ありましたらご連絡ください。