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転生冒険者がゆく異世界冒険譚  作者: カニ玉380円
第一章・転生冒険者と新しい出会い
19/81

『決意』

書きたいことが多すぎて物語が一向に進みません…『はよ戦え』と思ってる方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

素朴な疑問を聞いたつもりが、ずいぶんおかしな事を言ってしまっていたようだ。


露骨に驚くギルド職員さんや、他の冒険者志望の人達の表情がそれをありありと俺にわからせてくれる。



「……彼は遠い異国から来たばかりなの。

冒険者の事も、私から聞いたから知っているだけ。

…だから、冒険者の階級制度について知らないのはしょうがない事なのよ。」


見かねたソフィアがそうフォローしてくれなければ、俺はただの世間知らずな馬鹿としてこの場の全員に認知されてしまっていただろう。


「あ!そう言うことですね!?

そこまで考えがまわりませんでした、申し訳ありません。」


驚いていた表情が納得の顔へと変わった職員が、俺に謝罪をしてきた。

きっと『冒険者目指してる癖に階級についてもわかってないとかなんだこいつ…』とでも思っていたのだろう。


「いえ、あらかじめ素性について伝えていなかった俺が悪いので…」


『憧れで冒険者目指してます』とか堂々と言ってた奴が、その冒険者についての常識を知らないとか流石に引かれて当然だ。


「では、冒険者の階級について説明をさせてもらいます。」





〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:





あれから10分ほど職員から冒険者の階級について話を聞いた。その内容の需要な点をかいつまんで説明すると


・冒険者の階級は6段階に分かれ、低い順からE.D.C.B.A.そしてSと並ぶ。新規の冒険者は如何に能力が高くても、必ずE級からのスタートとなる。


・冒険者の階級は、冒険者の戦力や貢献度に応じて上がる。


・階級は討伐対象の魔物を倒す為の目安としても使われる。例えば、大人のロックタートルを単独で倒すのに必要な階級はB以上、複数人で倒すのであれば最低でもDは必要。と言った具合だ。


・A級の冒険者が、達成困難な依頼(ドラゴンなど強力な魔物の討伐など)を無事達成し、それがギルドに認められた場合にのみ、その冒険者は任意でS級に上がることができる。そのため、実質の最上位の階級はAである。


という事らしい。つまりソフィアは実質最上位の冒険者だった…なるほど、それならあの知名度と強さに納得がいく。


そんなソフィアだが、先ほどから顔色が優れないように思える


(さっき俺のステータスの確認をしてからずっとこの調子だ…一体どうしたんだろうか)





〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:〜:





特殊ステータス。


それは自身の努力や生まれ持って身につけていたスキルとは異なる、特別な力。

神や大精霊と呼ばれる高次元の…圧倒的な力を持つ者達によって与えられる物だとされるそれ(特殊ステータス)を、()()()()()()()()持っていたアキラに、ソフィアは内心驚いていた。


(『言霊の加護』……なるほど、それなら遠くの異国から来たにも関わらず私達の言葉を理解できるのも納得だわ。)


先程まで、アキラの故郷でも自分たちの言葉が使われているため、自分達と問題なく会話をする事ができていると思っていた。


しかし、『言霊の加護』によって会話が成り立っているとなると話が大きく変わってくる。



(『言霊の加護』は()()の言霊を理解する…そう文献に書いていたわね…)


かつて読んだ書物に書かれていた事を思い出す。それ以外では、学者達に、特に魔物の生態や言語を研究する者達からは喉から手が出るほど欲される加護だとも言われていた筈だ。


理由は至って単純だ。


この加護は、人ならざるモノ、すなわち()()の言葉でさえも理解する事ができる。


魔物の生態を調査する者、またはその言語を理解しようとしている者たちにとって、これがどれほど素晴らしい事かは言わずともわかるだろう。


何せ、意思疎通が不可能なはずの魔物と、それこそ人と話すように別け隔てなく喋れるのだ。これを渇望しない理由などあろうか。

もっとも、喋れる魔物の方に相応の知性がある場合にしか加護は発動しないが、それは些細な問題だ。


さて、そんな加護を持った人物が冒険者になった場合どうなるか。


(本当に、取り返しの効かない事をしてしまった……)


ソフィアの後悔の念がさらに深まる。


自分が今回アキラを冒険者になる様に勧誘した理由。


それはゴブリンロード、および率いられたゴブリンの討伐に参加して欲しかったからだった。

今回戦おうとしているゴブリンとは、罠や弓矢を使うほどには頭が良い魔物であり、見た目もかなり人間に似ている。


魔物の言葉がわかるアキラに、道具を使うほど知能の発達した人型の魔物と戦わせる。


それが意味することは何か。


(自分の理解できる言葉を話す相手を…魔物であるとは言え、自分自身の手で殺さなければいけない…)


つまりはそう言う事だ。


ゴブリンは魔物の中でも高い知能を持ち、掛け声によって連携を取りることで格上の魔物や冒険者を仕留めることすらある。

要は、確立した言語を話している可能性が極めて高い。


ゴブリンの言葉がわからない冒険者ですら、最初は倒す事に躊躇う。それくらい、人に酷似している魔物なのである。


そんなゴブリン退治を『言霊の加護』を持つアキラにやらせるという事がどれほど残酷か。それがわからないほど馬鹿では無い。


(今からでも遅くない…なんとか冒険者を辞めるように説得した方がいいんじゃ…


ええ、そうすべきよ。

彼に嫌われるかもしれないけど、このまま戦場に送り出して苦しめてしまうよりはずっとまし…)



そう考え、冒険者になる事を止めようとした時



『危険があることぐらい知っている。それでも、俺は冒険者になりたい。謙遜なんてしていないさ。』


『俺は自分の意志で冒険者になりたいと思っているんだ。『言霊の加護』があろうが無かろうが、そんな事は関係ない。』



不意に、彼の言っていたそれらの言葉を思い出した。



(…ああ……そうか……あの時から、既に決めていたのね。)



そもそも、彼とは魔物がたくさんいる森の中で出あったのだ。


私と会った時にゴブリンの事も既に知っていたのを見るに、きっと何度か遭遇していたのだろう。

しかし、それでもなお彼は冒険者になろうとしていた。

(アキラ)は、既に決心がついていたのだ。



(決意を固めている彼を無理に引き止めるだなんて、そんな不粋な真似はしちゃダメか…


私は、彼の身の安全を守る事だけに徹していればいい…

下手に口を出しては、それこそ彼に迷惑をかけかねない。)




ソフィアは、そう結論付けた。


ソフィアが持つ特殊ステータスは『緋色の魔女』の通り名と密接な関係を持ちます。

これも後々の話で出てくる予定なので待ってて欲しいです。

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