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《Blade Online》  作者: 夜之兎/羽咲うさぎ
―World End―
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アカツキの回想?回です。

話が殆ど進みませんし、読み難いです、すいません

 ベッドで横になっていると、リンがベッドの中に入ってきた。ベッドが僅かに軋む。身体にリンの体温が伝わってきて心地良い。

 最近、リンは夜になると毎日俺のベッドに入ってくる。俺の事を『お兄ちゃん』から『アカツキ君』に変えた辺だったっけ。お兄ちゃん、と言いかけてからアカツキ君と言い直すのが可愛らしい。別に俺はお兄ちゃんでも良かったんだけどな。リンに名前で呼ばれるのは何だかくすぐったい。

 黙ってリンに腕を差し出すと、んっと小さな声を漏らしてそこへ頭を乗せてくる。サラサラとした髪の感覚とリンの重みが腕を通して伝わってくる。ここまでリアルな感覚が味わえるのは、流石ブレオンとしか言い様がない。流石に身体の匂いまでは表現しきれていないが。

 しかしリンの髪からはふんわりとした甘い香りが漂ってくる。これは女の子特有の甘い匂いではなく、ブレオン内で売られているプレイヤーに匂いを付ける香水の物だ。前にリンと二人で買いに行って、俺が匂いを選んだのだ。因みに俺は香水は付けていない。

 栞や七海達は香水を付けているようだったけどな。らーさんは前、『肉の匂い』とかいう香水を買っていたっけ。確かにいい匂いではあったんだが、女の子としてのいい匂いじゃないぞあれは。

「ぎゅう」

 リンは俺の身体に腕を回し、抱きしめながら効果音を自分で口にする。可愛い。

 リンの身体が俺の身体に密着し、柔らかな感覚が伝わってくる。昔の俺なら抱きつかれたりなんかしたら緊張で固まってしまっていたが、今ではこうされるととても心地が良い。とても落ち着く。

 リンと同じように俺も身体に腕を回し、抱きしめる。

 黙って抱きしめ合う、この何とも言えない雰囲気が好きだ。


「おに……アカツキ君。今日もお疲れ様」

「ああ、リンもお店お疲れ様な」

「ふふ……何だか夫婦みたいだね」

「…………」


 リンの言葉と笑顔に胸がドキリとした。何てことを言うんだ……アカツキさんの心臓がバクバクですよ。


「アカツキ君アカツキ君」

「ん?」

「なでなでしてー?」

「はいはい」

 抱きしめていた腕を頭に持って行き、優しく撫でる。リンは心地良さそうに目を閉じる。またしばらく無言の時間が続く。なでなでを要求してくるリンもだが、こうして撫でてやる俺も随分この距離感に慣れたんだな、とシミジミ思う。

 現実世界、というか小中高ではあんまり女性とは関わりが無かった。一応友達と言える奴はいたけど、恋愛関係、彼氏彼女の関係になるような女はいなかった。高校の卒業式でカップル達が記念写真を取っているのを見て、ああ俺はこのまま一人で生きて行くんだな、なんて思ったものだ。

 それがまさか、ゲームの中で出会った中学生の女の子とこんな関係になるとは思わなかった。というか、実の話リン以外の女の子に恋愛心を打ち明けられたりなんかされたりもした。返事はまだしていない。リンがいるから、というのもあるし、俺が優柔不断、というのもある。

 好きだと言われて嬉しくないわけがない。

 むしろ嬉しすぎて泣いた。

 返事はまだいい、と言われたのを理由にして、俺はまだ何も言っていない。

 卑怯だと思う。

 こうしてリンのイチャイチャしているのも、卑怯だ。

 そのくせリンに俺から告白もしていない。

 ダメ男だ。

 しかも栞に「彼女はまだ作って欲しく無いです」「え、理由ですか……?」「ほ、ほらゲームの世界でとかあれじゃないですか、あれ!」とか言われているし。

 スクールでデイズな結果にならないようには、したい。

「アカツキ君のなでなで好き」

 撫でるのを止めると、リンが顔を近づけてきて笑った。その可愛らしさに胸がきゅっとなって、俺はリンを抱きしめる。リンはひゃーと言いながら抱きしめ返してくる。こうして毎日イチャイチャしていて、罪悪感を覚えるが、しかしそれでもとても心地良かった。正直、幸せだった。こんなに幸せなのは、もしかしたら生まれてはじめてかもしれない。現実世界じゃなくゲームの世界で最高の幸せを経験してしまったのは何だか複雑な気分だけど、まあこれで終わりな訳ではない。現実に出て、もっと幸せになればいいのだ。そう幸せ、幸せしし、あ、幸せに。あれ、何だろう。なんか今変な感じだったぞ。まあいいか。リンがゴロンと転がって俺の上に上がってくる。そして俺に跨ってきた。どうしたんだよ。

「ねえ、アカツキ君」

 リンは少し寂しそうな表情をしていた。それと同時に頬が赤く染まっていて、目がトロンとしている。リンは俺に覆いかぶさってきて頬に唇をくっつけてくる。ふにふにと柔らかい感覚。

 「ねえアカツキ君」

 「ど、どうしたんだ?」リンが耳元で囁く。「私ね、アカツキ君の事が好き」なんて返したらいいか分からなくなる。どこか蕩けた様な声色で、リンは続ける。「アカツキ君は口に出してくれないけどね、アカツキ君がどう思ってくれてるか、私ちゃんとわかってるよ」「…………」リンが囁いた「私、アカツキ君となら………………したいな」その言葉に俺はガバっと起きて、リンを身体から引き離す。リンはびっくんと身体を跳ねさせる「リン……あの、な。そういうのは……まだ早い……と思うんだ」「…………うん、そうだね……。ごめん」リンは一瞬だけ寂しそうな表情をしたが次の瞬間にはいつもの表情に戻っていた「明日も早いし、もう寝よっか」さっきと同じような体勢になり沈黙。二人で黙る。興奮が残っていて眠れない。お互いに起きていることを理解していてなんとも言えない雰囲気になる。けれど最終的には眠気が襲ってくるわけで頭にフィルターが掛かったようになっていき、まぶたが重くなってくる。眠い。寝よう。おやすみリン。意識が途切れる前に「好き」とリンが呟いたような気がした。

 リン。浅田鈴。彼女の存在は俺にとって既にとても大きな物になっていた。もうなくてはならないと言ってもいい。一緒にいるのが当たり前の存在。無くてはならないかけがえの無い存在だ。俺が守らなくてはならない。絶対に俺が守る。守る。護る。何から? そりゃあ勿論、、、、、あれ。何から守ればいいんだっけ? いや俺は何を言っているんだ。守るってて言ったら全てからに決まっている。リンを脅かす全てからだよ何がリンを脅かす存在なのかはこの時点ではわかってなかったんだけどってこの時点ってなんだなんかメタっぽい発言だなゲームじゃないんだからもっと現実味のある発言をしなきゃいけないな。それにしてもリンは可愛い何が可愛いかってそりゃあ外見、髪もおでこも目も鼻も口も歯、それに頭を撫でたくなるような可愛らしい声、それに健気で優しい性格だななんか変態みたいな言い方だけど本当にこれらがリンを可愛い存在であると定義させているのだから仕方がない事実、全くの事実で現実でリアルなのだ意味が重複してるけどいいや。リン=可愛いということは可愛い=リンなので可愛い存在は皆リンという事になるけど栞は可愛いけどリンじゃないのでこの式は間違っているな残念。リンについて語らせたら世界一という自負が有る俺だ、あそういえばもしかしたら俺より上がいるかもしれないほら彼だよ彼虚空達に殺されたリュウだよいやあ彼も結構なシスコンだったから俺よりも色々知ってるかもしれないなあ家族だしなあ悔しいけど死人と張り合ってもしかたがないなはは、墓参りに行こうかな、なんでってそりゃあ、あれなんでだろう、うん、んん……まあとにかく行かないと。そういえばもう一人行かないといけない人がいるんだったっけ。誰だろう誰だっけ名前が出てこないなどうしてだろう、ガロンの所のあいつの墓には最近行ったばかりな気がするなだから違うカズヤだっけ、《アドバンテージ》のギルマスのカズヤ。あれあいつっていつ死んだっけ? あれ? 誰に殺されたんだっけ? あれ? あれ? まあいいか人は生まれたからには死ぬんだからさ自然の摂理というやつさだけど人に殺されるのは違うかなあやっぱり、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。

「おに、アカツキ君」

「ん?」

「私は」

「……」

「アカツキ君の事を、愛しています」


 俺は……。

 そうだ。俺はリンにけじめを付けて告白するんだった。告白しなきゃ。自分の想いを伝えなきゃ。


 あれ? そういえば隣で寝てる筈のリンがいない?

 あれ? そういえば隣で寝てる筈のリンがいない?

 あれ? そういえば隣で寝てる筈のリンがいない?

 あれ? そういえば隣で寝てる筈のリンがいない?

 あれ? そういえば隣で寝てる筈のリンがいない?

 あれ? そういえば隣で寝てる筈のリンがいない?


 あれ?

 あれ??????


 あれ、リンって









 リンって生きてたっけ?
























































 あ。

 そういえば。

 リンは

 カタナに殺されたんだった。



 好きだよ。

 大好きだよ。

 愛してる。


 って言おうと思ってたのに。


 ごめんね。

 告白出来なかった。

 

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