表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら冒険者1年目で国最強になってました~社会人1年目の一般人が世界を救うまでの話~  作者: 秋枝葉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/13

第7話 続・第一村人発見?

とりあえず目標の一つ、【人に会う】は達成しました。

「え、え、ちょっ…………ご、ごめんなさい!!」


 必死の謝罪とともに視線を逸らすが、出会って三秒で殺意をむき出しにしてきた目の前の女性は聞く耳を持たず即座に臨戦態勢に入る。


「〈流水に宿りし星の子よ。守り人たる我らが声を聞き届けたまえ。〉」


 それまで静かな湖畔であったはずの水面が突然荒れ狂いはじめ、彼女を庇うように水柱を立てていく。先ほどの宣誓が呪文のトリガーで、周囲の水を操る術か何かなのは明らかだ。


 荒波の中、彼女の周囲にある湖の水は徐々にまとまり始め、蛇のような形になると彼女へ巻き付いていく。その水が全身に巻き付くとまるで彼女の体を守る鎧のように定着していった。

 巻き付いた水は澄み渡っていたその色合いを深い青色へと変えると同時に、荒れ狂っていた水面が嘘のように元の静けさを取り戻す。


 さらに驚いたのが、彼女が立っている場所。なんと先ほどまで腰辺りまで浸かっていた水面の上に立っているのだ。

 ここにきてファンタジー要素が盛沢山になってきたことで、初めてここが異世界なのだと体感することになるとは皮肉なものである。


 さすがに直視しても問題ない恰好にはなったが、状況はよろしくなかった。こちらも警戒しつつ、次の一手に対応するため腰をかがめ構える。


「…………。〈水玉〉」


 左人差し指を僕のほうへ向けると次の呪文が唱えられた。またしても湖の表面が動き、文字通り水が球体になったものを複数個形成する。


「〈水弾〉!!」


 するとトリガーに合わせ水の玉の群れがこちらへ放たれてきた。その勢いは相手に手傷を負わせることが目的だと簡単に理解できるほどに強力であった。


「〈クレイウォール〉!」


 とっさに地面へ手を翳して土の壁を作ると迫ってきた水の弾は壁に防がれ消失する。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ラド以外の動物や人とあったことのない一般人の僕が何故こんなに簡単に攻撃を防ぐことができたか。


 その答えは二週間の実験期間にあった。


 期間中色々と試してみたが、物理的に守るにはこの呪文が一番だとわかった。


 初めのほうは『サンドウォール』と唱えていたが、砂のためすぐに崩壊してしまうのだ。そこでアスファルトをイメージしながら『クレイウォール』と唱えてみると直立したままの壁を作ることができた。

 本物のアスファルトとまではいかないものの十分な硬さもあるので、動物が突進でもしてこようものならこの呪文で防ぐことに決めていたのである。


 そのイメージトレーニングが功を奏して今回は瞬時に対応できた、というわけだった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「なぁ。本当に悪かったよ。まさか人がいるとは思わなかったんだ。謝罪するから一旦落ち着いてくれないか。」


「笑わせるな!この聖域に足を踏み入れた時点で貴様は万死に値する。〈水刃〉!」


 女性はそう声を荒らげると上げていた左腕を地面と平行にして横へ払う。今度は身にまとっていた水の一部が刃のような鋭い形になり彼女を中心にして扇状に迫ってきた。


 作り上げた土の壁に隠れるようにして身を伏せると頭の上を水の刃が通り過ぎていった。なんと自信作である土の壁はまるで豆腐のようにいともたやすく真っ二つに割かれたのである。


 ズンっという音とともに崩れて消えていく土の壁をみながら今の状況に焦りだす。


(え?これってやばくない?木の影に隠れても絶対に無駄だよね?とは言え今の攻撃を避け続けるはもっと無理だし…………。)


 そんな思考がまとまらない中、次の手が相手から繰り出される。


「〈水刃〉」


 今度は両手を上から下へ振り下ろすと二刃の水がX字を書きながらこちらへ向かってきた。


「えぇぇぇぇ!!!???ちょっと、タイム!!!!」


 本気でやばい状況に思考は完全停止してまったものの、反射的に後ろへ飛び跳ねて木の影へと転がり込む。


「…!?……チッ!」


(ヤバいヤバいヤバい!どうにかしてここから逃げないと!どうする?空を飛ぶか?

 …………。いや、どうやって!?)


 早くしないと次は確実に殺される、という焦りから何とか打開策を考えるがまともなプランは思い浮かばない。しかし、ここで木の影に潜んだあとから追撃が一向に来ないことに気づいた。


(あれ?まだ湖の上で水を纏ってるけど、攻撃してこないな。あの切れ味ならこんな木、スパッと切れそうなものだけど。

 そういえば、あれだけ攻撃されたのに僕がいた辺りの木々には傷らしい傷がついていない。もしかして、ここってセーフティエリアだったりする!?)


 そう考え始めた僕は晴れやかな表情を浮かべるがそう生易しい話でもなかった。


「〈水刀・水面の写し〉」


 右手を水面につけてから呪文を唱えると何かを握って引き抜く。そこには村雨がごとく水の滴る見事な刀が握られていた。


「〈アクティブ〉」


 女性は呪文を唱えた直後、水面を蹴ってこちらへと迫る。そして一瞬にして距離を詰めると木の影に隠れていた僕の元までやってきていた。


「死ね。」


 刀を上段に構え冷たく言い放つ彼女の目は座っており、生き物を殺す覚悟を感じる。頭が真っ白になった僕は、この世界で一番使用してきた魔法をとっさに唱えていた。


「え、〈エアブロー〉!!」


 両手を前へ突き出し唱えた魔法は掌から激しい暴風を巻き起こし、目の前まで迫っていた相手を吹き飛ばすと向かいにある樹木に背中を叩きつけた。


「がっ!?」


 女性は暫し倒れこむと這いつくばるように膝立ちで起き上がる。


「先ほどの水と土の混合魔法に飽き足らず、風と火の混合魔法まで。……。間違いない。お前、転生者だな。異端の民がこの森に何のようだ!」


「言っている意味は分からないけど、こっちだっていきなり訳も分からずに言いがかりをつけられて困っていたんだ。この森に転生されてから一人で生きていたけど、ここの湖はさっき知ったばかりだし。」


「この森に転生?直接だと?異端の神はついに我らが信仰を排除しようとしているのか。

 ……それでは余計に負けるわけにはいかないな。精霊の巫女として、ここでお前を討つ!!」


 そう言い放ち女性は立ち上がると先ほどの刀を構える。


「せっかく、九死に一生を得たんだ。そんな簡単に死んでやるもんか!!」


 僕は意を決して伏せていた体を起こし対峙する。


 僕には長い時間見つめ合っていたように感じたが、実際には一瞬にして状況は動き出していた。


 巫女と名乗るその女性は先ほどよろしく駆けだすと次の瞬間には目の前まで迫っていた。先ほどと同じように吹き飛ばしてやろうと両手を前に翳した瞬間、彼女の体が視界から消え、気づけば側面まで回られていた。


「覚悟!!」


 気合の一言を叫ぶと彼女の握る刀が首目掛けて振り下ろされる。


「そこまで!!!」


 その一言で、あと数舜遅れていたら確実に飛ばされていたであろう僕の首の付け根ギリギリで刀が止まった。


「清めの場にいなかったので心配で探してきてみれば、精霊術まで使用して。実に危ないところであった。」


「族長…。」


 族長と呼ばれる男が続ける。


「さぁ、服は持ってきてやった。お前は早いところ精霊術を解いて着替えなさい。」


「しかし、この男はこの地で不埒な狼藉を働き、神聖な湖を汚したのですよ!?」


「不埒な狼藉とはお前の水浴びを見たことか。それは不慮の事故であったと解決している。それよりも理由も聞かずに襲い掛かるお前のほうが問題だ。」


「ですが、父ぅ…………!」


「黙りなさい!それにこの者は我が集落まで連れてくることになっている。」


「なっ!?何故ですか!?この者は転生者ですよ!?」


「なぜも何もない。これは神の使い様から賜ったご神託である。」


 親子喧嘩は続いているが、どうにか今度こそ九死に一生を得たようである。

神の使い様ってもしかして…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ