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グナーダにて case-9

砦の内部は張り詰めた雰囲気の中、翌朝を迎えた。



料理番に回されたパプリカには、交代で兵士達への夜食の提供を行ったが、非戦闘員としてカウントされているために休息はきちんと取れた。



無論、職業柄完全に無防備になることはないのではあるが。



パプリカは直感的に砦攻撃されるのは今晩であろうと感じ取った。あまりに時間をかけすぎると勇者の動きが変わる可能性があるし、グナーダの街から救援が駆けつけることが想定される。



彼らはこの拠点を自分たちのものにして、コードバに置いてきた仲間と勇者サーディンを挟撃して、撃退する。もしくは、グナーダの街を襲って、勇者サーディンを退却させようと画策しているだろう。



我らが砦の守護を預かるエリヤも同じような推測をしているようで、

昼過ぎに見張りの者以外の人員は兵士、非戦闘員を問わず広場に集まるように指示をされている。



キンジャルは、忠実な兵士そのものであった。パプリカは彼女がしたことや彼女の本来の目的について、不思議に感じるほどよく兵士としての役割をまっとうしている。



午前中は、日々のルーティンをこなし、朝食を配膳した。兵士長はまたも食材を残して、料理番の仲間たちから非難されていた。



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昼過ぎになり、広場に集まる。眩しいほどの快晴であった。



エリヤからの演説があるらしい。



彼女は皆が集まり、静かになるのを待ってから声高らかに話す。

副官をはじめとする彼女の近中の部下は赤く煌めく旗を持って、鼓舞している。



「諸君も知っての通りだが、我々は今、この半島、祖先の土地からから憎き魔族共を一掃できるかの瀬戸際にいる。

勇者サーディンの到着までこの砦を死守すれば、それはすなわち歴史的な勝利につながるであろう。


残念ながら、我々は数の上では醜く抵抗する魔族共に劣る。

しかし、其方らにはこのエリヤがエリヤ・イルヤースがついている。


魔族に屈し、故郷を奪われた祖先の英霊たちが我々を守護する。この地奪還のために散っていった同胞たちも聖なる力を持って助力するであろう。」



彼女は高く槍を掲げた。



パプリカは、その様子を外様ながら感動して見守る。



この半島は元々、ある国が統治していたが、権力者の度重なる汚職や重税に民が疲弊し、その隙を狙われた形で魔族に奪われ、長年、亡国の憂き目にあっていた。

それを勇者サーディンの登場とその同郷であるエリヤ・イルヤースは、二人で覆してみせたのだ。



皮肉なことに、パプリカとキンジャルがつかわされたのは、それを脅威に感じた者が居たからである。



兵士たちの士気は今の状態では考えられないほどに高まっている。

元々が勝ち戦なのだ。勇者とエリヤにとっては、この戦いは最後の障壁といっても過言ではないだろう。

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