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転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第二章・転生冒険者とゴブリンロード
37/81

『新パーティー結成2』

そろそろ依頼に出発します。

「…まあ、たしかにアキラを誘った理由はソフィアさんと仲良くなりたいからってのは事実だ…

で、でも!アキラにメンバーになって欲しいって言うのも紛れもない事実だぞ!!そこんとこは勘違いしないで欲しいってアタシは思うなー!!」


嘘つけ、と言いたくなるような事を急に言いだしたミルシェの目を見据える。

すると、面白いくらい露骨にミルシェの目が泳いだ。


(あー、これは完全に()()だな。)


嘘をつくのが下手すぎて逆に正直なタイプだなコイツ(ミルシェ)


「と、とにかく!アキラがパーティーに参入してくれるって言うなら兄貴達(パーティーメンバー)の事を紹介しないとダメだよな!!向こうで待ってるから会いに行こうぜ!!な!?」


不審がっている俺へのバツの悪さ故か、少しキョドりながらミルシェがそう提案してくる。


(…まあ、俺はパーティーに誘ってもらってる立場だしな。誘った理由がなんにせよ、ミルシェのおかげでパーティーが組めるというのも事実だ。)


一々、ネチネチと同じ事を言って相手の機嫌を損ねてしまうのは困る。()()()()は黙認しておくとしよう。


「…そうだな。改めてよろしく、ミルシェ。」


「おう!よろしくな、アキラ!」


そう返事を返したミルシェの表情は、安堵と喜びで綻びて(ほころびて)いた。





〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:





「おーい!兄貴ー!!ラフィ姉ー!!連れてきたぞー!!新しくパーティーに入るアキラだ!!」


手を振りながら男女の二人組の方へと歩いていくミルシェについて行く。


片方はミルシェと同じ毛の色の男。身長は180センチほどだろうか、中々にガタイのいい青年だ。おそらく、先程の話で出てきたミルシェの兄なのだろう。

そしてもう片方、こちらは160センチほどの女性だが、ミルシェやもう一人の男性とは違って金髪の女性だった。ケモ耳も生えていないようだが…


「おー!てっきりあのまま玉砕すると思ってたが勧誘上手くいったのか!()()()暴言使わなかったみたいだな〜。えらいぞ〜ミルシェ。

君、アキラ君と言ったね?勧誘の時、うちの愚妹(ぐまい)が粗相をしなかったかな?」


男性の方が快活に笑いながら話す。


(喋り方といい、ナチュラルにミルシェ(知り合い)を煽ってる所といい……なんか、この人からは中山に通ずるモノ(煽り癖)を感じるな…)


事あるごとに煽ってきた悪友のあいつ(煽リスト中山)は、今も元気にやっているのだろうか…


「…なんだろう。今ものすごく兄貴を殴りたい衝動に駆られてる。」


ミルシェもそれ(煽り口調)を感じとったのか、そんな物騒な事を言い出した。


「おいおい、暴言は我慢出来るようになっても凶暴な本質自体は治ってないのか?ほーら、深呼吸してリラックスリラックス…」


大袈裟に手を上下させて深呼吸をしながらそんな事(煽り発言)を言う白髪の男。

すると側にいた金髪の女性が口を開いた。


「…ミルシェ、遠慮はいらないわ。()()()鹿()に思いっきり腹パンしてあげなさい。…『拘束(バインド)』。」


女性が喋り切った途端、男の体が不自然に強張った。


「お、おい!?

えっ!?ラフィさん!?

ちょっ、流石にこれ(バインド)はダメじゃない!?

俺、動けないんだけど!?」


ラフィと呼ばれている女性が最後に呟いていた『バインド』なる呪文の効果だろう。

男は必死にもがこうとしているようだが、首から下はほとんど動けていない。


そんな男の様子を見て、ミルシェは嬉しそうに笑った。


「サンキュー!ラフィ姉!よーし、覚悟しろよアホ兄貴!!」


拳をグッと握り込んで男に近づくミルシェ。

そんなミルシェの様子を見た男は慌ててミルシェを抑えようとするが


「はぁっ!?えぇ!?なんでぇ!?

俺はただ頑張ったお前を褒めグハァッ!!」


問答無用!!と言わんばかりに動けない男の鳩尾(みぞおち)あたりにミルシェのグーパンがめり込む。


そして、そのまま男はバタリと膝をついた。

ドスッ、とかなり鈍めのいい音が響いたので、モロ鳩尾に入ったのだろう。


(なんの躊躇いもなく鳩尾を殴ったな…

ミルシェ、恐ろしい子……)


「グウッ……ミルシェめ、的確に鳩尾に打ち込みやがってぇ…

ゲホッ…あー、痛ってぇ…」


呻き声をあげながらヨロヨロと立ち上がる男性。

さっきの一撃(腹パン)がかなり効いたのか、先程までの()()()面が少し苦しそうな表情へと変わっていた。


「ふぅ、…まあ、とりあえずは俺の自己紹介からするべきだよな…

では改めて…ゴホン!

初めまして!俺はビスタ。

ビスタ・シーフィアだ。

2年前から冒険者をしていて、今はC級冒険者だ。

一応、そこの命知らずの馬鹿(ミルシェ)の兄貴でもある。

…アキラ君はもう知ってると思うけど、A級冒険者にすら喧嘩を売りかける程度には凶暴な妹だから、噛まれないように気をつけてくれ。」


一連の発言を聞いていたミルシェが、また不機嫌そうな顔でビスタを睨んだ。


「なあ兄貴、もうそのネタは終わった筈だろ?

何?もう一回アタシに腹パンして欲しいの?兄貴って()()()()()()なの?」


「腹パンのお返しだ馬鹿野郎!!

ちょっといじった(小馬鹿にした)だけですぐに怒って手を出すのはお前の悪い癖だぞ!!いい加減に治せよ!少しは大人になってくれ!!マジで!」


「だからラフィ姉に許可得てから殴ったんじゃん?

癖は治ってるし、ちゃーんと成長してるからな?」


「屁理屈やめろ!!

あ〜も〜やだー…アキラ君助けて〜。凶暴な妹が俺のお腹(鳩尾)を虐めようとして来るんだ…」


「今のはビスタさんに非があるのでは?」

「ビスタがしつこいからでしょ?当然の報いね。」

「兄貴が先にいじって来るから武力行使してるだけだ。アタシは悪くない。」


「あー畜生!!誰一人俺の味方はいねぇのか!」


三人同時にビスタを非難する。


(まあ、先に悪ふざけでしつこくミルシェを馬鹿にしていたのはビスタなんだし、怒ったミルシェに腹パンされてもしょうがないよな。

俺が中山に同じ事をされたとしたら、きっとミルシェと同じような選択をするし…)



「まあ、そこの()鹿()は相手するだけ無駄だから放っておいて、自己紹介の続きをしましょうか。」


「ねぇ、ラフィ。

ちょっと俺の扱い酷くない?なんで?」


「…馬鹿にもわかるよう、理由を()()()で教えてあげるわ。

()()()()よ、わかった?」


「…あんまり扱いが酷いと、俺泣いちゃうぞ?

いいんだな?」


「…さて、アキラ君。

初めまして、私はラフィ・サリーナ。

ラフィって呼んでもらって結構よ。

そこの馬鹿(ビスタ)と一緒の時期に冒険者になって、そのままC級冒険者になったの。

魔法職だけど、流石に『緋色の魔女』のソフィアさんほど強いわけじゃないから期待し過ぎないで欲しいわ。

よろしくね。」


「あ、はい。

よろしくお願いします、ラフィさん。」


「……ねえねえ二人とも…無視は、一番良くないと思うな。

割とガチで傷つくからさ…」


シュンとしてビスタが小声で呟く。


ほんの少しだが不憫に思えてきたが、元はと言えば身から出た錆なので致し方ない。


「よーし!次はアタシだな!

改めて自己紹介をするぜ!

アタシはミルシェ・シーフィア!

今日冒険者になったばかりだが、魔物との戦闘経験はあるから無問題(もーまんたい)!ってわけでよろしく!」


「おーい、自分自身()血に飢えた魔物だって言い忘れブバァッ!!!」


「しつこい!!いい加減黙れアホ兄貴!!」


ミルシェの綺麗な蹴上(けあげ)がビスタの腹に直撃し、軽くビスタが宙に浮きあがった。

そしてそのままドサリと地面に倒れ伏す。


本当に()()()()()()があるんじゃないかこの人(ビスタ)




〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:




地面に倒れていたビスタを、ラフィとミルシェが()()()()起こしてから、四人での話し合いを再開する。


「ひとまず、私たちからの自己紹介はこれくらいで良さそうね。」


「そうだな、最後はアキラ君の自己紹介で締めとしよう。というわけで!自己紹介よろしく!!」


「はい。えー、昨日冒険者になりました。佐々木明(ささきあきら)です。

気軽にアキラって呼んでください。

戦闘スタイルは剣か投擲攻撃か素手、ってことでお願いします。」


とりあえず、相手に戦闘スタイルを教えるとしたらこんな物だろうか。


「…え?

戦闘スタイルに剣があったの?肝心の剣は?」


相変わらずお腹をさすっているビスタが、不思議そうに尋ねてくる。


「…まだ剣は買えないので、貸し出されている物を借りて使ってました。

…けど、昨日森で戦った超巨大(ジャイアント)芋虫(キャタピラー)との戦いで紛失しました…」


すると、次はラフィが少し驚いた様子で口を開く。


「…つまり、冒険者としての依頼の初日に超巨大芋虫と戦ったって事?

あれ(超巨大芋虫)、俗に言う『()()()の依頼』のモンスターでしょ?

少なくとも、冒険者になりたての新米が戦う相手じゃないと思うんだけど…」


(『塩漬けの依頼』?なんだそれ?)


唐突に出てきた『塩漬け』というワードと超巨大芋虫(デカイモ)の関連性が思い浮かばない。

流石に『デカイモは塩漬けにできる』なんてバカみたいな意味ではないだろうし…


(…『塩漬け』ってのは、何かの比喩表現なのか?)



「…まあ、昨日成り立ての冒険者だもんな。

急にそんな事を言われてもわからないのはしょうがないさ。

『塩漬けの依頼』ってのは、要するに()()()()()()()()の事だ。

要は、超巨大芋虫みたいな『倒すのは大変だが報酬や経験値がしょぼくて割に合わないモンスター』の討伐依頼の事だな。

超巨大芋虫なんて、見た目といい面倒な糸攻撃といい図体のデカさといい、お世辞にも好き好んで倒そうってはならないからさ。」


俺の様子から、『塩漬けの依頼』について理解していなかった事を察してくれたビスタがそう教えてくれる。


(なるほど、要するに長期間放置されっぱなしになっていた依頼を『塩漬けの依頼』と呼ぶのか。)


「あー、まあ実際にアレに食われそうになった既の所で助けてもらえたから今生きてるんですけどね…」


「…なるほどな。

『『緋色の魔女』の修行は厳しい』って噂は正しかったってことか。」


俺の話を聞いて納得したように頷くビスタ。


(……あれ?ちょっとまてよ?)


「ビスタさん。

俺、A級冒険者(ソフィア)に一緒に依頼を受けてもらってた事って伝えてましたっけ?」


「………あっ。

えっと……既ニ、言ッテタンジャナイカナー?」


俺が質問した途端、急にぎこちない片言で話し出すビスタ。


もうなんとなく察しがついているが確認する。


「…もしかして、ビスタさん()ソフィア目当てで俺の事を勧誘しました?」


「……………てへっ。」


「いや、それさっきもやった。

てか、女のアタシがするならともかくとして、()()()男の兄貴がやったらただただキモイだけだろ…」


「うるせぇよ!!お前がやっても似たようなもんだろうが!!

てか、お前も()()この下りやってたのかよ!?そんなんでよく了承してもらえたな!?」



(……この兄(ビスタ)あってこの妹(ミルシェ)ありって事だな。)



ギャーギャーと喧嘩する二人を眺め、そう思う俺であった。

『天丼ネタかよ』って思うのも無理ないですね…

ただ、この兄妹を似たもの同士として書くにはこれしか思いつかなかったんです…


ビスタ君は結構自分の事を棚に上げて人の事を煽るタイプ。

ちょっとしつこくからかったり、煽ったりしますが、それが彼なりのコミュニケーション方法なのです。

他者(主にミルシェ)を馬鹿にしている描写ばかりが目立ちますが、本当に嫌がると思う事は決して馬鹿にはしません。

あくまである程度打ち解けた相手しか煽らず、煽ったとしても、それは馬鹿にされても問題のない内容のみです。根は優しいですが、少し悪ふざけが過ぎることもしばしば…


ミルシェちゃんはガサツで凶暴と本文では言われてますが、実は優しい子なんです。でも、ちょっと気張ってるせいで結果的に暴力的な感じになってしまっています。なので本気で焦ったりすると素が出ちゃうわけです。ソフィアの機嫌を聞いた時もかなり素が出てましたね。


ラフィちゃんの人柄についてはまだノーコメントで…

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