2話:ヒーローがおうちにやってきた!?
続きます。
前回のあらすじ。この世界で男性版ビッチになると決意した僕だった。
ビッチになると決めた訳だが、具体的になにをするかは前の世界のビッチたちを参考にしようと思う。僕が見てきた創作物の中のビッチ達は、みな等しく初心でピュアな童貞たちをドギマギさせていた。
なら、なろうじゃないか。女の子をドギマギさせるビッチな男に!だが忘れてはいけないのは女の子もちゃんと幸せにするということだ。ちょっと弄んでポイッは酷すぎるだろう。やっぱり目指すなら僕にとっても女の子にとってもウィンウィンな関係だよね。
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私は小さい頃から賢かったこともあり、中学高校と良いところに行ったおかげで男子がいる空間で生活できた。だがこの世界の男子はみな女性を怖がっており、まともに話したことなどほとんどなかった。そのままいい大学に行き、そこそこ良い会社に就職し26という年齢ながらも都内のマンションで暮らせるほどの給料を手にしている。だが、違うのだ。そう、違うのだ。私はお金が欲しかったのではなく男の子とイチャイチャらぶらぶしたかったのだ。それを大人になった今気づいた。
そんなことを考えているとだんだんと働くのも辛くなってきた。毎日毎日辛い思いをしながら会社へと行き、くたびれたおばさんのような顔で家へと帰宅する毎日。そんなときだった。天使に出会ったのは。
天使・連くんは家出少年だった。それもとびきりのイケメン。しかもあり得ないほど優しい。どんな育て方をしたらこんな子ができるのかわからない。それに警戒心もゼロ。訳アリそうだったので、ほとんど無理だろうなと思いながら家に来るかと聞くとまさかの肯定。
そんなこんなで私、夏木月菜は非常に混乱していた。それもそのはず、この男女比1:50の世界では滅多に出会うことが出来ない男性を、それもかなり若い男の子を自分の家に連れ込んでいるのだから。え?これ監禁していいって合図ですか?違います?
只今混乱中だった。
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色々と考えているといつの間にか月菜さんがリビングへと入って来ていた。
「うっ、そ、そのニュース」
27歳独身女性が男子小学生を誘拐監禁したという事件がテレビでは写されている。
「わかってますよ。月菜さんがそんな人じゃないってことくらいは」
実際にそんな人かどうか知る由もないが、とりあえず優しい男子っぽくふるまう。
「うっ、私はこんなにもいい子を監禁しようと考えていたなんて。」
僕の返事を聞いた月菜さんがなぜか悶えている。
ここらで一度練習がてらからかってみよう。
「もしかして月菜さんも僕を監禁しようとしてました?」
「えっっ!?!?!い、いや、そんなわけないじゃない!?私が佐藤くんのことを監禁なんて!?」
「えーー、そうなんだぁ。でもぉ、僕、月菜さんにだった監禁されてもいいかなぁって」
「えっ?」
「なーんて。冗談ですよ」
「え、ええぇぇぇぇ!?」
ちょっと小悪魔っぽいのを意識してやってみたが効果はバツグンのようだ。でもこれは加減が大事そうだ。調子に乗りすぎて本当に監禁なんかされたら元も子もない。要練習だ。
数分経つと月菜さんも落ち着いてきたのか、話しかけてきた。
「ところで、佐藤くんは嫌いな食べ物ある?」
「いえ、特にないですよ」
「そう、じゃあオムライスをつくるわね。」
どうやらご飯を作ってくれるらしい。僕は料理なんて全く作れないので助かる限りである。
出演するタレントが女性ばっかりになったしょうもないテレビ番組を見ながらだらだら過ごしていると月菜さんから声がかかった。
「佐藤くーん!ご飯できたよー!」
「はーい!」
なんだか新婚さんみたいだなと思っていると月菜さんも同じことを考えていたのか顔が赤くなっていた。
ちなみにオムライスはめちゃくちゃ美味しかった。
えぇぇぇ、なんか主人公ショタっぽくなっちゃったよぉぉぉ