表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/75

女神の前で

サルシャ姫

 サルシャ姫は一度やるといったことはやりとおす娘だった。

その結果として、魔族の罪という罪には罰が与えられ、

人間との間の和平をより強固なものにするために、

たとい身分の高い魔族であっても厳罰に処された。


 そのサルシャ姫のガッツを作りだしたのは何者だったか?


「よくぞここまでってくらいの働きっぷりだったわね」

「おはようございます女神様、お元気で何より」


 サルシャ姫が女神の前に再び姿を現したのは、

長い旅の終わりをここで話すためか?


「よくも魔族を人間側に近づけたものじゃない?

 これで魔族も人間みたいに面白おかしく、

 生きていける時代ってわけだし、

 めでたしめでたしじゃない?」


「ええ、でもあなたから与えられたこのチカラが、

 残っています、実際、あまり使ってはいないの、

 ですけれどね」


「でも都合よく良い勇者達を引き当てたものね、

 あそこまで戦ってくれる仲間がいたら、

 勝利なんて楽々得れるものね」


「それは、魔王城に一行のみで挑める猛者ですからね」


「ほほほ、あなたにとっては、

 最初は宿敵だったのにね、

 運命とは分からないものだわ」


 女神はサルシャ姫を笑ってはいるが、

讃えるつもりがあるようで、

たのしげである。


「で、なんで女神様はわたしに贈り物をくださったのかしら?」


「ん、訊きたい?」


「ええ」


 女神はお茶の準備を天使に始めてもらって、

あたりは厳かな空気が漂うが。


「一つは魔王の娘にもっと賢くなって貰いたかったからね、

 これは貴方の行いをみたら分かるわ、本当に利口になった」


「はあ」


「二つ目は魔王を上回る存在がいたほうが、

 世の中が安定すると思っての事よ、

 勇者だけでは力不足だもの」


「なるほど」


「三つ目は、そうね、

 これは私の趣味なのよ、

 望む望まざるを関係無しに、

 能力を与えられた存在が、どんな一生を、

 送るのか? っていうのがね」


「分かるような気はします」


「分かってくれるかしら?

 魔族と人間のハーフである貴方が?」


「理解できるように努めることはできますけど、

 やっぱり、本当は、重荷でしたわ」


「そう、でしょうね」


 姫は何度、小説を書こうとしたか、

数えてみれば幾度もその衝動に駆られたが、

なんとか自我を統率して、

問題を自力と勇者達の助けで乗り越えてきた。


「で、その能力どうするつもり?」


「どうするって、こうするわ」


 サルシャ姫は筆を取ると、

紙に書き殴り始めた。


 勇者との冒険を終えたサルシャ姫は、

女神との対話ののち、

 世界の平和を祈って、安堵とともに、

自らの持つ小説を現実化する能力を封じた。

 と。


「さすがね、最後まで自分の思い通りには、

 能力を使わなかった、褒めてあげるわ」

「小説は小説、事実になって奇なりとなれば、

 不幸になる人も増えるはずだからね、

 もう、わたしにはいらない能力なのよ」


「あなた、魔法一本だけでも、

 十分な戦闘能力を持ってるものね、

 それは要らないのはそうだわ」


 こうして、

小説の持つ奇妙な能力に引きつけられて、

一生が変わることになった、

幾人かの冒険者たちの旅は終わりを告げた。


 終わってみればあっさりしたものであったが、

その冒険と道中であった物事は、

確かに歴史に刻まれて、

サルシャ姫の手によって、本になされたのだった。


 サルシャ姫の作品は世の中に出回り、

ようやっと、彼女は作家の道を歩み出した。



おしまい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ