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グナーダにて case-4

パプリカが目覚めるとそこは、兵士の集まる場所にほど近い街道であった。



かつての面影が残る建物がちらほらたっており、そこから遠くに見える砦が、拠点として活用されていた。


「ご苦労様」



見回り役の兵士から声をかけられ、そのまま臨時の聖地院に案内された。



馬車には、パプリカやアルビーのような人員の他にも傭兵のような人間も乗っていた。



魔族たちは、入り組んだ地形や鬱蒼とした森の中を活用して、日夜攻撃を仕掛けてくるがこの場所はまだあまり見つかっていない。




最前線は、この臨時の聖地院がある場所からさらに馬車で二日の距離ではあるが、気は抜けない。




パプリカやアルビーをはじめとする、幾人かの救護用の人員は、すぐさま配置に振り分けられる。



「パプリカ、夜は一緒に寝てね」

アルビーはそういい残すと、兵士に連れられて、配置についていった。



パプリカも兵士に案内されると、すぐさま処置を求められた。



「女の子に看病してもらえるだけで、こんな傷なおっちゃうね。」

兵士たちは、戦いが上手くいっているからなのか調子良く処置をされている。




「俺は、猫耳には触られたくない。」

パプリカは順番に処置をしていると、怪我をした兵士の一人がそう言った。



「そう。」

彼女はあまり気にせずに次の人に向かおうとする。



「何も言わないのか?」

パプリカを拒絶した兵士は問いかける。



「だって、争っても仕方ないもの。」

パプリカは毅然として答えた。



「俺は母親を猫耳に殺された。だから、お前に恨みはないが...」

兵士は続ける。



「私も人間族に村を焼き払われた。それで満足?」

パプリカは兵士を見つめる。



「すまない。」

兵士は節目がちになるとおしだまった。



そういったことがありながらも、パプリカは真面目に仕事をこなした。



弾丸の魔法は必殺の魔法であったが、彼女の暗殺者としての姿は、日々の暮らしの中のほんの短い時間の中にしかなかった。


-----------------


夜になり、あたりは松明を照し、非戦闘員は砦の中でも安全な場所に詰め込まれた。



あまりスペースのない場所だったので、詰め込まれたような形になったのである。



まだ夜は更けないうちは、皆踊ったり、新しく届いた食料を肴に語りあっている。



アルビーも奇跡を連発しては皆から褒められていた。



パプリカは、そんな騒がしい空間が嫌いではなかった。普段はお酒を飲まない彼女もこの日一杯だけ、葡萄酒を嗜んだ。



「パプリカにまだお酒は早いんじゃない?」

アルビーは非難するように詰め寄る。



「私は既に成人しているから、そんなことはないよ。」



「えっ?」

アルビーは驚く。



「どうしたの?」



「だって、パプリカ。」

アルビーはパプリカをマジマジとみる。



「だって何よ。」



「私と同じくらいか、少し上くらいかと思ってた。」

アルビーは抗議の目を送るパプリカに言い訳するように答える。



「あなたって」



「うん。最近14歳になったばかりよ。」



「14歳」

パプリカは、少しだけ眉をひそめた。



二人がそんな他愛ないやりとりをしていると、皆の盛り上がりも徐々に冷めて、床についていった。



そして、そんな日々が数日間続いた。

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