『騒めく森』
年末年始は投稿頻度落ちそうです。
期待はずれなお目当ての姿に落胆するのも束の間、俺は目の前にいるスライムを倒すべく向き合った。のだが…
(これ、やっぱりあの中に手を突っ込まないと壊しようがないよな……)
アレの中に手を突っ込んでも大丈夫なのか?と、目の前のスライムを見て思わず躊躇ってしまう。
『手を突っ込んだらそのまま消化されたりしないのか』と不安でしょうがない。
(てか、こいつ絶対メト◯イドの近縁種か何かだろ!!体の透け具合とか体内の赤黒い物体とか…
消化じゃなくて生命エネルギーを吸収してきそうだぞコレ…)
もっとも、スライムの方の赤黒い物体はかなり小さいため、見た目自体が酷似しているというわけではない。
だがその容姿から漂う雰囲気はメト◯イドのようなクリーチャーのそれなのだ。
(まあ、そもそもここは地球じゃないだろうから今更だが……ここまであからさまなのが来ると流石にキツいものがあるな…)
これまで見てきた生物の見た目は、兎や芋虫、亀のような生き物だった。
要は『大きさはともかくとして、その見た目は知っている生物とほとんど変わらない』。
そのため、あまり気にすることなく受け入れる事ができた。
だが、今回は違う。
(このクリーチャーに素手で殴りかかるってのはちょっとキツいんじゃ……仮に剣があっても進んで戦おうとは思わないな。)
ロックタートルに対する感情が『大きさによる目に見える恐怖』だとするなら、目の前のスライムに対しての感情は『正体不明な未知なものに対する恐怖』と言い表すべきか…
それに該当する生物が思い当たらないせいで物凄く危険な生物であるように思ってしまう。
「アキラ君、大丈夫か?キツそうなら俺が代わりに倒すぞ。」
スライムの様子をずっと伺っていた俺の様子を見て、心配そうな表情のビスタが尋ねてきた。
「大丈夫です。ちょっと躊躇ってしまっただけなんで……確か、核を壊せば倒せるんですよね?」
「ああ、そうだ。ほら、ちょうどミルシェが必死こいてやってるぞ。」
ビスタが俺と同様にスライムに向き合っていたミルシェの方を指差す。
見ると、俺が向き合っていたスライムより少し小さめのスライムの核を短剣で破壊しようとしていた。
しかし流動体であるスライムの体質のせいでかなり苦戦しているようだ。
「ぐっ…んにゃろぉ…ぶにぶにして剣が上手く刺さらねぇ。」
そう悪態をつきつつも、スライムの体内に腕を突っ込んで短剣で核を壊そうとしている。
(何というか…この世界の人って色々と逞しいよなぁ。)
日本の女子ならキャーキャー叫んで逃げそうな見た目のスライムを、物怖じもせず短剣を突き立てて倒そうとしているミルシェを見てこの世界の人々の逞しさを改めて実感する。
ここまで肝が座っているのは、モンスターがいて当然の世界で生まれ育ったからだろうか?
(何にせよ、今やる事は変わんないよな…)
まずは、目の前のコイツを倒す。
話はそれからだ。
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『………………ふむ。』
森の奥地、冒険者による開拓が為されていない土地。
そんな場所で、それは目を閉じ、何かを呟きながら佇んでいる。
『………森に立ち入る者どもの数が減ったか…………いや、それだけではないな。
………奴らの全ての隊にそれなりの実力者が数名同行している……
……なるほど、これならば我々の奇襲に対応することもできよう。』
『………となると、奴らが少なからず我々の存在に気づいている、その可能性を考えるのが無難か…
……私の言っていた通り、やはり近日の奇襲の頻度は高すぎたのだ。
……全く、あの脳筋めが必要以上に奴らを襲わせることが無ければ、これ程早く勘付かれることはなかったろうに……
……はぁ。……王は何故、あやつの愚行をお認めになさったのか…』
ソレは少し忌々しそうにボソリと呟いたのち、少し黙り込む。
『……………ふぅむ。
…奴らの特性上、我々の本拠地に攻め入るという強硬手段を取ってくるとは考えにくい。
……まあ、無いとも言い切れない手前、一応警戒を強化すると言うのも……………
………………む?』
突然、ソレはピタリと動きを止める。
そして僅かばかりにその表情を変えた。
『……………これは、我々の言語、か……?
何故、人間が我々の言語で会話をしている?
……いや、この人間以外の者どもは皆、我々の言葉を使っていない。
……………もしや、この人間はあのお方と同じ能力を持っていると言うのか……?』
そして、ソレはゆっくりと、閉じていた目を開く。
開かれた瞳は蛇の眼を彷彿とさせるような、体温を感じない冷たいものだった。
しかし、一瞬にして人に酷似した丸い瞳孔の目へと変わる。
『……兎にも角にも、先ずは奴らの動向についての報告を早急に王に伝えておかねばなるまい。そして………
……この黒髪の人間の存在についても、伝えておかねばな。』
そう呟いた刹那、ソレは自分の影に溶け込んで消えた。
突如現れた謎の人物(?)。
一体、何者なんだー(棒)!?
と、冗談はこれぐらいにして、とりあえず後書き(補足説明)です。
この世界のスライムの見た目を最も簡単に言うと『濁ったわらび餅の真ん中にクコの実を埋め込んだものをクリーチャーっぽくした』という感じ。
伝わりにくいかもしれませんがそんな感じなんです。
明がコイツのことを異様に嫌がっているのは本文に書いてる理由以外にももう一つあるんですが、後々出てきます。
スライムにミルシェが腕を突っ込んでいたと言っていましたが、スライムが腕の形に凹んだだけで剣で貫通させる事はできてません。
まだスライムについての補足説明はありますが、それはまた次回に…
先回しにばっかりして申し訳ないですが、ネタバレしたくないんです…




