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猫の存在  作者: カブ
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第6章 疑惑・・・

この章はほとんどが会話です。

―――――僕と父は玄関に向き合ったままである。

でも僕の心中はまだ晴れなかった。 その理由は、突然母へのあの言動と、突然の失踪の疑惑である。

「あのさあ父さん、聞きたいことがあるんだけど・・・。」

僕は、今までの場の空気を追い払うかのように父に設問を繰り出した。

「ああ・・・。」

父も父で、僕の言いたいことを悟ったかのような返事だった。

父は履いていた靴を脱いで、僕と一緒に居間の食卓に向かった――――。




「さて・・・。」

僕は、始めに父に「今から何か言うから準備しといて」と言わんばかりの言葉を促した。 そして僕は本題を切り出した。

「率直に言うね。 昨日のあの言動と動作(失踪)だけど、何でそんなことを・・・?」

僕は、単刀直入に申した。

父は、準備しておいた言葉があるかのように真面目な答えを言った。

「その理由はだな、父さん昨日の朝久々に夢を見たんだ。 その夢でな、今からこうしろと言わんばかりの光景を目にしたんだ。その光景こそがアノ言動と動作なんだ。 それから目が覚めて、自分の意思がコントロール出来なかったんだ。 自分の身体が全然言うコトすら聞いてくれなかったんだ・・・。 まるで、潜在意識が自分の意思を支配されたかのような・・・ そんな気分だったんだ。   それから母さんにあのコトを言ってしまったんだ・・・。 その時も自分の意思は誰かにコントロールされたいたんだが、でも意識はあった。 それから家を出て足が勝手に動いて、

「神聖なる森」っていう所の入り口まで行かされて、そこで初めて意識を失ってしまったんだ。  それから気がついたら、道路の端の電柱の隣に立っていたんだ・・・。 父さんが覚えているのはここまでだ。 あ、あと、夢から覚めた時に何かモンタが居たような気がしたな〜・・・。何かこっちをじ〜っと見てたな・・・。」

父は外に視線をやって、それから僕の方を向いた。

「え・・・?」

僕は一瞬耳を疑った。

「モ・・・モンタ・・・!?」 

そして、僕もこの奇妙な出来事を父さんに話した。

「僕も今朝そんな光景を目にしたんだ。 そう、あのじ〜っと見つめたモンタの顔・・・。 僕はその顔がどうしても忘れることが出来ていなった・・・。 ず〜っと気になってたんだ・・・。  でも、僕と父さんとでは、少し体験が違うね。 父さんはそれから意思が働いていなかったらしいけど、僕はちゃんと意思が働いていたよ。」

僕は、今まで貯めていた言葉と共に、感情まで流した。

「その時、モンタ何はず〜っと健信の方をず〜っと見ていたのか?」

父は、心配そうに僕の顔を見た。

「ううん、じ〜っと見た後、それからモノ寂しそうな表情でその場を立ち去ったんだ・・・。」

僕は、父にこれ以上心配をかけないようにと感情をコントロールした。

「だからか・・・。 その違いがあるか、ないかでこんなにも差があるなんてな・・・。 父さんはず〜っと見られていた・・・あのモンタの表情・・・父さんも何かあると踏んでいたんだがな・・・。」

父は頭を抱えていた。

「それに、モンタが来てからだよね・・・?  色々と変なコトが起きてきたこと・・・。」

「父さんもそう思う。 実はな・・・、あの時モンタを飼おうとしてたころあったろ?  あの時な、実はモンタは父さんが見つけて来て連れてきたんだよ・・・。  母さんは、外にちょこんって座っているのを見かけて 「始めからここにいる」という思考が吹き上がっていたんだと思ったらしく、それをお前に吹き込んでな、お前も驚いていたろうけど、実はあれは、違うんだ。」

父は自分の閉まっておいた悩み的存在の感情を僕にどんどんぶつけてきた。

「本当はな、父さんの意識が気がついたあの「電柱の隣の壁」の所からモンタが急に出てきたんだよ。 何か時空を超えた感じみたいな。 ああ、この話は、モンタを飼い始める前のことだからな。」

僕はまた、背筋がぞくっとした。 そして、僕は恐る恐る気になっているコトを質問した。

「じゃあ・・・、その近くにダンボール無かった・・・?」

「ああ〜・・・ そ〜いえば、在ったな〜。 何かこう、ちょうど、猫の入るくらいの。 でも始めから開いていたからそんなに気にはならなかったけどな〜。」

僕は、心の中にある疑惑の一つをここで追い払うかのように、

「じゃあ、あの猫「モンタ」は何かある と踏んだ方がいいんだね?」

父さんも納得したような感じで、

「父さんもそう思う。」

でも、僕はさっきの証言でまた一つ疑問が出来上がってしまった

「でもさ〜父さん、じゃあ、何であの得体の知れない猫を持ってきたの?」

父さんは笑いながら、

「ほら、父さん珍しいモノ好きだから・・・。」

「全く・・・父さんは・・・。」

また僕は呆れた。  それで、僕はこれからのコトを切り出した。

「それで、父さんこれからあのモンタどうするよ・・・?」

父さんは心決めていたかのように、

「まず、捨てるのはダメだ! 何か父さんの直感では、あの猫のコトは誰にも言わない方がいいと思うような気がするんだ・・・。だから、もう少し様子を見てみないか?  母さんには、アノ人本人も体験したら父さんから言うようにしておくからさ〜。」

僕は、この父さんの直感が真実以外に何者でもないかのように思えた。

そう、僕も「何かある・・・」と踏んでいるのだ。 これだけ奇妙なコトが起きれば、どんな鈍感な人でも少しは、怪しいと思う。

そうこう考えている内に、終点が父さんと同じ考えに辿り付いた。

「僕もそう思うな。」



 

そうこうと父と話していて、 父が目を擦りながら、

「さて、父さんはまだあんまり寝てないから寝かせてもらうよ? 最善の注意を払って・・・」

「うん、あんなコトが起きちゃったもんね。 無理ないよ。 ぐっすり眠ってね。 あと、気をつけて・・・。」

父と僕との会話に一度ピリオドを打とうとした―――――その時、

「か・・・母さん!!??」

「お・・・おまえ・・・。」

僕と父さんは目の前に置かれている状況に、とてもじゃないけど現実らしくないものに見えた。 でも今は現実の世界にいる。 僕達はそのことを良く分かっている。  そして・・・、

「いつもいつも・・・母さんを一人にして・・・。いつもいつも仲間外れにして・・・・、そんなに母さんをいじめて楽しいの!!?? もう許さない・・・。 誰もかも居なくなっちゃえばいいのよ・・・。  アンタ達も死んじゃえばいいのよ!!!!」

今までにないマジな母の殺気。 母の感情はもう、誰にも止められない程まで達していた。 喜怒哀楽の「喜」と「楽」以外の感情が、最大限までに高ぶっているような感じだった。

そして、台所にある包丁を2本手に持って、

「母さん!! 落ち着いて!!  気を確かにして〜!!」

「お前らしくないぞ!! まずは、落ち着け!!」

僕と父は必死に母をなだめた。 でも母はこの声が聞こえていないかのようだった。 そして、誰かに操られているかのように、

「ユルサナイ・・・ユルサナイ・・・ シネ・・・・。」

と言って、僕達二人に包丁を手に持って、襲いかかってきた。



   



 


今までの中で一番感情を込めて書きました☆

次回もお楽しみに。

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