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転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第二章・転生冒険者とゴブリンロード
28/81

『商業都市エルド』

投稿遅れて申し訳ないです。

(さて、ソフィアが帰ってくるまでまだ時間がありそうだし…

今のうちに、この街の探索でもして回ろうかな!)


特に用事が控えている訳でも無いし、何よりもこの街のことをきちんと知っておくべきだろう。


冒険者になったのに『そういえば、この街の名前ってなんなの?』なんて無知を晒し続けていては生活に支障が出るのは明確だ。



(でも、黙って勝手に行くのは色々と心配かけるよな…

ひとまず、職員の人にソフィアへの伝言(街に一人で行く事)を頼んでから軽く探索してくるか。)



「すみません。

これから街の散策をするので、ソフィアがここに戻ってきたら『(アキラ)は街に出かけて行った。すぐ戻るので気にしないで欲しい。』と伝えてもらえますか?」


「はい、承知しました。

…ちなみに、どれくらいでお戻りになられますか?

可能であれば、正確な時間をお教え頂けると言伝の際にありがたいのですが。」



(ああ、どれくらい探索をするか考えてなかったな。まあ、一人で待つ時間を有効活用したいだけだし、あまり長い間探索をするつもりはないんだけど。

となると30分くらいで戻ると伝えておくべきか…




…いや、ちょっと待て。)




この世界の時間の単位は果たして『分』なのだろうか?


確かに、この世界に来てからの他者とのコミュニケーションは『言霊の加護』のお陰で問題なくできている。


しかし、単位などの基準が異なりそうなものの呼称や、それらの示す情報が同じとは限らない。


仮にこの世界に正確な『時間』を指し示す単位が存在しなかった場合、正確に伝わるのだろうか?


(…通じるかはわからないけど、伝えてみるか。)


「えっと……30…分後、くらいで…」


『分』という言葉が通じるか不明なので自信なさげに答える。




果たして、結果は…



「はい、30分程ですね。

かしこまりました。」



無事、伝わった。


どうやら、この世界でも『分』時間の単位として使われているようだ。


どうやって『分』の単位をこの世界の人達が発見したのかはわからないが、まあ細かい事は気にしないで大丈夫だろう。



(さて!言伝も済んだ事だし、これで街に行っても大丈夫だな!

じゃあ早速…)



「お待たせアキラ。

報酬はちゃんと受け取れたかしら?」




「………。」


(…ソフィアさん、流石にタイミングが良すぎでは?)


狙ったとしか思えないほどのタイミングで戻ってきたソフィアに少しばかり戦慄する。



「…アキラ?

黙り込んでどうしたの?」


「ああ、気にしないで。

お疲れ様、ソフィア。

俺もついさっき報酬の精算が終わったところだから気にしなくて大丈夫だよ。


……報酬は、うん。」


「…………。」


流れる沈黙。


少しして、ソフィアの『…あっ。』という()()()の声が聞こえる。



「………えっと、その…

……ごめんなさいね。」






〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:





その後、()()()()雰囲気をなんとかする為にも、今からこの街を散策してみようと考えている事をソフィアに伝えた。



「…なるほど。

確かに、アキラはこの街に来たばかりでわからない事が多いものね。

街の散策、いいと思うわ。」


「そう言ってもらえると嬉しいよ。

ああ、そういえば。

さっき呼び出されたけど何かあったの?」



純粋な興味で聞いてみたが、彼女の顔つきが少し険しくなる。


「それは、()()アキラには伝えられないわ。」



(俺には伝えられない事か…

まあ、そりゃそうか。

個別で呼び出して話してるって事は、他者に知られたら困る機密事項とかについて話すからだろうし…)



あまりにも自然に会話をしているので正直忘れかけていたが、ソフィアは王都のギルドから派遣されているほどの『実力者』であり『超重要人物』だ。


新米冒険者もいいところの俺なんかには、存在自体を知る事すら許されないような()()()()を任されていてもおかしくない。


ギルドにとっても、街の人々にとってもなくてはならない存在。


それがソフィアなのだから。



「答えられなくてごめんなさいね。」


「ああ、全然大丈夫。

むしろ、無遠慮に質問した俺に非があるから気にしないで。

さっきの街の散策に話を戻すけど、この街の名前を教えてもらえないか?

俺、文字が読めないから看板とか読んでも何もわからなくてさ…」


ギルドの看板や依頼の精算装置、街中にある看板や値札に書かれている文字は全て読めなかった。


何故ステータス()()()読めるのか、その謎は深まるばかりだが…

正直、深く考えてわからないだろうし気にしない方が良さそうだ。


「『言霊の加護』では口から発せられた言葉しかわからないと聞くし…アキラが文字を読めないのは当然といえば当然ね。

…わかったわ、この街について話しましょう。

でも…」


「でも?」


「せっかくなら、街を歩きながらにしましょうか。」






〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:






「まず、この街の名前についてね。

この街の名前はエルド、都市エルドの主要地区よ。

都市エルドは、『商業都市エルド』と呼ばれているほど商業が発達した大都市なの。」


現在、ギルドを出た俺たちは街を歩いている。

その間に、ソフィアがこの街や土地についての知識を教えてくれているのだ。


「『商業都市エルド』…か。

なんで、この街はそこまで商業が発達したの?」


「この街…というより、都市エルドは『王都と他の都市の中継点』なのよ。

要は、他の街から商品を持ってきた商人や、王都から他の街へ移動する商人なんかがこの街を通っていくの。

だから、結果的にこの街には様々な品物が沢山集まってくる。

そうして集まった古今東西の品物はこの街でも多く売られるから、エルドは商業都市と呼ばれるまでに商業が盛んになったわ。」



つまり、地方の特産品なんかをまとめて持ってくる倉庫と、それらを仕入れて売り出す卸売市場みたいなものなのだろうか。


「あと都市の特性上、様々な土地の特産品の食べ物が集まるから、この街のお店の料理はいろいろな種類があってどれも美味しいのよ。

王都でも、都市エルドの料亭は多種多様で味もいいって専ら評判なの。

何せ、『武具のアルティア、食のエルド』なんて言葉もあるくらいだから。

…あ、アルティアは王都の事よ。」


「つまり、この街は商業都市であり美食都市でもある、って事?」


「…まあ、わかりやすくいえばそうね。

ちなみに、色々な必需品(剣や防具、備品)と美味しい料理を比較的に容易に入手できることから、エルドは冒険者にも人気が高い都市なのよ。

何より、似たような環境(街の利便性)の王都ギルドよりも依頼が断然楽ね。

かけ出し冒険者でも安全な難易度のものが殆ど……どうしたの?」


「ああ。

いや、大した事じゃないんだけど…」


言うほどの事でもない。



ただ、美味しいご飯の話を聞いたからだろうか。



時間帯が時間帯なのも相まって





グギュルルルルルルルルル。





『空腹です。』




そう口で答える前に、腹の虫が()()()


「……すごく、正直な(胃袋)なのね。


口よりも先に返事をするなんて。」



「本当に、お恥ずかしい限りで。」



「…まあ、依頼で体を動かした後だから、お腹が空くのもしょうがないわ。

時間もちょうどお昼時だし。」



(真面目に相手が教えてくれているのに、その話の最中に腹を鳴らすとか…

我ながら、人としてどうなんだよ…)



この国の価値観ではどうなのかわからないが、失礼な事なのには変わらないだろう。


にも関わらず、何事もなかったかのように話を続けてくれるソフィアの度量の広さには感謝しかない。



「…よし、何処かでご飯を食べていくことにしましょうか。

と言っても、私もあんまりこの街のお店を知らないのよね。

…ああ、安心して。

お金は私が払うから、アキラは遠慮せずに食べてね。」




腹の虫で答える卑しい俺に、ご飯を奢ってくれると言ってくれるソフィア。


器が大きいなんてレベルじゃない聖人っぷりだ。



本当に、すごくありがたい。




(……ありがたいんだけど…




これ、ヒモ卒業どころか、むしろ悪化してないか?)





今はただ、己の至らなさを悔やむばかりである。

今回、『こいつら、実質デートしてるようなもんじゃない?』と思った方がいたかもしれません。

しかし、この世界の冒険者の間では、こう言った異性のペアでの行動は当たり前に行われています(パーティーメンバー等と共に行動する事は日常的にある)。


今回、エルドの街について書こうかなと思っていましたが、色々長引きそうなのと本文で言い切れなかった事があった為、次話の後書きに書きます。


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