『癒しのベットと思わぬ再会』
フッカフカの暖かいお布団は人間をダメにする…
「あぁ〜〜。フッカフカのベットに横になれるって本当に素晴らしいな。」
森でのソフィアの誘いを快諾した俺は、現在森の近くの街の宿の布団でくつろいでいた。ちなみにソフィアが俺にかけてくれた『ウォッシュ』なる魔法によって身体や服の汚れは綺麗に落ちた。魔法って便利だな…
「それにしても、やっぱり落ち着ける場所があるって素晴らしいな…」
こんなにいい宿を用意してくれたソフィアには感謝してもしきれない。なお、そのソフィアは
『アキラの部屋は私が取っておいたから、今日はゆっくり休んで頂戴ね…私はちょっと用事があるからそれを済ましてくるわ。』
そう言って宿の部屋の鍵を俺に渡して、何処かへ行ってしまった。
凄く気前がいいと言うか、なんというか…
悪い男に騙されたりしないか心配になるな。
まあ好き好んでそんな事する命知らずがいるとも思えないけど。
ソフィアを騙したり誑かしたりしようものなら、バレた瞬間魔法で跡形もなく燃やされるのだろう。
(いや、殺人はカルマ値が上がるからそれは無いか。でも、殺しはしなくとも半殺しくらいにはされそう…うわぁ怖…)
少し鳥肌立った腕をさすりつつ、俺は窓の外を見る。
「一時はどうなることかと思ったけど、なんとか人が住んでいる安全な街に来れたな…」
(まあ、9割ソフィアのおかげだけどな!)
そう、ここまで上手くいっているのは、ほぼほぼソフィアのおかげだ。
このままでは『少女にくっ付く無職の紐男』が、俺の立ち位置になってしまいそうな気がする。
(うん、それは絶対嫌だな。
…俺も、冒険者登録できるかな?)
話を聞いた所、登録条件は戦闘力以外は既に満たしていると考えていいだろう。
今後の事を考えれば、『冒険者』への就職(?)は視野に入れておくべきだ。
目指せ!脱無職!!
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コンコン
「あ、はい!
今出ます。」
脱無職宣言を心の内に決めてしばらくして、部屋のドアをノックされたので開ける。
そこには中世っぽい服を見に纏った女の人が立っていた。
給仕さんだろうか。
「御夕食をお待ちしました。どうぞ、お召し上がりください。」
そう言うと、給仕さんはテキパキと食事をテーブルに並べて始めた。
何かの肉が入ったシチューのようなもの、パン、何かのフライ、そして赤色のジュースのような飲み物だった。
「あの、すみません。メニューを教えていただいてもよろしいですか?」
いろいろと食材が気になるので聞いてみることにしよう。
「かしこまりました。こちら、一角兎のシチューと、白小麦のパン、グロウフィッシュのフライ、そして、セキショクカのジュースでございます。一角兎の肉は、つい先ほど森で狩られたばかりの新鮮なものを使用しております。」
(今日狩られたって、もしかしてあの一角兎じゃないよな…)
いやいや。
まさかあいつがそう易々と捕まるわけがない。
アイツには、あいつはきっとまだたくましく生きているだろう。
きっと今頃、森の中で元気よく駆け回っている筈だ。
「何しろ、とても疲労していたようで簡単に狩れたそうですよ。
暴れる事もほとんどなかったみたいで、無駄な外傷のない綺麗な状態の物を調理する事ができました。」
…これ、もしかしなくても昼間のじゃないか。
(……ああ、ごめんよ、一角兎……
俺が観察眼のレベル上げに付き合わせたばっかりに…
せめて美味しく食べるから安心して成仏してくれ…)
罪悪感からか、思わずシチューに向かって合掌していた。
「では、私は失礼いたします。お食事が終わりましたらこちらのベルでお呼びください。」
そう言って小さなベルを俺に渡して、給仕さんは部屋を出て行った。
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夕食を食べ終えてやる事がなくなった俺は、冒険者登録の参考にするためにも自分のステータスを再度確認することにした。
「ステータス」
ステータス
名.佐々木 明 性.男
種族.人間 職業.無し
LV 5
体力.500/500
魔力.100/100
スタミナ.250/250
攻撃力.50
防御力.40
魔法攻撃力.25
魔法防御力.20
素早さ.85
運.10
スキル
・観察眼 LV2
・疾走 LV2
・鑑定眼 LV2
・投擲操作技術 LV3
・剣術 LV2
・回避術LV1
特殊ステータス
・異世界転生者
・言霊の加護
・地の星の民
(あれ?亀に突進された時に減っていた体力とスタミナが回復してる…?)
食事をとってくつろいだからだろうか?
だが、今重要なのはそこではない。
冒険者を目指す者として、このステータスは果たして基準値を満たしているのか否かという事だ。
(かと言って、自分のステータス画面を確認しても参考資料になるものが無いんだよな…)
自分のパラメーターしか見たことがないので、平均値かどうかすら判断できないのはかなり辛い。
(やっぱり、後でソフィアに聞いてみた方がいいのか?)
冒険者歴が長いとかいってたし、冒険者になるためのパラメーターの基準値を把握していてもおかしくない。
明日にでも『冒険者になりたいので、俺のパラメーターが合格基準を満たしているか教えて欲しい』と聞いてみれば、基準を満たしているか教えてもらえるだろうか。
(ふぅ。
今日はもう疲れたな…
いい時間だし、そろそろ寝ておくか…)
思い返せば、今日は今までの人生で一番大変だった。
帰宅しようとしたら知らない男に腹を刺され、死んだと思った矢先に異世界に飛ばされ、馬鹿でかいイモムシや亀に追いかけられ、すごく強い少女に助けられ…
改めて文字に起こすと、カオスすぎて笑えてくる。
(明日も、今日みたいにドタバタする事になるのかな…)
そんな事を漠然と考えながら、俺は眠りについた。
ちなみに今回の夕食の食材の説明ですが
グロウフィッシュ→タラみたいな味の白身の川魚。名前の由来は水中でキラキラと光るから。
白小麦→名前の通り白い小麦。高級品。
セキショクカ→この前の鑑定眼の話の時に出てきてた奴。
です。
ここの宿、給仕さんが食事持ってきてたりフカフカのベットがある時点で察された方もいるかもですがかなり高級な宿屋です。そんな宿屋をポンと取るソフィアさんぱねぇ…
ちなみに一角兎のシチューは「鶏肉のシチューみたいで美味しかった」とのこと。
無駄に走らされ、狩られて食べられる…
可哀想な一角兎君に黙祷…




