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転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第二章・転生冒険者とゴブリンロード
58/81

『奇妙な出会い』

好きなものは最後まで取っておく派です。

ビスタ達と別れた後、俺は少し上機嫌で街を見て回っていた。


と言うのも

()()()昨日のように借りた武器を紛失してないからな〜)


スライムの報酬金は1匹につき銅貨1枚で、俺が倒していたスライムは26匹だった(ちなみに、ミルシェは28匹)。

この世界の貨幣価値は銅貨10枚で銀貨1枚分なので、銀貨2枚と銅貨6枚の報酬金を得ることができたのである。


(昨日の分と合わせて、所持金が合計で銀貨2枚と銅貨7枚か…これなら武器とか買えるんじゃないか?)


例のアレ(オオマヒナメクジ)みたいに素手で触るとやばいモンスターは他にもいるだろうし、何かしらの武器は常備しておくべきだ。

…とはいえ、それならばギルドで貸し出しされている物を使えば済む話。

実際のところ、折角なら自分の『愛用品』のような物が欲しかったというのが本音だったりする。


(うーむ…やっぱり武器いえばリーチの長い剣かな。

モ○ハンに出てくるようなでっかい大剣は多分持つことも出来ないだろうけど…

いや、この世界に来てから身体能力が異常に高くなってるみたいだし、大剣を振り回す事も可能なのでは?)



あれ(大剣)をブンブン振り回して敵を倒すのは男のロマンだと思うし、誰しも一度は『実際に大剣振り回して一狩りしたい』と考えた事がある筈だ(と信じている)。

それに、()()()()()()()()()()『大剣ならロックタートルだって倒せるのでは?』と思ったり…


(とは言っても、常備してたら絶対に邪魔になるし、小さい敵を倒す際には当てる事すら難しそうだけどな。

何せ、ゲームで使ってた時ですら攻撃が空振る事がザラだったし…)


頭を狙った溜め攻撃が空振り、モンスターの攻撃を防ごうとガードしたが防げず一乙、という何度も見た光景(惨状)が脳内で再生される。


そもそも剣の側面でモンスターの猛攻なんて防ごうものならボキッと折れそうなものだが、高層ビル並みの高さの崖から飛び降りても無傷の()()が主人公の時点で気にしたら負けだろう。


(まあ、ゲームじゃなくて現実だからな。

仲間を巻き込んだりってのもあり得るし、手入れとか大変そうだし、コストも高そうだ。)


現実ではフレンドリーファイアがOFFなんて事はないし、武器を砥石で数秒研げば切れ味マックスになるなんて事もない。

何より、今の所持金であんなに大きな剣が買えるとは到底思えない。


(大剣の攻撃が仲間に直撃でもしたらと考えるとゾッとするな…

手入れに関しても、少しでも怠ったら汚れとか刃こぼれとか錆とかが原因ですぐに悪くなりそうだし…


確か、最初に借りてたギルドの剣は銅貨17枚?くらいだとして…まあ、絶対に足りなさそうだよな。)


貸し出していた剣の価格は報酬が銅貨18枚分から1枚になっていた事から推測しているに過ぎないので、本当はもっと高い可能性も充分ある。


(それにしても、日本円で銅貨1枚は何円相当なんだろうか…

100円相当?いや、流石に安すぎるか。

となると、1000円と同じくらいだったりするのかな?


…考えたところで、この世界の貨幣価値の基準となる通貨が今持っているアルティア王国の硬貨なのだから慣れていくしか……ん?)


なんか、()()()()がする。

それに、()()()()()()()()ような気が…


ふと、不審に思った俺は歩みを止める。

横を向くと、悪魔を象ったかのような珍妙なネックレスや、文字がびっしりと書かれたツボ、用途不明な謎の円盤などが並べられた怪しい骨董品店が建っている。


(ん?こんな店見た事あったか?)


改めて、辺りを見渡してみる。

さっきまで周りに感じていた人気(ひとけ)を全く感じない。

辺りには草と薬を煮詰めた独特な匂いが漂っている。

そして何より、建ち並んでいる店が今までとは明らかに違った。


よくわからない獣の頭骨や、占い師とかが使っていそうな水晶玉がなどが並べられた店。

黒っぽいローブや、数珠のような物が店先にかけられている店。

人の顔に見えるコブのある木の根や、よくわからない生き物の干物などがぶら下げられている店。

赤や黒、薄緑や黄ばんだ半透明の液体が入った小瓶が並べられている店。

そして、臭いの原因と思われる煙が漏れ出ている、黒いカーテンで店内が見えなくなっている店。


普通なら、まず怪しいと思って避けるような、近寄らないように心がけるような、そんな()()()()雰囲気の店が立ち並んでいる。




どうやら、()()()()()()迷い込んでしまっていたようだ。







〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:






(いやいやいやいや。

いくら考え事に集中しすぎてたとしても、こんな所に入るかよ普通…


周りに人の気配がほとんどないあたり、『異世界ではこう言った店は割とメジャー』というわけでも無さそうだし…)


ヤバそうな店のオンパレードみたいな通りに迷い込んでしまった俺は、周りをよく見ずに歩いていた事を後悔しつつ頭を抱えていた。


(てか、それっぽい(オカルトチックな)物ばっかありすぎだろ…

あのぶら下げられてる根っことか、魔女が毒薬とか作る時に大釜で煮込んでそうだな…)


そんな事を考えながら、ぶら下げられた人面植物の鑑定を行ってみる。



・マンドラゴラ

森の奥深くや魔力の濃い土地に自生する事が多い人に似た形の根を持つ植物。

地面から引き抜く際に叫び声を上げる事で外敵の精神を錯乱させ、死に至らしめる場合もある。

薬の原料や呪術の媒体になるが、採取の難易度やその希少性故に高価で取り扱われる事が多い。



説明怖っ!これ、最早植物というより魔物では?

マンドラゴラか…何処かで聞いた事がある気が……


(そうだ、モ○ハンだ!確か調合で秘薬を作る時に必要だった奴だ!

ん?でも、アレってキノコだったような気が…)


あくまでゲームの中での設定だったのでただ名前が一緒なだけかもしれない。

ただ、書かれていた説明が似たような内容だったような気がするのは気のせいだろうか。


(それにしても、『呪術の媒体になる』って…

やっぱりここって()()()()()の店が集まってる感じだよな。)


呪術と聞いて、藁人形に呪いたい人の顔写真を貼って釘を刺して呪う奴とか、領域を展開したりする奴が思い浮かぶが…


(まあ、領域を展開する方はまた別か。

…とりあえず来た道を戻って、一刻も早くここから離れた方が良さそうだ。)


深入りする前に、早く退散しよう。


そう思って踵を返して歩みを進めて



「あっれぇ〜?折角ココに来たのに何も買わずに帰っちゃうの〜?」



数歩ほど進んだ俺に、誰かがそう呼びかける。


(誰だ!?)


急に聞こえてきた声に驚き、後ろを振り返る。


そこには黒いコートの様な服に身を包んだ女性が立っていた。

肌は雪のように白く、同じく純白の長髪は腰のあたりまで届いている。

紫がかった赤色の瞳がそれら(肌や髪)と対照的に映る、そんな美女だった。


「どうもぉ〜、初めまして〜

…で、いいのかな〜?」


「初めまして、でいいと思いますよ。」


思わずそう答える。


「…まあ、そうだよね。

…初めまして〜、ボクの名前はベリタスだよ〜!

君の名前は〜?」


突然、目の前に現れた美女に自己紹介を要求された。





〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:





明らかに怪しい店が立ち並ぶ通りで、突然謎の美女に声をかけられた。

かと思えば、出会って5秒で自己紹介をするよう促されている。


何を言ってるかわからないかもしれないが、俺もわからない。どうしてこうなった?


「え?」


「いや、え?じゃなくて〜、君の名前は〜?

()()()()()()()、教えてよ〜

それとも、君の名前は『え?』なのかな〜?」


少しムスッとした表情になったベリタスという女が名前を再度聞いてきた。


「さ、佐々木明です。」


「サササキアキラか〜、言いにくいね〜

サササでい〜い?」


「サササキアキラじゃなくて、佐々木明なんですけど…」


余計な『サ』を増やした上に変なあだ名をつけられそうなので訂正するが…


「え〜?さっき『サササキアキラ』って言ったじゃ〜ん。

ボクの中では、君の名前のイメージはもうサササキアキラだよ〜

だから、サササって呼ぶね〜」


何故だろう、すごくイラッとする。


初対面のはずなのに、何故だか古くからの知人に小馬鹿にされているような気がしてならない。


(よし、さっさと話を終わらせて帰ろう。

こんな場所で急に現れた事といい、初対面でいきなり名前を聞いてきた事といい、勝手にサササ(変なあだ名)とか呼んでくる事といい、深く関わると碌なことにならなそうだしな。)


「…もう、それでいいです。じゃあ、失礼します。」


「え〜!サササ〜、もったいないよ〜!何か買っていきなよ〜!

きっと役立つよ〜?」


「お金もないので…」


「ちょっと〜…

もう!折角『武器を探してる』サササにピッタリな武器を見つけてあげようと思ったのにな〜」


「いや結構で…」


(あれ?俺が武器を探してるって事、言ってないよな。

でも今確かに…)


「サササ〜。

探してるんだろ〜?

ぶ・きっ♡

どうせなら買っていきなよ〜」


「…なんで俺が武器を探していると思ったんですか?」


「も〜!敬語とか硬っ苦しいからやめてよ〜


んで、なんでそう思ったかって?

うーん、……勘、かな〜?ははは〜」


ドヤ顔で言い放ったベリタスの顔や反応に、何故かまたイラっとしてしまう。


「とにかく、武器を探してるんだろ〜?

今しがた、立ち止まって理由を聞いてきたのが真実だと裏付けてるよ〜」


「…確かに武器を探してはいるけど、別の店で買うからお構いなく。」


「まあまあ、遠慮しないでよ〜

ここいらの店は全部ボクの管轄下に置かれてるんだ〜

だから品質は保証するよ〜?

それに、見るだけでもいいからさ〜」


怪し過ぎて、曰く付きの武器とか呪われた道具なんかを売りつけられるのが目に見えている。

しかし、何度も断ってもしつこく進めてくるコイツ(ベリタス)を諦めさせる為には商品を見るしかなさそうだ。


「…ちょっとだけなら」


「ほれきた〜!やっぱり興味あったんじゃ〜ん!

も〜!サササってば素直じゃないな〜」


いらぁ…


「あ、怒っちゃった〜?

もー、ジョークだよジョーク!冗談通じないなぁサササは…」


むかぁ…


「どーどー、落ち着いて〜

イラついた時は深呼吸を〜

さー!さん、はい!」


「…やっぱり帰るわ。」


「ええっ!?

こんな軽い煽りでイラッとして帰っちゃうのかい?

サササくぅーん?」




あのー、マジで帰っていいですか?

語尾伸ばすように話す人って、いそうでいないですよね。

それにしても明よ、お前は単独行動したら新キャラに合わなきゃならん呪いにでもかかっとるんか…


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