08 ホワイトシチュー
奴隷の機転で手紙を出し、家に到着すると早速夕飯に取り掛かってもらった。
この日はホワイトシチュー。
大鍋で調理していたので明日の朝も同じものを食べることになるのだろう。
夕飯後は明日の商談の準備をと思ったが、奴隷の様子が少しおかしい。
仕事部屋に来たと思ったらその手には着替えがあった。
「今日も風呂に行きたいのか」
そう聞くも、奴隷はこちらを見るばかり。
正直俺も毎日風呂ってのはやったことないし、今日行くのは奴隷を甘やかしすぎているようなものだ。
しかし、言葉は通じないもののその働きぶりは使用人と同程度だ。
使用人と異なり給料が発生しないことを考えると、将来への投資として考えてもいいだろう。
「わかった、準備するから待っていてくれ」
立ち上がって準備を始めると奴隷はすぐに玄関に向かっていってしまった。
待ち合わせの時間などは特に決めていないが、奴隷だったらいくらでも待つだろう。
そう考えてゆっくりと風呂を堪能する。
長風呂を終えて長椅子に向かうと奴隷が座っていた。
こちらに気がつくと少し不機嫌そうな目線を送ってきた。
「次回からお前もこれくらい長く入ってていいからそんな目をしないでくれ」
普通、奴隷がそんな目をしたら殴られて当然だが、俺の人柄を見抜かれたのかあるいはなめられているのか、この奴隷はギリギリのラインで態度に出してくるようだ。
家に到着し、寝る前に明日の準備を再度行う。
といっても書類を確認する程度だ。
ささっと終わらせて寝室に向かうと奴隷がベッドに座って俺のことを待っていたようだった。
俺が部屋に入るのを確認するとベッドに寝っ転がる。
昨日とは違い、真ん中を占有するのではなく最初から窓側の方に寄っている。
「なんでリビングで寝るってことは学習しないで、そっちに寄って寝ることは学習できてるんだよ」
そう意味も無く言うだけ言って寝ることにした。
ベッドが少し狭くなるものの、少なくても寝れないなんてことはないので、大目に見ることにした。
夜、ふと目が覚めた。
体が思うように動かないと思って見てみると俺の腕を枕にし、抱きつくように寝る奴隷が横にいた。
勘弁してくれよと小さく息をつく。
しかしここで無理に起こすと逆に俺が寝れなくなるかもしれないこと、
自国から遠くに売り飛ばされてしまって不安を抱えているであろうこと、
なにより俺自身がなんだかんだ眠いこと。
頭が動いているなら奴隷に使われているという状態に大きい不満を抱くだろうが、当然今はそこまで考えがたどり着くことはない。
少女特有の甘い香りに包まれながら目を閉じて安らかな眠りを続行させるほかにできることなどなかったのだ。
頭の活動が停止する直前に「もしかしたらこの奴隷は俺を抱き枕のように使うことを想定して風呂に行きたいと主張したのかもしれない」、そんな考えがよぎったが、最後まで考える前に夢の世界に潜ってしまうのだった。
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