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グナーダにて case-5

パプリカとアルビーが臨時の聖地院に赴任してから、数日が経った。



残党狩りは順調そのもので、怪我をした兵士の数も聞いていたほどは多くはない。



”その日になるまでは。”


パプリカは雰囲気を感じ取った。

それは長年暗殺を生業とするものだからこそ感じ取れる殺気のようなもの。



「アルビー起きて。」

パプリカは、自分のことを姉のように慕うアルビーにこのことを知らせようと思った。



「むにゃむにゃ」

夜はまだあけない、朝まではもう数時間ある。



パプリカが異変を察知してから、すぐに砦の東側で悲鳴が聞こえた。



パプリカは、杖を手にする。

「襲撃か」



アルビーの頬を叩いて起こすとすぐに自分の寝床よりも奥の食料庫に身を隠す。



砦の内部は襲撃に呼応して騒がしくなっている。



「おい皆東側だ。武器を取れ。」



「相手の数は多くないぞ。落ち着いて対応しろ。」

兵士の多くは槍を取り、防衛に向かった。



「この砦の守りはそう簡単に破れないはず。」

パプリカは砦に赴任してすぐにこの砦の造りを頭に入れていたので、不思議に感じた。



魔族は魔法を使う。数は多くなくても、その魔法によっては被害は大きくなる。

側で怯えるアルビーを抱きしめつつ身を潜める。



騒ぎが落ち着きはじめた頃、アルビーはもそもそし始めた。



「パプリカ、ごめん。トイレにいきたい。」



「こんな時に。そこら辺でしてよ。」



「そんな」


あたりには、負傷して戦えない兵士も身を隠していたため、お年頃のアルビーにはその選択は取れなかった。



「今でると危ないよ。」



「でも」



「わかった。すぐに戻ろう。」



二人は身を隠した場所から外にでる。



パプリカはアルビーが用を足している間、見張りにつとめる。



二人は、先程の部屋に戻っていった。



「ごめん。こんな時に付き合わせちゃって。でも騒ぎはおさまってきたみたい。」



パプリカとアルビーが隙間から外を眺めると襲撃に落ち着いて対応している兵士たちが見えた。



「それにしても一体。」

パプリカは背の高い壁に囲まれたこの砦がどこから侵入されたのかを考えていた。



彼女自身は杖や体術、短剣を使った戦闘は一通りこなせるものの、狙撃の魔法による攻撃手段以外は、そこまでの敵を相手にできるものではなかったからである。



アルビーが元の部屋に戻ろうとした時、パプリカはドアの下からこぼれる血に気がついた。



「アルビー、開けちゃダメ!」

パプリカの悲鳴に似た言葉は、アルビーに届かなかった。



扉を開けたアルビーには、鎌状の短剣が胸に奥深く突き刺さる。そして、その刹那にパプリカの首筋にもその短剣が迫る。



間一髪のところで、パプリカはそれを避けた。否、相手が軌道を変えた。



パプリカは胸を刺されたアルビーを見る。幸い、即死であっただろう。



パプリカは視線を刺客の方に戻した。

開け放たれたドアその奥にある壊された壁から、月の光が差す。



それを背景に両手に短剣を携えた彼女が立っていた。



パプリカは彼女を睨みつける。

「キンジャル。」

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