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転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第一章・転生冒険者と新しい出会い
5/81

『巨大イモムシ、SAN値直葬です!』

たかだかデカイだけのイモムシ。


主食は葉っぱだろうし、別に襲ってきたりする訳じゃないだろう。


まあ、仮に襲ってきても1匹だけならどうとでもなるしノープロブレム。




と、そう思っていた時期が私にもありました。




「うわあぁぁあ!!こっち来んなぁ!!」




(今、俺が何してるかって?



ふっ、聞いて驚け!



10匹くらいの巨大イモムシどもから、絶賛逃走中だよ!!)




どうせノロマだろうし、じっとしてるみたいだから大丈夫だ。

…なんて、安易に考えていたついさっきまでの自分を助走つけてぶん殴りたい。



(木に止まってたイモムシがほとんど動いてなかった理由が、『ムシャムシャと鳥を捕食してたから』だなんて初見でわかる訳ないだろ!ふざけるな!)


モザイク必須なイモムシの口元を見た時は、軽く叫びそうになった。


更に、奴はあろう事かこちらに気がついた途端、甲高い叫び声を上げた。

何事かと思ったら、なんと仲間を呼んでいたのだった。



そして、今に至る。




肉食べてるし、甲高い叫び声で仲間呼ぶし、群れて追いかけてくるし…



あいつら、本当にイモムシなんだろうか?



(しかも、あんなにもずんぐりむっくりな体型をしているにも関わらず、かなりのスピードで追いかけてくるから恐怖でしかないんだよな…)


移動する際に、体表がうねうね波打つように蠢いているのが、イモムシ達のおぞましさに拍車をかけていた。


仮にイモムシ軍団の突撃シーンを中山が見たのなら、絶叫どころかSAN値直葬で即天に召されるレベルである。



(そもそも、なんでイモムシのくせに美味しそうに鳥肉食べてんだよ!

変なところで食物連鎖のヒエラルキーひっくり返してんじゃねぇよ!!


どちらかというと、お前らは鳥に美味しく食われているはずだろ!!

こんなワイルドでデンジャーな肉食系であってたまるか!)


『鑑定眼』の検証をしようにも、こんな状態ではできるものも出来ない。


ひとまずは、こいつらをどうにかして撒かなくては…


(もうかなり走った筈だけど、全く疲れてる気配がない…

というより、疲れてるかどうかなんてわかんねぇ!


巨大イモムシの身体状態の把握とか無理ゲーすぎるだろ!

俺は転生したての観察眼LV1だぞ?)


相変わらず俺を追い続けるイモムシブラザーズの様子をチラリと振り返って確認する。


疲れるどころかむしろピンピンしていた。



(…というより、さらに数増えてないか?)



先程まで10匹程度だったイモムシ達は、気がつけば20匹近くまで増えていた。


正直、地獄絵図だ。



「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」


とにかく走る。


ひたすら走り続けるしかない。



(……これは最悪戦闘になるかもしれないな…


考えたくもないけど……)



俺は馬車馬の如く、ただひたすらに森の中を走り続けた。





〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:





「ふう、ふう、ふう…」


切れた息を整え、ゆっくりと身体を落ち着かせる。


声が出ないように控えめに、それでいて肺に新鮮な空気を送り込むように深く呼吸をする。


「ふう、ふう……」


(撒けた……のか?)



辺りを見渡すが、イモムシの姿はない。



(あのまま『走り続けるだけ』だったら、一生追ってきたかもな…

途中で()()が見つかってよかった…)



結論から言うと、あいつらは動くもの、とりわけ音を立てて大きく動くものを見つけて襲いかかるようだった。


更に言えば、細かな造形を認識するほど視覚が優れている訳ではなく、()()()()()()()()例え木や石だろうが追いかけるようだった。


大きめの木の枝などを拾いながら走り、適度に真横に横にぶん投げる。


これを繰り返して狙いを逸らしながらも走り続け、なんとかあのイモムシ軍団を撒くことができたのである。


(蹴り飛ばした木の枝に飛びかかっていったのを見て『もしや』と思ったが、仮説があってて助かったな…)


あと、投げた枝が想像以上に遠くに飛んでくれたのも、俺が助かった要因として大きかったと思う。


まさか、早速『投擲操作技術』のスキルが役に立つとは思わなかったが、嬉しい誤算というべきか。


鑑定眼を試すつもりだったのに、意図せず別のスキルの検証になっていたようだ。




(まあ、今から『鑑定眼』を試せばいいだけだし、気にすることはないな。


よし!

それじゃあ、改めて確認するとしようか!)

ちなみに巨大イモムシの正式名称は『キャタピラー』。

具体的な大きさをいうと小型犬サイズです。

糸を口から吐いたり、体当たりしてきたりします。

一般人でも太めの木の棒かなんかで殴りまくれば倒せるくらいの強さ、なお群れてたら結構厄介。主人公は危険だから逃げたというより気持ち悪かったから逃げた感じ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 5話まで読ませてもらいました、最近チートで圧勝が飽食気味なのでチートなしで異世界を旅する小説が読みたかったので、読ませて頂きますね。
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