大魔王の名前が決まらない!!
はじめましての方もいると思いますが、筆者の皆麻です。
あらすじでも少し触れたように、今作品は「小説家になろうラジオ」応募用に描き下ろしたものです。
規定にあるように1000文字以内に収まった短編なので、割と読みやすいかと思います。
「どうしようー…」
「…道端?」
大学の学食にて、友人の道端 美苗がため息をつく。
4年制大学に通う俺・上嶋 蝶二と彼女は、同じ大学の同じゼミを受講している友人であり、趣味友達でもある。
そんな俺達の間で共通とされる趣味というのが、WEB小説を書く事だった。
「今度サイトにアップしようとしている小説なんだけどさー…」
「…何かプロット考える上で、問題でもあったのか?」
美苗が少し不機嫌そうな声音で話す中、俺は何を悩んでいるのか具体的に訊こうとする。
一方で、手元にある醤油ラーメンの入った丼に視線を落としていた。
「…まずは、昼飯を食べようぜ。このまま口だけ動かしていたら、どちらも冷めちまう」
俺がそう告げると、彼女は「しまった」と言いたげそうな表情を浮かべる。
「……だね」
一言述べた美苗は、手と手を合わせて「いただきます」という体勢をとった。
33分後―――――――――――
「あぁ、お腹いっぱい!ごちそうさまでしたぁ!!」
「ごちそうさまでした」
二人共昼食を完食し、お腹が満たされた事もあって満足そうな笑みを浮かべていた。
美苗はコップに入った冷たい水を一・二口ほど飲んだ後、テーブルの端に置かれた紙ナプキンで唇を軽く拭く。
「で、先程言いかけた話だけど…」
この台詞を皮切りに、彼女がこれから執筆しようとしている小説の話題が再び始まる。
彼女がこれから書こうとしている作品は、主人公が男で大魔王を倒しに行くという所謂“王道ファンタジー”だ。ただし、話を聞いていく内に最近の傾向に合わせてダークファンタジーっぽくしたいと彼女は言う。
「…で、主人公を始めとする主要メンバーは決まっているのに、大魔王の名前が決まらない…と?」
俺が確認するように問いかけると、美苗は黙ったまま首を縦に頷く。
「主人公達を苦しめる大魔王は、地水火風全属性の魔法が使える上に、蘇生術や暗黒魔術は朝飯前!!チート級に強くて年齢の割にメッチャイケメンで、学園ものの話にしたらバレンタインチョコ山ほど貰いそうな美男子なのに、名前が全っ然決められないの!!何故なのよー!!!」
俯いていた彼女が口を開いたかと思いきや、物凄く長い台詞を大声で言い放っていた。
…好きな趣味に一直線なのは良いが…
俺は、周囲からの視線を感じ取った事で、恥ずかしい気分になっていたのである。
いかがでしたか。
私は社会人になってから小説を書き始めた口ですが、学生時代から書いている方も最近は多いと思います。
そんな日常的な会話を書いてみました。
筆者的には美苗みたいな性格の女の子は、少し共感持てるかもなーと書いてて思った次第だす。
ご意見・ご感想があれば、宜しくお願い致します。