『新パーティー結成3』
「……ゴホン!
とにかくっ!!
アキラ君に期待して勧誘したのが一番の理由だからな!そこんとこは信じてくれると嬉しいなー!」
「いや、さっきの話からそう繋げるのは無理があるだろ…」
ビスタの発言を即否定するミルシェ。
いやいや、お前がそれを言うか?と喉まで出かかったが何とか飲み込む。
やっぱり、客観的に見ないとわからないものなのだろう。
「まあ、この兄妹は昔からこんな感じだからあんまり気にしないで欲しいわ…
…さて、一通り自己紹介も終わった事だし、依頼を受ける前に今回の依頼の役割を決めておきましょうか。」
「そ、そうだな!
そうしよう!二人もそれで構わないよな?」
助かったと言わんばかりに、ラフィの意見に同意するビスタ。
そもそも俺を勧誘した理由について責めるつもりで問いただしたわけではなかったし、今のうちに役割分担をしておくという案には賛成だ。
「俺はいいと思います。」
「アタシもそれでいいぜ。」
「よし!じゃあ早速依頼の説明等を……と行きたいところだが、とりあえずは場所を変えるか。
…どうも、ここじゃあ話に集中できなさそうだ。」
(ん?
ここじゃ話に集中できない?)
『何故だろう』と、辺りを見まわす。
そこには、俺たちのやり取りを聞いていたと思われる人達が数人、俺たち四人を囲うように集まってきていた。
そして俺たちの話が一区切りついたとわかるや否や
「なあ!ソフィアってあの『緋色の魔女』のソフィア・アルファードの事だろ!?
そこの黒髪のお前!!俺の事も『緋色の魔女』に紹介してくれよ!!」
「そこのE級は連れて行くのにD級の俺は連れて行かないっておかしいだろう!!
俺も依頼に連れていってくれ!!」
などなど、一斉に話しかけてきた。
そんな彼らに、ビスタは少し不快感を露わにして言う。
「…悪いが俺のパーティーはもうメンバーを募集する気はない。
これから依頼内容と役割分担の打ち合わせをするつもりなんだ、頼むからちょっとそこをどいてくれないか?」
しかし、他の冒険者達は納得がいかないと言わんばかりに文句を垂れ続ける。
「なんだよー!別に俺たちを連れて行ってくれたっていいじゃねーか!
そいつらばっかり良いように扱うなんて差別だ差別!!」
「そうだそうだ!
俺も『緋色の魔女』に合わせてくれよ!そこの黒髪が仲良いんだろ?同じE級のよしみだと思ってよ!なあ、頼むぜ?」
「冒険者になったばかりのくせに問題なく依頼に行けるなんて不公平だろ!
お前らだけ優遇されすぎだ!!」
パーティー参入を拒否された冒険者達は、さらに言いたい放題文句や願望を言い出した。
そんな冒険者達の様子を見たビスタは頭を押さえている。
「ったく…埒が開かないな。
俺たちは初心者のこいつらの為に簡単な依頼を少人数で行きたいんだ。
だから、受ける依頼も決して報酬が高いとは言えないやつなんだぜ?
金を稼ぎたいってんなら、俺たちは諦めて、他の奴らを当たってくれ。」
しかし、冒険者達は一向に引く気配がない。
同じような文句、言い分を延々と続けてくる。
気乗りはしないが、もういっそのこと仲間に受け入れた方が楽なのでは…
そう思い始めたその時だった。
「…あんたら、いい加減にしてくれない?」
低いトーンの女性の声が響く。
先ほどから黙って様子を見ていたラフィだ。
「もうメンバーの募集はしてないって言ってるでしょう?
あんまりしつこいようなら、全員『バインド』で拘束してでも行かせてもらうわよ?」
「なんだよ、言い返せないからって力を見せつけて脅すのか!?
ケチくさいこと言わねーでさ!
強情張らずに、俺たちを連れて行ってくれたらいいだけじゃねーか!」
「そうだそうだ!
人が増えるのが嫌だからってそんなに拒絶なんてあんまりだ!!」
全く聞く耳を持たないで騒ぎ立てる冒険者達。
すると、ラフィは大きなため息をつき
「ねぇ?似たような我儘ばっかりを連呼してて恥ずかしくならないの?
俺たちを連れて行かないのは差別だ?人が増えるのが嫌だから拒絶するのは酷い?
私があんた達を連れて行かないのはあんたらの人間性が嫌いだから。
こっちに非があるみたいなこじ付けは不愉快だからやめて頂戴。
いつまでもしつこく自分の願望を押し付けて、頼む態度にすら敬意が感じられない。
自分たちの事を先に伝えるわけでもないくせに、『自分達も依頼に連れて行ってもらえるのが当然』と言わんばかりの横柄な物言いで騒ぎ立てるだけ。
そんな体たらくだから、他のパーティーにも採用してもらえないんじゃないの?」
堰を切ったように文句を言い出す。
「大体、開口1番のセリフが『そいつらばかりズルい、俺たちも連れていけ』とか…よくそれで今まで冒険者やってこれたわね?
今の今まで死なずに冒険者でいられたのが奇跡としか言いようがないわ。
…いい?
本当に仲間にして欲しいと思っているなら、まずやるべき事は自分の役割を的確に伝え、自身の有用性を証明する事でしょう?」
ラフィのマシンガントークはまだ終わらない。
「私達はあんた達を助ける慈善家でもなんでもないの。
引き入れる意味がない人材をポンポンとパーティーに参入させる気は無い。
甘えてばっかでやっていけるほど冒険者は楽じゃないのよ、夢見る子供じゃないんだからわかるでしょ?
いや、子供の方が冒険者が大変な職業だってわかっているわね。
要するに、あんた達が今やってる事は子供以下って事よ?
ほんと、見てるこっちが恥ずかしくなってくるわ。
…それでもまあ、たった今、自分達が冒険者に向いてないって分かっただけよかったんじゃない?
今の生活が苦しくて金が欲しくて必死になっているなら、向いてない冒険者なんかさっさと辞めて靴磨きの仕事でも何でも探して始めたらどう?
転職が嫌で、これからも冒険者を続けたいというのなら、さっきまでの自分達の姿を思い返して反省点と改善策をよく考えてきなさい。
…もし、それでも自分達が採用してもらえなかった理由すらわからないなんてほざくなら、あなた達は本当に冒険者には向いてないわよ。
はぁ……
これで流石に理解できたかしら?
いい?私たちも暇じゃないの。
わかったら、さっさとそこを退いてくれる?」
さっきまで騒ぎ立てていた冒険者たちが嘘のように静かになり、いつのまにか道を開けるように並んでいた。
最初の方ではまだ異議を申し立てていた冒険者だったが、後半に行くにつれどんどん黙り込んでいった。
ラフィが話し終えた頃には、俺達を囲んでいた全員が完全な『お通夜モード』と化し、中には本気で頭を抱えて涙を流し、震えている者さえ居た。
「さて、と。
じゃあ行きましょうか。
はぁ……全く…無駄な時間を過ごしたわ…」
「あ、はい…」
「お、おう……そうだな。」
こくこく(半泣きのミルシェの相槌)
ラフィは決して怒らせてはいけない。
そう、身を持って実感したのだった。
前話でラフィちゃんの人柄をノーコメントで済ませていた理由ですが、今回の本文の通りです。
ラフィちゃんは普段はおとなしめですが、一度堪忍袋の尾が切れると超毒舌になります。
そして自身を不快な気持ちにさせた相手を精神的に追い詰めてボコボコにします。いやはや、恐ろしい…
ちなみに、ビスタ君とミルシェちゃんはその事をよく知っているのでラフィちゃんを怒らせることはあまりしません。
補足説明としてミルシェ、ビスタ、ラフィが明をパーティーに誘った理由、思惑等を大まかに書くと
ミルシェ→自分がソフィアにやらかした失態を帳消しにしたい。そのために結構仲が良さそうな明を誘ったというのが一番。普通に明に対して悪い印象等はなく、むしろこれから共に依頼を受けて行けたらいいとすら思っている。
ビスタ→純粋な明と言う人物に対する興味に加えて、『妹のやらかしを払拭できたらな』程度の期待で明の参入を希望。
『明経由でソフィアと知り合いになれるのでは?』という期待もあるにはあるが、正直そこまで重要視していない。
明にソフィア目当てか聞かれたときにテヘペロでふざけたのは『変に否定するとかえって不審に見える』と思ったため。何も考えてないようで結構考えてる。
ラフィ→ソフィアと仲がいいという『明という人物そのもの』への興味と、メンバー二人が参入させたいと言っていたため。
明と仲良くなる事で得られるかもしれないソフィアとの交流等については正直どうでもいいと思っている。
そのため、連れてきた後の態度次第ではパーティー参入をお断りする気でもあった。
と言った感じでした。




