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オレハシル

コンビニにつくと、俺は店内の涼しさを堪能するために雑誌を読むことにした。

花火を買って早く行かなければならないのだが、走ってきたせいで服の中が汗だくなのだ。


目の前にある週刊誌を手に取り適当にページをめくっていく。


『随時募集中!!あなたの身の回りの怪奇現象、心霊現象を聞かせてください!!』


俺は笑ってしまった。今さきほど怪奇現象とやらが起きたんだけど。

勝手に壁に文字が刻まれていて、日に日にその文字が増えていってます!こんな感じで投稿してみよっかな。


けれど俺はすぐに考えをやめた。別に誰にも言わないでと頼まれたからではない。

あの壁の人が俺のことを知っていた。俺の家族のことも。ただその真相を知りたいだけだ。こんなことマスコミに教えたらあっという間に知れ渡るだろうな。

そしたら、何もかもが聞けない気がした。


パラパラとめくり、とくに興味をひくような記事はなかった。

体の汗もひいてきたことだし、花火を買って早いとこ学校にもどろう。


「いらっしゃいませ」

女性店員がにっこりと笑って花火の袋に記載してあるバーコードをレジでとおしていく。



「ポイントカードはお持ちですか?」

ちょっと待ってください、と俺は言い、財布の中からポイントカードを取り出す。


「ありがとうございます。」


店員はポイントカードを受け取りポイントを入れると俺に返した。


「合計で2300円になります。」


たかっ!!花火ってこんなに高かったっけ?


小さいため息をつきながら、俺はお金を支払いコンビニをあとにした。



結構大きめの花火を買ってしまったことに気付いた。なにせ非常に走りにくい。

しかしこれ以上待たせたら、というかすでにかなり待たせてあるから早く行かないといけないことは分かっていた。

俺は学校まで必死に走った。夜中に大きな花火セットを持って走っている俺。

はーー。俺なにしてんだろ。


学校の正門をくぐり校庭を駆け抜け、美術準備室の窓から校舎に入る。

再び静寂がおとずれ、俺は忍び足でドアを開け廊下を渡り屋上へと続く階段を上っていく。


すると前のほうから、コツコツと不気味な足音が聞こえてきた。


ぶわっと鳥肌が立つのがわかる。

まじかよ!あーやばい。見つかったらめんどくさいことになるぞ。

そう思い俺は周りを見て隠れそうなところを探す。


その間も足音はどんどん大きくなっていく。


やべえやべえどうしよう。


しかしこれといって隠れそうなところはなかった。

実験室や職員室が近くにはあるがカギが閉まっていて入ることができない。


もうダメだ。


俺は見つかる覚悟で、足音を気にせずに急いで逆戻りした。階段を飛び降り廊下を駆け抜ける。

美術準備室が目に入ると一目散に入り、ドアを閉めた。

窓から外に出て、窓を閉めた俺は近くの茂みに隠れて携帯を開いた。


このことみんなに知らせなきゃ。

電話帳から信太郎の番号を探し電話をした。


茂みに隠れているせいで少しばかり立ち上がらないと窓は見えなかった。首を伸ばしながら中を気にしつつ信太郎が出るのを待つ。

しかし7,8回ほどコールが鳴るが一向に出る気配がない。


あのバカ!なんで出ねーんだよ!しょうがねえ。ほかのやつだ!

そうだ。つばさくんだ・・・・・。


しかし、よくよく考えたら俺はつばさくんの番号もアドレスも知らなかった。

なにせ遊んだのが今日が初めてなのだ。


どうしよう。はやくあいつらに知らせねーと。まさか今日に限って学校に人がいるなんて。

先生か警備員ならかなりめんどくさい。ここの生徒じゃないだろうなー。こんな薄暗い校舎に高校生にもなって入るなんて馬鹿は俺達くらいだろう。


えーーーっと・・・そうだ!栗野雪がいた!あいつの番号は確か知ってるはずだ。

俺は再び携帯から栗野雪の番号を探した。


すると美術準備室のなかから音がした。ドアを開ける音だった。


うそだろ・・・。美術準備室に入るのを見られていたのだろうか。全速力で走ったからばれなかったと思ったんだけど。あっちも走って追いかけてたのかな。


俺はさらに茂みの奥に身をひそめる。外からでも床がきしむ音が聞こえてきた。


うわ。ぜってー探してるよ。


俺は急いで電話帳から栗野雪を探す。


はやくはやく!えーと、く、く、く、く・・・栗野雪!あった!


通話ボタンを押し、できるだけ中の人に声が聞こえないように手で口を覆うようにした。


俺の携帯から1回目のコール音が鳴る。早く出てくれ!


次の瞬間、美術準備室の中から携帯の着信音らしき音が鳴り響いた。

俺は再び自分の体の鳥肌がたつのがわかった。










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