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転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第二章・転生冒険者とゴブリンロード
31/81

『無形なる物からの提案』

「いい加減にクエストに行ってくれよ…」って思って話を書き進めるものの、なかなか街から出てくれない…

あの後、街の中をソフィアと練り歩いているうちに日が暮れたため宿に戻ってきた。

おかげで、この街にある沢山のお店を回ることができたのだが…


(今はそれよりも、明日行われる『A級冒険者の会合』の議題内容についての方が気になるな…)


重要な秘密があると知ったら、それを知りたいと考えるのが人間のサガだ。


しかも、その秘密が自分に関係のある(依頼で行く森に関する)ものであると予測される物であるのならば尚更だろう。


(かと言って、馬鹿正直に聞いた所で教えてはもらえないし…

…さて、どうしたものか…)


今の暇な時間(布団に寝転がる時間)の内に、それ(会合の理由)について考える。

『新米冒険者が首を突っ込んでいい物なのだろうか』と思う自分もいるが、それでも気になるものは気になるのだから仕方がない。


(…やはり怪しいのはソフィアやウィリアムの話していた『森の異変』だよな。

これが会合の議題だと仮定すると行われる話の内容は()()()()()()()()()()()()()()()()って事になるか。)


こう考えれば、色々と合点がいく。


ただ…


(肝心の『異変の原因』のめぼしい情報は見つからなかったってソフィアは言ってたんだよな。

2人は、会合の内容は『ただの活動報告会』って言ってたけど…)


ギルドの把握している『異変の原因』についての具体的な情報がほとんどない。

そんな状況下で、わざわざA級冒険者だけを集めてまで『ただの活動報告会』を開くだろうか?



(情報が不足してるのなら、より多くの情報を得るためにより多くの人…A級以外の冒険者達も集めて会合を開くべきだ。

…となると、すでに原因はある程度わかっていて、それに対する対策をA級のみで話し合うのが今回の会合って事になる……なるのか?)


ソフィアが原因は不明だと言っていたのはつい最近(一昨日)の事だ。

それこそ、ロックタートルが凶暴化しているだけだったと…


(いや、森の中にいるゴブリンが襲いかかって来なかったって話もしてたな。)


しかし、あれはロックタートルに怯えて出て来なかっただけだとも言っていた。

それに、ゴブリンは厄介ではあるが、そこまで強い魔物ではないとも言っていた筈だ。

そんな弱い魔物が、今回の異変の原因だと考えるのは難しいだろう。


(うーん。)


考えれば考える程、ますます訳がわからなくなってくる。


原因不明、原因への足掛かりもなし。


そんな状況で対策を立てた所で、そんなものはただの机上の空論でしかない。

確定した情報も無しに立てた計画など、なんの役にも立たないだろう。


確定した情報を把握する為の報告会とも思えない。


各自の調査の報告会をするなら、A級だけを集める理由がないからだ。

それこそ、もっと幅広い階級の冒険者を集めて情報の共有を行うべきなのだから。


原因についてある程度の目処がついていて、それの対策のためにA級冒険者のみが会合に呼ばれたと考えるなら辻褄は合う。

しかし、王都ギルドのエースだと言うソフィアにすら全くわからなかった『異変の原因』が急に判明するなんて事が、果たしてありえるのだろうか?



(情報がほぼわからない以上、考えた所でわかりそうにもないか…


とりあえず、明日に備えてもう寝るとしよう。)







〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:






どこまでも白い空間が広がっている。


そこには木や岩のようなものは一切ない。


それどころか、地面も上下左右の感覚すらもわからない。


まさしく、無そのものと言えるような真っ白な場所。


そんな何もない空間で、俺は(意識)を覚ました。


(あれ……

……ここ、は?

俺は、確か……

依頼を受けて……宿に帰ってきて、それから…)



ベットで眠った…筈だ。


と言うことは、これは夢なのだろうか。



(こんな夢を見たことは今までなかったと思うけど…

それに、夢にしては…)



何も無い、ただ白い空間だけが広がっている夢。


己の身体の感覚すらわからない無の空間だ。


ただ、自分の意識だけはハッキリとしている。




そんな、不気味な状態に置かれていたのにも関わらず、自身の感情は穏やかそのものであった。


これこそが、自分本来の()()()()居場所なのではないか…


そう思えてしまえるほどに。




(これは…夢、なのか…?)




『ここは、厳密には夢ではない。君の深層精神の中だ。』


突然、聞き覚えのない声が聞こえてくる。男とも、女とも取れない、不思議な()だ。


しかし、突如聞こえてきたその声に、驚きや恐怖と言った感情は()()湧かない。


(…お前は、誰なんだ?)


喋るのではない。

頭で考える。

そうすれば相手に通じるのだと何故か()()()()()()()()理解している。


『…(じぶん)が誰かと聞かれたのなら答えてあげたい、しかし生憎()()()()()()()()()

君と、少し話したいと思い、(じぶん)の力を使って語りかけさせてもらった。』


(何故、俺なんだ?)


(じぶん)と君は()()だから。と言っても、()()()()()()、と言うべきかもしれないが。』


(どういう意味だ?)


『それも言えない。

今回話すことができる事は(じぶん)は君の敵ではないという事、そして今から(じぶん)の言う事を君が信じるかどうか、それだけだ。』


声の主はそう言い切る。


会話をするというより、一方的な発言のような物のように聞こえる。


(訳が、わからない。

さっきから会話になっていないぞ。)


その事(一方的な発言)に怒りや不安などを覚えた故の発言ではない。


感情は依然感じられないのだ。

この発言(思考)は、声の主がしている行為の理由がわからないためだった。


『まだ、()()()()意識への介入だ。

君の精神との()()()が弱い。

その繋がりを強くするには、本人からの同意を得ることが最も手っ取り早い。』


こいつは、さっきから一体何を言っている?『一度目の意識の介入』だから精神の繋がりが弱い?だから俺の同意を得て繋がりを強くしたい?


そんな(俺の精神との繋がり)事をして(を強くして)なにかメリットでもあるのだろうか。


(待ってくれ。

さっきから話についていけていない。

俺との精神の繋がりとやらを強くする意味はなんだ?そもそも、誰なのかもわからない他人をいきなり信じるなんて無理がある。

せめてお前が何者なのかを教えてくれ。)


(じぶん)は、ただ()()()に邪魔だという理由で消される可能性が高い君を守りたい。

()()()というのが何者で、どこにいるかを話すことは()()できないが、それは()()()()()()()()()が故であると理解してもらえると嬉しい。(じぶん)の正体も同様の理由で教えることができない。』


声の主は続ける。


『幸い、君は()()()にまだ存在を認知されていないようだ。

…しかし、それも時間の問題だろう。

それまでに、君との繋がりを強くし、(じぶん)の力を持ってして守りたい。

……信じては、貰えないだろうか。』


要は、()()()なる者が俺を殺そうとしてくるから、それから守るために俺との精神の繋がりを強くしておきたい、と。


やはり重要な部分が抜けすぎていて信憑性がない。


(悪いが、お前の事を信じることはできない。

あまりにも唐突だし、何よりお前の正体を含めて分からない点が多すぎて胡散臭い。)


『………そうか。』


(でも)


『?』


(もし、その話が本当だったと分かった時に後悔はしたくない。

…だから、保留という形で話を区切りたい。それじゃだめか?)


『……………。(じぶん)はそれでも構わない。

しかし、()()()()()()()()()()()君には時間があまり残されていないと思われる。

()()()に、君の事を知られた後に繋がりを強化したのではもう遅い。

そうなる前までには信じてもらえると嬉しい……では、またいずれ話すと言うことでいいだろうか?』


(冒険者になったから時間がないってのがよくわからないんだが…)


『冒険者になると()()()にすぐに存在を認知されかねないという事だ…

とにかく、考えが決まったのであれば()()()()()()()()()()で寝転がり、しばらくしてから開けてある方の目を閉じて眠りについてほしい。その一連の動作を精神介入の許可のサインという事にさせてもらおう。……では。』


声の主のその言葉が言い終わるや否や、俺の意識はブツッと消えた。

明はゴブリンについては知っていますが、それはソフィアから聞いたゴブリンの知識のみです。

そのため、「ゴブリンは罠を使う等厄介な生態だが、ロックタートルに怯える程度の魔物」だと判断しています。

もちろん、ゴブリンロードというイレギュラーが存在していることなんて知りません。


今回は長い補足説明はないです。

深層精神と謎の声について説明したい気持ちでいっぱいですが、今後の展開のネタバレになりかねないので書けません…『急に思わせぶりな感じで出てきやがって…誰だよコイツ』って思った方には申し訳ない。


それにしても『私』の振り仮名が『じぶん』って中々に違和感がすごいですよね…

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