種族と魔法の使い道
少し遅れましたが投稿
泉から戻った後、寝るまで魔力を扱う練習を二人にさせた。
まず、俺が二人の中に魔力をほんの少し流して、二人の魔力を少しだけ操る。自分の魔力が動く感覚を掴んで貰う為だ。
後々分かったが、他人の魔力は普通操れないようだ。俺がやった自分の魔力を使って他人の魔力を操るという技は、まず他人から他人の身体に魔力そのものを流すこと自体が難しいらしい。すんなりできたんだが。
二人は、自分の魔力を感じることに成功したが、動かすまでは少しだけ時間がかかった。
続けて魔力を操る練習をさせたが、二人ともすぐにうとうとし始めた。俺がいつもの場所に行って寝転がって、二人に今日はもう終わりにして寝ることを告げると、ふらふら近づいてお腹にぼふっと倒れこみ爆睡した。
尻尾を二人に上に乗せて自分も寝る。もちろん魔法は忘れない。
次の日、いつもの習慣で早く起きる。
あいかわらず、レイはよだれを垂らして幸せそうに寝ている。シェリトゥスは尻尾を掴んで、こちらも幸せそうな寝顔だ。
女性だったら母性本能全開になりそうなくらい、幸せそうな寝顔である。
子供はいいなと少し思ってしまう。
しゃべるのは苦手だが、この子たちとしゃべるのは嫌いじゃない。まだほんの少しの短い間だが、この子達といることをうれしく思っている。
300年誰とも会えず過ごしていたことに、少しだけ孤独を感じていたのに気がついた。
(やはり、300年は長かったんだろうか?感覚的には3年くらいなんだが。……それでも300年という時間は確かに経っていて、孤独を感じていたんだろうな)
300年を振り返って物思いに耽る。
湧き出す不思議な知識は、俺がある程度技術を身につけたり知識が増えると、現れた。新たな情報から、魔法研究や魔道具作り等をして過ごした300年。色々と思い出していたら、お腹のほうから欠伸が聞こえてきて、二人が起きた事に気づく。
<おはよ~師匠>
「おはようございます師匠」
寝ぼけ眼で目をこすったりしながら挨拶してくる。
「あぁ……おはよう」
二人を見ながら答えた。
今日は二人を背に乗せ、自分が始めて魔法を試した草原に向かう。
目的地に着き二人を降ろし、早速練習に取り掛かる。
「始めるぞ。魔力を操作して……目の前に火の玉……出して見ろ。呪文は「火よ」だ。魔力量は俺が……見といてやる」
俺が最初に魔法を使った時は、魔力量なんて知らなかったが、無意識にやっていたらしい。だが、刀作った時は込めすぎていたようだ。
<「はい!(おう!)」>
二人は集中して魔力を操作していく。
「レイ……力を入れすぎだ」
<むむむむむ>
レイは少し力を入れすぎる癖があり、魔力操作が苦手らしい。一方、シェリトゥスは魔力操作がうまい。
二人には、魔力調整ができた所で呪文を唱えさせる。
<「火よ」>
二人の前に、5~8センチくらいの火の玉ができた。
ちなみに、レイは念話と同時に竜の言語で呪文を言っているので、「キュイ」という声も聞こえている。
<「やったー!できた!」>
二人ともピョンピョン跳ねて、大喜びしている。
大喜びと同時に集中力が切れたので、火の玉はゆっくり消えた。
<「あっ!」>
<消えちゃった……>
ちょっとしょんぼりとした二人。
「喜んだと同時に……集中力が切れたからな。だが1度……成功したから……コツは……掴めただろう」
「これができた……のなら、他の……初級魔法も……できるはずだ。次に試すか?」
<「うん!」>
しょんぼりした空気から復活した二人は、次の魔法に興味を持ち始め、元気になった。
「次は、風の魔法でも……使うか。さっきと……同じ要領で、今度は……「風よ」だ」
その後、二人に初級魔法を一通り試させた。
何回か魔法を使うと、集中するのに疲れてきた二人は、
「し…師匠疲れました」
<俺これ以上集中できねぇ…>
「一旦休憩するか」
そう言うと二人に飛びつかれた。
ぼふっ、という音とともに二人は身体にしがみついてきた。
ト○ロに出てくるメ○が、○トロのお腹に飛びついてしがみつくような感じの勢いと動作だった。
「元気だな……お前ら」
少々あきれ気味に言いながら、すぐ寝そべって二人が休めるようにした。
俺が動き出した時、少し手を離して、寝そべったとたんお腹にダイブされた。
二人ともよほどふかふかな毛並みを気に入っているようで、頬ずりしながらうとうとし始めあっという間に寝てしまった。
なれない魔力操作と魔法をし続けたので、疲れてしまったのだろう。いくら調和者といっても、つい3日前に生まれたばかりの子供だ。意識は、300年くらい前からうっすらあったようだが(自我形成までにはいたらなかった)。身体は3~4歳くらいだ。3日前にようやく自我が形成されて、身体も構築されたらしい。
眠気もないし、身体も動かせないので暇になる。
二人が寒くならないように、一定以上の風が吹かないよう魔法で調節しながら、ぽかぽかと太陽の光を浴びて日向ぼっこすることにした。
たまには外で日向ぼっこするのも良い。二人を見ていると、なんだか温かい気持ちになる。
ゆったりと穏やかな時間が流れる感覚に身をゆだねて、二人の弟子を見守る。
草原に優しい風が吹いていた。
それから数時間後。
二人とも起きだして欠伸をしている。
「中級魔法はまだ……無理だろうから、種族ごとの特性を……教える」
「種族の特性ですか?」
「あぁ……種族にはそれぞれの……特性がある。それの練習だ」
<特性か。俺にはどんな特性があるんだ?>
「昨日も話したが、ドラゴンの一番の特徴は……強靭な肉体だ。鱗は天然の鎧になり、力も強力だ。それに自分の持つ……属性によって、ブレスを……吐くことができる。お前は竜王だから……全属性だ」
<おおー!俺強いんだな!>
「今はまだ……そのブレスすら……まともに……できないがな。だからお前は……これからブレスの……練習だ」
<うー、早く使えるようになっていつか師匠を越えてやるー!>
「レイのは分かりましたが、僕の特性は何ですか?」
「精霊は……主に基本属性を……司っているから、基本属性魔法を……圧倒的に強く……できる。」
「魔法強化ですか。色々と使い道がありそうな特性ですね」
「お前はこれから……基本属性……魔法の……練習だ」
「はい!早速やってみます」
<なー、俺のはどうやるんだ?>
「本能でわかると……楽だが、ブレスは体内……で使いたい属性を……集中して集める……感じだ。それを……口から出すだけだ。属性は……基本属性のみ……だがな」
<おう!やってみる>
二人はそれぞれ練習に取り掛かる。
シェリトゥスの方は危険性は無いが、レイのは危険なので、重点的に見る。
「ブレスは……一番火が出しやすいので、やる時は……空を狙えよ。」
<そーなのか。よし!>
なにやら力を思いっきりため始めた。まだ幼いとはいえ、竜王としての力はもうある程度持っている。
「力みすぎだ!」
すぐに注意したが、レイは空に向かって口を開けた。
俺は、瞬時に二人と自分に水属性の防御結界を張った。
レイがブレスを吐いた瞬間、大爆発が起き、周りの草に火炎が飛び散った。
すぐさま水魔法で消火した。
「始めてやるものに、そんなに力を……込めるな!……失敗した時の……ことを考えろ!」
尻尾でレイを叩いて、レイがベチっと音を立てて地面に叩きつけられた。レイは震えながら立とうとしたが、立てずに座り込んで大泣きしてしまった。
「あ……危なかったです」
突然の出来事についていけなかったシェリトゥスが、立ち直って安堵の言葉をもらした。
そして、俺はここまで大泣きされるのは予想外で少し驚いたが、レイに近寄り頬を舐めて涙を拭ってやった。
「すまん。やりすぎた。ちゃんと……教えて……いなかった俺が……悪かった」
さすがにまだ幼い相手にやることではなかった。どう説明したものか、思わず尻尾ではたいてしまった。なんとか、泣き止ませようとした。
「男があんまり……泣くもん……じゃない。年のことを……考えると……泣くなとまでは……まだ言えんが」
不器用だから、うまい言葉が思いつかなかった。
涙を拭ってやるぐらいしかできない。
とりあえず泣き止んで落ち着いてきたのを見計らって、
「これは……シェリトゥスに……言える事だが」
シェリトゥスがこちらを向く。
「強い力を……持つものは、力の使い方を……知らねば……ならない。ほんの少しの……ミスで、誰かをを……傷つける……かもしれない……からな」
レイも目をこすりながら、じっとこちらの話を聞いている。
「お前たちは……まだ子供……だから、責任は……俺が持って……やるが、全ての面倒は見れない。強い力には……責任がついてくる事……覚えておけ。わかったか?」
少し二人には難しすぎるだろうか、とも思ったが、
コクンとうなずく二人。
「よし……良い子だ」
今の状態だと、手で頭を撫でられないので、尻尾で二人の頭を撫でてやる。
レイは泣き顔から笑顔になり。二人ともうれしそうに笑った。
撫で終わってから、二人に新しい魔法を見せることにした。
「少し早いが……複合魔法を……見せてやる」
「複合魔法……ですか?」
「基本属性を……合わせて発動する……術の事だ」
「ただ、複数の……魔力を……別々に操作……しなければいけない……から……難しいが」
「そんなこともできるんですね、色々と汎用性が高そうです」
シェリトゥスが何か考え始め、レイが質問してくる。
<なー、それってどんなことができるようになるんだ?>
「組み合わせ次第で……色々できる。実際……見れば……分かる」
<そっか。じゃあ早く見せてくれよ。師匠!>
「これから……無害な術を……実演する」
考え込んでいたシェリトゥスもこちらに向き、二人できらきらした目を向ける。
俺は魔法を発動させた。
少し離れた空中に、大きな氷の塊ができたかと思うと、内側から光り始め、弾けた。
氷は小さい欠片になって、きらきらと蒼く光りながら飛んで、地面に降っていった。
とても幻想的な光景で二人とも見入っている。
すべての欠片が落ちてから、
「まぁ……こんな感じだ」
「適当に……組み合わせても……発動するが、危険な術に……なる可能性が……あるから……注意しろ」
<すごいきらきらしてたぞ!>
「ええ、すごくきれいだったです!師匠、どうやったんですか?」
「氷と光を混ぜた。コツは……氷の魔力密度を……上げること。それで蒼く光る」
「氷と光。僕も早く自分でできるようになりたいです」
「複合魔法は…実力しだいで……組み合わせができる……数が変わってくる」
「一つでも難しいのに、複数の魔力を同時に操作するのは相当難しそうです」
「今はまだ……無理だが、そのうち……できるようになったら、色々試して……オリジナル魔法……作って見るといい」
「だが……作る時は、さっきも……言ったが、危険が伴うから……注意しろ」
「わかりました!オリジナル魔法ですかー。あぁ早く作ってみたいです!そのためには、がんばらなきゃいけないですね」
「イメージ次第で……オリジナルは……いくらでも……作れる。力量にも……よるが」
<俺も!強い魔法作る!>
「レイ。作る時には……極限まで……魔力を抑えろよ」
レイは普通に危険な感じだったので注意する。
「さて……そろそろ……帰るか」
「えっ!……あっもうこんな時間」
辺りはオレンジ色になり始めていた。
俺は二人を乗せて、洞窟に向かって空を駆けた。
「師匠。明日は何をしましょうか?」
「人化の術でも……やってみるか。後々使う……可能性も……高いしな。早めに覚えて……損は……ない」
<人化の術って、昨日師匠がやったやつだよな?あれ覚えるといい事あるのか?>
「色々と……便利だ」
<そうなのか?>
レイは首を傾げた。
「そのうち……分かる」
そんな会話をしながら、棲家に向かった。
なんだか変なところがあったような…
ほのぼのらしく書けているかすごく不安です。
自分ではちゃんと書けてるかわからないので皆さんの感想を聞きたいところです。
では誤字・脱字・感想・アドバイス等受け付けています。
変だと思うところは感想にて言ってもらえると助かります。




