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オレオトコ

 まあ男というのは、いや俺という男はマイペースというのか何というか、とにかくいったん間があくと忘れてしまうのである。


長いようで短い夏休み。きっとみんなは海に行ったり夏祭りに行ったり充実した毎日を送っているのだろう。けれど俺は違った。彼女はいないから祭りになんか行きたくもない。男友達と何回か行ったことはあるけれど、周りはカップルばかりで虚しさだけが募った。

だから俺は祭りが嫌いになった。


海にも何回か行ったことがある。その時は女友達と男友達と行った。楽しくなかったわけではないが、暑いし、体がひりひりするしで早く家に帰りたいと願っていた。だから今年の夏は家でゆっくりと過ごしたいのである。けれどそんな願いもすぐに打ち砕かれた。着信12件。いい加減出たほうがよさそうだ。


「はい。もしもし」


「もしもしじゃねーよ!何で電話すぐでねーんだよ!」


 あーあ、信太郎のやつ怒ってるな。


「わりいわりい。夏休みの宿題早く終わらせようと思ってよ。ちょっと出れなかった。」


「うそつけ!お前にかぎってそれはねーよ。てかよ夏休みなんだからどっか遊びいこーぜ!」


 やっぱり。


「そうだ。俺今夏バテだったんだ。ははは。」


「はははじゃねーよ!お前ってやつはとことんマイペースだよなーーー。」


 お前に言われたかねーぞ。


「で?何すんの?お前と2人でデートなんか嫌だからな。」


「ひっでえーな。実はな・・・・・」


 受話器越しに信太郎の不適な笑みがこぼれてきた。


「もったいぶんじゃねーよ。」


 なんだかんだやつの言おうとしていることに興味を示してしまう俺がいた。


「今日の夜、学校の屋上で花火やるぞ!しかもクラスのきゃわいーー女の子付きで。」


「ほおーーう。お前にそんな力があるとは思えんけどな。」


 けれど気づかぬうちに俺の口はにやついていた。


「まあ正直なところ翼のおかげなんだけどな。」


「やっぱりな。」


 翼というやつはクラスの女子の人気者で、おれから見てもかっこいいと思う。つまり信太郎は翼に協力してもらったのだ。でないと男だけの花火大会になるところである


「つーわけでまた夜電話すっからな。いいか、絶対来いよ。」


「はいはいわかったよ」とだるそうに言ってみた。もっちろん!行くに決まってんだろ!って言ってみたいのを我慢して。電話を切ったときには俺の耳はじんじんしていた。信太郎のばかでかい声に俺は嬉しさのあまり気付かなかったのか。俺は馬鹿であほなことを再認識した。


 ふーーとため息をつきながら俺はベッドに仰向けに倒れこんだ。埃が舞う。

だいぶ部屋を掃除してないことに気づいた。床には終了日からずっと放置されている学校指定のかばん。まだ宿題をするどころかかばんを開けてすらいなかった。

夜までまだ時間があるので、俺は自分の部屋の掃除をして時間を潰すことに決めた。

だって宿題するよりかましだろう。


 いつの間にか汗だくになりながら俺はせっせと部屋の掃除をしていた。時計をみると夕方の6時を短針はさしていた。外を見ても夏だからか外はまだ明るかった。こんなにひとつのことに集中したのは久しぶりだった。

きれいになった部屋を見渡して俺は満足した。

その時ベッドの上に置いていた携帯が鳴った。信太郎と表示されている。


「はい。もしもし」


「おー出たか。俺だけど、時間は夜の8時からで集合場所は沢鳥公園の前のコンビニっつーことだから。」


「わかった。コンビニな。」


「ぜってー来いよな。」


「はいよ。」


俺は電話を切ると部屋を出て風呂場に直行した。

早く汗だくの体を水で洗い流したかった。

それに女の子が来るなら清潔な体で会わなきゃ。


俺はいったい何を期待しているのだろうか。

まあの男の高校生の男子が考えることの5割は女の体だろうから俺は自分のことを変だとは思ったことはない。


俺はいつの間にか口笛を吹きながら髪を洗っていた。

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