《Blade Of Onlin》
二話連続更新ですので、一話戻っていただくと栞とアカツキの話になります。
ブログの方に投稿したのですが、何故か表示されないので思い切ってなろうに投稿します。
カタナの話によると、第一攻略エリア《ワイルドフォレスト》には誰も見たことの無い武器が眠っているらしい。その名前は《ブレードオブオンリン》。直訳するとオンリンの剣だ。
どういう力を持っているかは知らないが、そのオンリンの剣には凄い力が秘められているらしい。カタナの話を聞いた俺は半信半疑だったが、取り敢えず《ワイルドフォレスト》に言ってみる事にした。
襲ってくる雑魚モンスターを《巨青熊の威圧》で怯ませ、俺とカタナは森の中を悠々と歩きまわる。
「なあカタナ、本当に《ブレードオブオンリン》なんて存在するのか?」
「ある筈だよ。セーフティータウンにある掲示板のある依頼をクリアするとオンリンについての情報が得られるんだ」
「お前はクリアしたのか?」
「もちろん」
その依頼報酬によると《ワイルドフォレスト》の奥の奥に《ブレードオブオンリン》の刺さった台座が設置されているらしい。
俺達は雑談しながら森の中を探しまわる。
「にしても《オンリンの剣》ってなんなんだろうな」
「報酬だと表示名は《Blade Of Onlin》だったよ」
「《Blade Online》みたいな名前でややこしいな。つうかOnlinってなんだよ。Onlineの間違いじゃないのか?」
「eを付け忘れたんじゃない?」
「なるほど……」
なんか悲しい気分になった。
《海賊王》の名前がPiratesじゃなくてPiretuになってたのと同じ雰囲気がする。
俺達は森の中を歩く。
「そういえばアカツキ君って現実で剣道してたんだって?」
「ああ、まあ、一応やってたよ」
「へえ……。僕もちょっとだけやった事があるから、現実に出れたら一緒に剣道したいな」
「中学から始めたからなあ……。そんなに強くないぞ」
「あはは。でも剣道三段なんでしょ? 凄いと思うよ」
「三段なんてある程度の技術があれば誰でも取れるよ。段が高いから強いって訳じゃないし」
「そうなの? 剣道三倍段とか言うらしいけど」
「それよく知らないけど多分嘘だと思う」
「へえぇ……アカツキ君は物知りだね」
「うん、物知りだねって言いながら何故ずいっと接近してきた?」
「何となく」
「何となくじゃない。ベタベタするな。気色悪いぞ」
「…………。なんて言ってもいいことはいいけどさ……最近酷いと思う……」
そう言ってカタナは悲しそうな顔を向けてきた。
「やかましい。ほらオンリン探すんだからしゃきっとしろ」
「んっ……。もう……あのねアカツキ君。僕だって、傷付く事ぐらいあるんだぜ?」
「うるさいうるうるした目で俺を見るな」
「あんまり意地悪すると、泣いちゃうぜ?」
「気色が悪い」
「うぅ……」
オンリンの剣はなかなか見つからない。
「そういえば、アカツキ君」
カタナが握りこぶしを作って俺に差し出してくる。
「これに顎乗せてみて」
「……?」
取り敢えず乗せてみる。
「ありがとう」
「……いまのに何か意味があったのか?」
「あはは。そういえばアカツキ君って自分の事Mだと思う? それともSだと思う?」
「いきなりだな……。うーん……S?」
「あのねアカツキ君、さっき僕の言うとおりに顎を乗せたよね?」
「ああ……乗せたけど」
「あれってね、乗せたらM、嫌がったらSっていうSとMを判断するための心理テストなんだよ」
「…………」
「あはっ、ということでアカツキ君はMでしたー」
「……うるさい。そういうお前はどうなんだよ」
「僕かい? んー僕はどっちでも大丈夫だぜ」
「その答え方はずるいだろ」
「だって本当だもん。相手を斬り刻むのも好きだし、実験動物の如く斬り刻まれるのも好きだよ」
「なんでそんな例えなんだよ……」
「あはは。アカツキ君はやっぱりMかな。アカツキ君を攻めてみたい」
「きもいぞ」
「そうやって言われるのも、結構好きなんだけどね」
「あのな……ん?」
気付くと俺達は何故か宿のベッドの上にいた。
え? どういうことだ? 何が起きたんだ?
「んっ…アカツキ君」
「ちょおま!」
カタナが俺を押し倒しやがった。
顔を赤くし、息を荒くしたカタナがうっとりとした顔で俺を見下ろしている。
「お、おい……カタナ?」
「あかつきくぅん……」
カタナが甘い声を出して俺の頬に手を当てる。
「好きだよ、アカツキ君」
「お、い……カタナ?」
「あかつきくん」
「ちょ、マジでやめろ」
「んんっ……あかつきくんっ……。僕、もうがまんできないっ」
「ちょやめろってえええええええええ!!!!」
俺はそう叫びながらベッドから飛び起きた。
夢だった。
ベッドの上ではあはあと息を吐きながら、夢であった事を心から喜んだ。
オンリンの剣とか訳の分からん剣が出てきてたけど、多分そんな物は存在しない。
――――
「っていう小説を書いたんだけど、どう思う?」
「リン…………お前……」
「段々描写が面倒くさくなって殆ど会話文になっちゃったけど、結構上手に書けてるでしょ」
「お前がどういうつもりでこれを書いたのか、どういうつもりでこれを俺に見せたのか小一時間問い詰めたい」
「聞くっ!?」
「聞かんっ!!」
「えー……」
「後な、ブレオンの中じゃ夢は見ないだろ。それと俺そのSMネタ知ってるから引っかからないからな」
「えーー。お兄ちゃんは絶対受けだとおもうよ」
「受けってなんだ受けって。MかSの話だろ!?」
「えへへ……。カタナさんとお兄ちゃんの絡み、見てみたいな」
「……パーティでカタナが『女だよ』って言ったから書いたんだよな? 腐った意味で書いてるんじゃないよな?」
「あはっ、どっちでしょう」
「……カタナのせいでリンがおかしくなった…………」
「因みにこの小説を書くにあたって、カタナさんに色々と質問したからところどころカタナさんの言葉が混ざってたりするよ」
「………………………………」
原点回帰…?