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転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第一章・転生冒険者と新しい出会い
3/81

『異世界とステータス』

「」は口で言ってらセリフ。()は内心で言ってるセリフって考えていただけると嬉しいです。

異世界転生。


それは地球で死んだ人間が異世界へ姿形を変えたり変えなかったりして転生する現象、又はその一連の動作のことを指す。


かつての中学校の同級生であるテツ〈本名.白川虎鉄〉に教えてもらったのでどんなものかは知っていた。





〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:





「要は、さ。異世界転生ってのはロマンなんだよね!」


「ふーん」


「世界の覇者になったり、勇者になって無双したり、ハーレム作ったり、俺TUEEEEしたり!現実じゃありえない事ができる世界にハイスペックになって転生する!!いや〜やっぱり異世界転生は素晴らしいよね〜!」


「そうだねー」


「明君もぜひ異世界転生モノの小説読んでよ!絶対ハマるからさ!ほら!これ読めそうなら読んでみて!!!」


「へー、家に帰ったら読んどくよ」






〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:






結局、『小説と現実は別物だし、これはないだろ〜』とか言いながら、次の日にはテツに返したんだったか。


いや、違う。


(漫画と違って文字が多かったから、途中で読むのを諦めたんだよな。

でも、文字ばっかりだから読めないって正直に伝えるのは恥ずかしくて無駄に強がったんだったっけ…)


本を返した時のテツのなんとも言えない物悲しそうな目は今でも覚えている。


同時に、申し訳ない事をしたな、と少し後悔していたのも思い出したのだが、謝罪の機会は一生訪れないだろう。



それにしても…


「やっぱり、ここって異世界なのか…」



明らかに地球にはなさそうな植物とか生えてるし、なんならサイズ感が完全にバグってるイモムシが向こうの方に生えてる木にくっついている。


最も、アマゾンのような未開の熱帯地域になら、あのサイズのイモムシがワンチャンいるかもしれないが…



(あんなでっかいイモムシがいるのか、中山が見たら気絶しそうだな。)


足の小指をぶつける呪いは依然としてわからなかったが、あの大きなイモムシが一匹いれば、容易くあいつをギャフンと言わせることができるだろう。


顔を真っ青にして、悲鳴を上げる奴の姿が目に浮かぶ。


いい気味だ、日頃の恨み(という程のものでもないが)が晴れていく。


(…さて、脳内でイモムシによって気絶させられる中山の姿を思い浮かべて少し気分が良くなった事だし…)




そろそろ、真面目に現状を考えるとしよう。




(ここが異世界だと仮定して、これからどうすべきなんだ?


人間や、人間並みに高い知能を持ってる生き物を捜索すべき…か?


いや、相手がいくら会話ができるほど賢かったとしても、言葉が通じなければ会話のしようがないよな。)


異世界で日本語が使われているなんて事はあり得ない、と言っても過言ではないだろう。


ただ、言葉が通じずとも、手を使ったジェスチャーを駆使すれば、ある程度の意思疎通はできるかもしれない。


(いや…


ジェスチャーを使うのもあんまり得策じゃないかもな。)



地球上でさえ、同じハンドサインが国によって違う意味を持ってる場合があるくらいだ。


グットサインのつもりで立てた親指が『くたばれ』と相手を挑発するハンドサインの可能性だってゼロではない。


となると、やはり下手に人を探すより自身の現状把握を優先すべきだろう。


「かと言って、一人で行動するってのもなぁ…」


あの巨大イモムシの様に、姿や大きさが地球の物と大きく異なった生き物がいないとも限らない。


(てか、絶対いるだろうし、なんなら見たこともない姿をした怪物とかいそうだよな…


…くそっ、こんなことになるならテツ推奨の異世界小説を読み込んでおくんだった…)



最も、完全フィクションのファンタジー小説が、この異世界において参考になり得るのかはわからないのだが…



とりあえず、テツと昔交わしていた会話を思い出してみよう。



出来る限り、詳しく鮮明に…







〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:






「異世界モノの小説の主人公には大抵チートスキルや高いステータス値がつきものなんだよ。ほら!『ステータス』って唱えたら透明な板みたいなのが視界に出てきてステータスとかスキルとかの情報が見れるってやつだよ!」


「ほーん」


「それ以外にもすごい魔力があるとか、めっちゃ強力な味方や武器があるなんてのがほとんどだね!この前貸した奴も主人公がチートスキル持ってたでしょ?」


「あー、そうだっけ?」


「そうそう!やっぱりチート能力やスキルで敵を無双っていいよねー!あの無双していく爽快感!その爽快感に中毒性があるっていうかさ〜」


「爽快感ねぇ…。ところでテツ、そろそろ俺帰りたいんだけどもう宿題写し終わりそう?」


「……明君。明日学校でちゃんと返すから、100円でこの宿題を貸しておいてくれない?」






〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:







(あー、確か学校に残ってテツに宿題の写しをさせてた時に話してたっけな…


期末テスト前にまとめて出す課題だったか。

まあ、テツは頭いいけどサボり癖がひどいせいで提出点が絶望的に低いだけだったからなぁ…)


別に成績に問題はなかったようで、確かその時のテストの合計点も100点差くらいで負けてたような…


…と、そんなことはどうでもいい。


重要なのは異世界転生についての話題だ。



「チートにスキルにステータス、ねぇ…」


テツが異世界転生について語る時に決まって出てきた単語である『チート』や『スキル』、そして『ステータス』。


それらが、異世界に転生した俺にも与えられているかもしれない。



(スキルやステータスを見るためには『ステータス』と唱える…だったよな?


一応試してみるか…)



「ステータス」




半信半疑で唱えた俺の目の前に





「………。」


半透明のメッセージウィンドウが現れた。







…………まじで出るのかよ。



中学生のテツ君は文武両道でイケメンだけど身長低いのがコンプレックスないい子だよ。

厨二病チックな物が大好きな健全な中学生だよ。好きなものを語る時は早口になるけど普段は結構物静かだよ。


高校に上がってから急に背が伸びで完全なる高身長ハイスペックイケメンオタクへと進化したよ!やったね!今は同じ趣味のある後輩の女の子と付き合ってるよ!

ちなみに高校に上がってチート無双物についてのテツ君の反応は「チート物はもうお腹いっぱい。あまり頭使わないで読める点では一興あるかな」だよ。


例の黒服の男に刺されそうだね!


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