表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第二章・転生冒険者とゴブリンロード
55/81

『魔法とは?2』

一周年ってマジですか?

時間の流れって怖い…

ラフィが再び黙り込み、俺たちの席だけが()()()()()ように静まり返った。


(まさか、『言霊の加護』が魔法の『詠唱』にすら適応されてるとは…)


確かに、ソフィアやラフィが魔法を使う際に言っていた詠唱は日本語へ翻訳されていて意味、というより単語として理解できていた。

しかし、まさかそれが『自分自身の発言』にまで適応されるとは…


(確か、『言霊の加護』が俺の話す言葉をこの世界の物へと変化させている……みたいな感じの説明だったか?)


はっきりと覚えていないので、『言霊の加護』の詳しい情報を確認するべくステータスを確認する。



・言霊の加護

神の権能の一つである全知に属する加護。数多の国の聡明な学者や指導者達が欲した加護である。

この加護を持つものが話した言葉は知能を有するものに理解される。また、この加護を持つものは全ての言葉を理解することができる。なお文字の読み書きに関して、この加護は発揮されない。



ラフィの『詠唱』を意識して発言した結果、魔法そのものを指して言う『この世界の公用語』のフリーズではなく、詠唱の『古代言語』の『フリーズ』として翻訳されたという事なのだろうか。


(フリーズと『フリーズ』。

二つとも言葉のイントネーションなんかには違いを感じられなかったし…


…言霊の加護は、俺の『日本語の発音』を元に機能しているというよりも『どのような意図でその言葉を発したか』を元に翻訳を行なっている可能性が高い…という事なのか?)


もっとも、たまたま俺が古代言語に翻訳されるような日本語の発音で『フリーズ』と言っていた、ということも考えられる。


「ねぇ、アキラ君。さっきの『詠唱』は、その…私のを聞いて『覚えた』の?それとも元々知っていたの?」


俺が色々と考えていると、ラフィが真剣な眼差しをしながらそう尋ねてきた。


「あ、いや…覚えたというか、聞いた通りに口に出したというか…

俺が持っている『言霊の加護』のお陰で『詠唱』が成功していた、と言った方がいいですかね。」


「なるほど、『言霊の加護』ね…………


………って、えっ!?『言霊の加護』!?それって、どんな言葉でも理解できるっていうあの!?」


首を縦に振って肯定すると、ラフィは信じられないと言わんばかりに目を見開く。


「…アキラ君、そんな特殊能力(『言霊の加護』)があるのに、冒険者になったの?

…こういうのは申し訳ない気もするけど、なんというか……すごく勿体ない気がするわ。」


「それ、ギルドの職員の人にも言われました。」


それを聞いて、ラフィは『そりゃあ、そうだろう』とでも言いたげな表情を浮かべる。


「それにしても、まさか『言霊の加護』を持ってたなんて……

…とにかく、アキラ君が『詠唱』を唱えられた理由はわかったし、話を元に戻すわね。

詠唱は『魔力』を()()()()『魔法』へと変化させるためのものだって話までしていたわね?

これは、裏を返せば『詠唱を唱えなくても、魔法を使うことはできる』と言う事なんだけど…」


ラフィはそう言うと、紙に図を描き出す。


「この話をわかりやすく説明したいから、さっきみたいに例えを使うわね?

『魔法』という完成品を『魔力』という材料で作る。

そんな話をさっきしたと思うけど、この場合の『詠唱』は『材料を加工する工具や物差しのようなもの』と考えるとわかりやすいわね。

木の椅子を作るとして、物差しで木の長さを測ったり、性能の良いノコギリで木を切断したり、釘で木を繋ぎ合わせたりするでしょう?

それと同じように、『魔力』を『魔法』に変換する際に使う補助道具のような役割を持つのが『詠唱』ってわけ。


別に物差しやノコギリや釘がなくたって、材料の形や性質をうまく利用して組み合わせれば椅子が作れるように、詠唱がなくても魔力から魔法は作れる。

でも、道具を使わずに椅子を作るなんて行為は素人には難しいし、出来たとしても座り心地は決していいものとは言えないでしょう?

()()()()『魔法』へと変化させるというのはそういう事よ。

それでも、無詠唱で魔法を使う人も稀にいるみたいね…私は会った事ないけど。」


「無詠唱で魔法を使うメリットはあるんですか?」


「うーん…

あくまで話を聞いた事があるだけだから詳しくは説明できないんだけど、単純に魔法をすぐに打てるというのと、消費する魔力量が少なくて済むらしいわ。

私は無詠唱で魔法使ったことなんてないし、近くにできる人間もいないから大雑把にしかわからないの。」


無詠唱で魔法を使うという行為は魔法を極めた達人にしかできず、メリット以前に使えないからわからない。


…と、いったところだろうか。


(詳しくはわからない…なら、他にも無詠唱で魔法を使うメリットが存在している可能性はあるのか。

もしかしたらソフィアなら使えるんじゃないか?


いや、ソフィアにはまず、詳しい事情を伝えないまま勝手に依頼を受けた事に関して誠心誠意謝るべきだな。

質問をするにしてもその後か…)


「まあ、無詠唱の話は無視して次に進みましょうか。

『詠唱』は魔法を作り出すための道具のようなものと言ったけど、さっきアキラくんが『詠唱』を唱えた時、魔法が発動しなかったわよね?

それは何故だと思う?」


(そういえば、たしかに俺は『詠唱』に成功していた…って言ってたのに魔法が発動しなかったな。)


考えてみれば、不可解な話だ。

正しい発音で詠唱を唱えたのにも関わらず、魔法のような事象は一切発動していなかった。


だが、俺の詠唱は完璧だったとラフィが言っている。


(…となると考えられる理由は…)


「…魔法を使うつもりがなかったから?」


悩みながらも、導き出した答えを口に出す。


「半分正解ね。」


そう言いながら、ラフィは再び紙に絵を描きながら説明し始めた。


「『魔力』は材料、『詠唱』は道具、『魔法』は完成品。

『魔法を使おう』と念じる意思は、例えるなら『ノコギリで木を切ろう』とする意思と同じなの。

要は『詠唱と言う道具を用意しても、使う意思がないなら意味がない』という事。

置きっぱなしのノコギリが、一人でに木を切り出したりしないでしょう?

それと同じで、詠唱を使って魔力を魔法へと変化させる意識を持たなきゃダメなの。


これが、半分正解といった点ね。


…そして、考えられる一つの理由についてなんだけど…」


ラフィは紙に大きな文字(読めない)を書くと、バンとその文字を叩いた。


「『魔法の属性』に対して『波長』が合わない…つまり、『適性』がないと魔法は使う事ができない。

だから、詠唱を唱えるだけじゃ意味がないのよ。


……って、いきなりそんな事を言ってもわからないわよね。」


ラフィの言葉に答えるように頷く。


「まず、『波長』っていうのは、要するに自分の特性や得意不得意みたいなもの…と言えばいいかしら…

『魔法の属性』は、文字通り魔法がもっている属性の事ね。

炎や水、風みたいに色々な属性があるわ。

この『波長』が、自身の使おうとしている『魔法の属性』に合うものなら、その魔法に対しての『適性あり』という事になるわね。


逆に『適性なし』の場合は、波長が使おうとしている魔法に合っていない状態の事を指すの。

『適性なし』とわかっている魔法を無理矢理使うのは危険だから絶対にダメよ。」


「…具体的にはどう言った危険性が…?」


「よくて魔法の不発、悪くて体が爆発…

…あ、これ誇張なしだからね。


なんでそうなるのかって説明をするのは、専門的な言葉を使わないとちょっと難しいけど…」


ラフィはしばらく考え込む。


「…ちょっと無理やり当てはめた感じがするのが癪だけど、今まで通りに例えを用いて説明するわね。


…この場合、『波長』を『自分が行うことのできる材料の加工手段』と置くわ。


『適性なし』の魔法を使うというのは、例えるのなら『金属を炉の中に入れて燃やして、それを叩いて形成する』という加工手段しか持っていない人間に、『木の皿を作らせるべく、材料の木と削るための彫刻刀を渡す』ようなもの…といえばいいのかしら。

いくら皿を作るための道具を持ったとしても、肝心の道具(彫刻刀)を使えないものだから材料の木を削れない。いくら道具(詠唱)があっても使えないから、自分が用いることのできる別の手段によって木の皿を作ろうとする。その結果、自分が加工できる金属製品を作る時と同じように炉の中に入れて燃やしてしまう。


…これは私が即席で考えた例えだから、深く考えすぎずに『そういうものなのか』程度の認識で聞いてもらえれば大丈夫よ。

『彫刻刀が使えない人間とかいないだろ!』みたいな事を言い出したらキリがないから…」


「なるほど…」


(もしさっきの『凍結(フリーズ)』を使う際に魔法を使うことを意識していたら、魔法が発動していたのか?

それとも『適性なし』で今頃大変な目に……


人が唱えていた詠唱をうっかり真似して自爆…とか、恐ろしすぎて冗談でも笑えないな。)


益しかないと思われていた『言霊の加護』にも、思わぬところに()()()()()が埋まっていたようだ。


仮に『魔法を使う意思』というのが『使ってみたいなぁ』程度の意識であっても『言霊の加護』による自動翻訳が適応される場合、この事故(『適性なし』で自爆)が本当に起きかねない。


(無事に魔法が発動してたとしても、場合によってはめちゃくちゃ危ないものもあるわけで…)


ソフィアの使っていた『炎の息吹(ファイアーブレス)』のような戦闘向け魔法がうっかり屋内で発動しようものなら、周りにも自分自身にも危害が及ぶだろう。


(迂闊に魔法の名前を読み上げたりしないよう、常日頃から心がけなきゃダメそうだな…)


「魔法には属性があって、それぞれの属性にあった波長を持っている場合は魔法を使えるって事がわかってもらえたかしら?」


「はい。

…ちなみに、自分の波長を知る手段ってあったりするんでしょうか?」


もし自分の波長を予め知る事ができるのであれば、その手段について早いうちに知っておいた方がいいだろう。

もっとも『試していくしか方法がない』と言われればそこまでなのだが…


「実際にそれぞれの魔法を使ってみて、波長が合うかどうかを見る…なんて危険な方法もあるけど…

やっぱり一番安全な確認方法は『魔水晶』に魔力を流し込むって方法かしらね?

魔水晶っていうのは普段は透明な水晶なんだけど、魔力を流し込むと色が変わるの。

その色を見ることで大まかな波長を知る事ができるわ。」


そう言って、ラフィは再びバックに手を突っ込んで何かを探し始める。

そして、5センチほどの大きさの水晶の結晶のような石を取り出した。


「これが魔水晶よ。

といってもまあ、この魔水晶は安物だから本当にザックリとした波長しか見る事ができないんだけどね…

…という事で、せっかくだからアキラ君の波長も見てみましょうか!」


「是非お願いします!」


今すぐに自分の波長を確認できるのは嬉しい誤算だ。

喜びのあまり、思わず勢いの良い返事を返す。


「乗り気みたいで嬉しいわ。

じゃあ、まずは魔水晶に手を触れてみて。

次に魔力を流して……感覚としては『身体の中に巡る血を手先に集める』みたいなイメージを持つといいかも。」


手先に血を集めるイメージを持ってみるが、魔力を流しこめているという実感は持てない。


と言うよりも……


「……色、変わらないですね。」


一切色が変わらない水晶をみて、思わずそう漏らす。


「魔力がうまく流せていないみたいね…

確かに、感覚を掴めていないと、魔力を水晶に流し込むのは難し…」




パキャッ




ラフィが喋っていたその時、俺の手元の方から何かが割れて弾けるような音がした。



恐る恐る音の発生源に目をやると、



「…え?」



手元にあった魔水晶が砕け散っていた。

血を集めるように意識はしていたものの、力自体はほとんど入れていなかったと思うのだが…


「あ、アキラくん……」


動揺したように少し震えた声で、ラフィが俺の名前を呼ぶ。


「す、すみません!魔水晶を壊してしまって…」


「あ、違うの!

魔水晶を壊しちゃった事は全然気にしてないわ!

安物だし、いつでも買えるもの。

…ところで、突然で申し訳ないんだけど、その……アキラくんの魔力のステータスってどれくらい?」


()()()、急に俺の魔力について尋ねてきたラフィの顔はどこかバツが悪そうだ。


何故だろう。


とても嫌な予感がする。


「俺の魔力…ですか?

えっと……最大値は150ですね。」



俺が答えると、ラフィはさらに申し訳なさそうな表情になる。



「………落ち着いて聞いてね。

…恐らく、アキラくんの波長は………」



生唾を飲み込む。


もうなんか、嫌な予感()()()()()



「おそらく、どの属性の魔法にも合わない。



……要は、貴方に使える属性の魔法は無いわ。」



「…………へぇっ?」



思わず間抜けな声がでる。



(え?ドユコト?ワケガワカラナイヨ…)



ラフィの言っている事はなんとなく()()()()()()()()()()が、わかりたくない。


脳が理解を拒んでいる。


「魔水晶が色付かずに割れるのは『属性に適性がない』か、『魔力値が高すぎて色が変化する前に耐えきれなくなる』場合だけなの。

アキラ君の魔力のステータスを聞いた感じ、魔力値が高すぎて壊れたんじゃなさそうだから…おそらくは……その……」



なるほど。

つまり、俺は詠唱を唱えられる()()で、一切魔法は使えない。


と、いうことだ。



(そっかー。ははっ。





……………………。)







「…えっ?」






どうか、嘘だと言ってくれよ、ラフィ。


本文が魔法に関する解説文みたいな感じだったので、今回の後書きは本文で書き漏らした属性と魔水晶について。

魔法の属性は多種多様です。

火、水、風、土の四属性、光と闇の二属性、前述の六属性から派生したその他諸々の属性が存在しています。

とりあえず、火、水、風、土、光、闇が主な属性と覚えていただければ…


魔水晶は、魔力を流すことで変色する性質を持つ鉱物の一種です。

魔水晶は純度が高くて大きい物ほど強力な魔力に耐えることが出来ます。

その性質と透き通った綺麗な見た目から、加工して家具やオブジェなどに使われることが多いです。


波長を知るためにも使われますが、大抵は粗悪品や加工時に出る欠片を用いて行います。

ラフィが持っていたものも加工時に出た欠片で、値段は銅貨3枚ほどです。

明が初依頼の時にもらった報酬金の三倍ですね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ