殺戮の勇者VS道の魔王
なんてことなのでしょう!
「よくぞここまでたどり着いた勇者よ!」
道の魔王は数多くの戦いを制してきた勇者一行を出迎えた。
「よくも言えたもんだな!」
「そうよ!すべてあなたから始まった!」
「今回ですべて終わらせる!」
「姫を返してもらおうか!」
勇者、魔法使い、僧侶、盗賊達は、口々に言った。
「はっはっは、さすが勇者達よ!
わたしの想像に及ばぬ鍛え方をしたようだ、
だがこの私に勝てるかな?」
道の魔王は魔界に通じる道という道を自らの魔力で、
描き切り産み出した張本人にして、
この魔界の土地管理や、あらゆる領土区分を仕切っている。
ようするにかの魔王、道の魔王はあらゆることに通じており、
大魔王よりも魔界の事を深く把握しているに等しい故に、
勇者達の行いもすべて筒抜けなのだ。
「この一撃を受けてみろ! 道の魔王!」
勇者の一撃は虚しくも空を切った!
「ばかな!?」
「はっはっはっは、当然だろう?!
すべてはこの私が仕組んだこと、
貴様らは操り人形に過ぎなかったのだからな!」
「わたしの魔法を受けてごらんなさい!」
魔法使いの魔法はくしくも、あさっての方向に飛んで行った。
「そ、そんな!」
「何度でも言ってやろう、
貴様らは操り人形、この私の想いのままに、
切り開き、切り進むだけの存在に過ぎぬのだ!」
「みなさん私の祝福を!」
僧侶の祝福は何の加護も示さなかった!
「神の祝福が受けられないなんて!」
「貴様らの神はこのわたし、道の魔王だ!
他ならぬ、すべてのことを支配する魔王様だ!
お前らの事など、とうの昔に倒したも同然だ!
ハッハッハッハッハッハ!!!!!」
「俺の流星の双剣をくらえ!」
盗賊の素早い斬り込みも、一切が道の魔王に通用しない。
「何度でも何度でも何度でも言ってやろう!
サルシャ姫を完全に支配した今、この私が、
この私こそが、この世界の支配者!
何もかもを統括し、完全に手中に収めたのだ!」
「くっ!」
「そんなばかなことが!」
「あ、ありえませんわ」
「畜生! 姫の力か!」
「さあ、この戦いも終わりにしようか!
勇者達よ、互いにぶつかり合い、
そして壊れながら動き回れ!
互いの力をぶつけあって、完全に滅びるのだ!」
「か、体が勝手に!」
「あ、勇者、なんてこと!」
「わ、わたしが、盗賊に」
「く、っみんなを傷つけるなんて」
勇者達は互いに互いを切りつけあいながら、
詠唱した魔法で丸焦げになりながら、
お互い不気味にぶつかり合った。
これもサルシャ姫の小説の通りに起きた、
出来事であり、なにもかもがサルシャ姫の書いた、
事象とおりにいった。
やがて勇者達は完全に死して、
動きを止めると、道の魔王は勝利を確信した。
「やった、やったぞ!
この私が、全てを支配する時代が来たのだ!」
この勝利は絶対に揺るがない、
道の魔王はあらゆる魔王の中で、
決して揺るがぬ支配体制を得、
この世で得れぬものなど何もない、
完全な勝利を決めたのだ。
こうして勇者の冒険は終わった。
ああ、無念!




