VS両の魔王!
両の魔王は魔法のエキスパートだ!
「このわたしが貴様ら下賤の民に倒せるとでも!」
両の魔王は両面にそれぞれ男と女がくっついた、
奇妙なデザインをしている魔王であるがその力は絶大。
「多重詠唱!」
二つの詠唱が重なって、二連続で巻き起こされる爆発は、
強大な炎の波となって、勇者達を襲う!
「多重結界!」
魔法使いと僧侶の魔法がかろうじてこれを防いだが、
「多重詠唱!」
今度は数多の氷の柱が勇者達を襲う!
「こいつ魔法を次々唱えて!」
「そうなんども結界では防げません!」
「この剣を受けてみろ!」
「ほう攻撃してくるか! 防御障壁!」
勇者の一撃は障壁に阻まれて、届かない、
「からの魔法の矢!」
「うわー!!!!!」
両面がそれぞれ詠唱してくるため、
いっぺんに攻撃と防御が両立している!
「大丈夫ですか勇者! 大回復!」
僧侶の回復の魔法が間に合ったから、
致命傷にならずにすんだが、
両の魔王凄まじい魔力を持っている!
「姫さんなしで戦えってのも、
なかなか堪えるぜ!」
盗賊は素早い身のこなしで、隙をうかがっている。
「無駄無駄!一度で二回詠唱できる我のペースに、
一度はまりこめば、どんな存在も抜け出すことは出来ぬ!」
「バーンフレア!」
「コールドストーム!」
辺りを炎と氷雪が襲い、極度な温度変化によって!
「結界が!?」
破られてしまった!
「うわあああ」
「きゃあああ」
「ひぃぃぃぃ」
「うおおおお」
四人はたちまち地に叩きつけられ、
両の魔王は長い錫杖を地面に突いて余裕の表情だ。
「魔王の力を舐めていたようだな、
貴様ら人間が挑むには百年はやい」
「では、わたしならどうかしら?」
サルシャ姫が現れた!
「さ、サルシャ姫! アンタは魔力が充分じゃないはず!」
「そうよ! あの魔法のあとで魔力が持たないでしょ!」
「無茶です! 下がっていてください!」
「姫さん、調子にのっちゃいけない!」
勇者達は姫を労って口ぐちに言う。
「わたしなら全然大丈夫よ!
なにものも畏れないわ!」
「貴様が、我が軍勢を吹き飛ばした張本人か!
おのれ、絶対に許さぬ! 喰らえ!」
「ライトニングボルト!」
「ストーンスピアー!」
「マジックドレイン!」
サルシャ姫はマジックドレインを唱えると、
両の魔王が放った魔力をみるみる吸収してしまった。
「ば、馬鹿な! こいつ魔法力を!」
「魔法は私には効きませんわ、得意分野ですからね!」
「大回復!」
僧侶の大回復の掛け声とともに、
勇者達は立ち上がると、意を決して両の魔王に斬りかかった!
「まだだ、まだー!」
「バーンフレア!」
「コールドストーム!」
「光の石!」
僧侶は高々と光の石を掲げると、
その光は増幅し!
「ま、まぶしい! 詠唱が出来ない!」
両の魔王の詠唱が定まらず、魔法を無効化した!
「くらえ!勇者の剣を!」
「俺の連続攻撃を!」
勇者と盗賊の連係攻撃が、
両の魔王を両面から切り裂いて、
膝をつかせた!
「がふっ! こんな馬鹿なことが!」
「あるんですわ! これが人間の力です!」
サルシャ姫は人間の活躍を讃えて、
勇者達は両の魔王に剣を突きだす。
「何か言い残すことは無いか?」
「だ、大魔王様、バンザーイ!」
両の魔王は討ち取られた。
光の石、
出し損ねかけたわ!




