表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/3

第3話 相方始めました

「「おはよー。皆の衆!」」


 あえて、今朝はハイテンションで挨拶をしてみる。


「なんで急にハイテンション?それに皆の衆、とか」


 健人(たけひと)が、ツッコミを入れてくる。


「まあ、聞いてくれよ。健人も含めて、教室の皆も」

「ちょっと、大事な発表があるんだ!」


 と言いつつ、お互い既に、含み笑いをしている。

 さて、どんな反応が返ってくるか。


「なんだなんだ。ようやく、関係を認める気になったか?」

「ある意味では、そうだな」


 健人(たけひと)の奴も、皆も、


「往生際悪かったけど、ようやくか」

「なーんだ。やっぱり照れ臭かっただけなんじゃない?」

「でも、そう思うと、可愛いかもー」


 などなど、盛り上がり始めたところ。


「そのだな。俺たちは、今日から相方だ!」

「というわけで、二人揃って、よろしくお願いします!」


 と頭を下げる。


「相方……?」


 健人は、何言ってるの?とばかりの表情。


「ああ、漫才とかであるだろ。コンビ組んでる相手の事、そう言うって」

「私達は、今日からコンビということで、一つよろしくー」


 わざわざ手を振ってみたりする。


「なあ、お前ら、やっぱり往生際悪すぎだろ。なんだよ、相方って」

「ね。別に、ラブラブなんだから、恋人でいいじゃない」

「わけわからないよねー」


 何をこだわっているのやら、と総ツッコミである。

 まあ、実のところ、心の奥底ではわかっているのだ。でも……


「だってなー。恋人以前に、こいつとはソウルフレンドだし」

「そのネタ昨日使ったばっかりだよね?」


 ツッコミを入れる桃。


「というわけで、恋人とは違う関係を模索してたわけだ」


 と内情を暴露する。


「まあ、長い付き合いなんだし、色々あるんだろうが……」


 やっぱり、理解出来ない、とばかりの皆。


「それでも、お友達と主張されるよりはマシか」


 そう諦めたように言った健人はどこか嬉しそうで。

 こいつなりに、俺達の事を心配してくれたんだろうな。

 心の底で、すまん、と謝っておく。


「よし!せっかくだから、今日の放課後はカラオケでも行こうぜ!」

「いや、別に祝ってもらう程じゃ」

「そうそう。そんな大げさなものじゃないよー」


 嬉しいのだけど、少し照れくさい。


「あー、照れてる―。初めて、初々しい様子見た気がするー」

「ねー。これは、是が非でも、馴れ初めから聞かないと!」

「そうそう。大体、いつから付き合ってたんだって話だよねー」


 既に俺たちを弄る気満々らしい。


(しかし、付き合う、ねえ……)


 ちら、と横を見ると、たはは、と乾いた笑いが帰ってきた。

 だよな。


(気がついたら、今までの延長線上で、色々してたけど)


 そもそも、付き合う、付き合わないの境界線が明確になかった。

 

(これ、放課後、さらにツッコミいっぱい食らいそうだね)

(なんだか、少し憂鬱になってきた)


 あ、そういえば。


「あ、そうそう。コンビ名は『和樹(かずき)(もも)』だから」

「「「相方って、本気だったのかよ!!!」」」


 案の定、総ツッコミが来たのだった。

 ノリがいい奴が多くて、なにより。

 

(これからも、よろしくな。桃)

(こちらこそ。カズちゃん)


 なんて言い合って笑いあった俺たちだった。

というわけで、「相方」な二人のちょっとトボけた初夏の物語でした。


楽しんでいただけましたら、【★★★★★】をタップして評価いただけると嬉しいです。

あと、感想やブクマ登録もいただけたら、喜びます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 自分たちの関係を、既存の「恋人」という「型」にはめたくなかったのだろうけれど。それ以上のものだと。 そこで、「相方」が出てくるところが、関西人か/w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ