魔王の姫君、自らの能力を暴露する。
なんということなのだろうか、
今になって、明かされるとは!
「姫さんには超能力がある、それは」
「盗賊、私の口から話しますわ、
わたしの超能力は、わたしが、
”執筆した小説通りに現実を改変する能力”、
ですわ」
「なんの話なんだ?
超能力? 小説?」
勇者は二人が何を話しているのか、
いまだ見当もつかない。
「突然ね、でも、まさか」
魔法使いは僧侶と見合わせる。
「くわしく訊かせてくれませんか?」
「わたくしの能力が覚醒したのは、
貴方たちが丁度冒険を始めて、
魔王城に始めて侵入して、
そこで、お父様に火を放ったという、
勇者の冒険の物語を書いてからですわ」
「それって、俺たちの冒険は小説だったってことなのか?」
勇者は理解したようだ。
「じゃあ、私たちの記憶がもっとつ整理されてないのも、
僧侶が記憶が曖昧だっていうのも」
「まさか、そんな」
魔法使いと僧侶は身を寄せ合って姫を見る。
「ええ、もともと私が、
作品の中で詳しく描かなかったから、
きっと記憶やその背景に曖昧な、
粗が残ってしまったんですわ」
「そんなことって、
でも私は僧院で修行して、
ここまで自分の意志で来たものだと」
「そう、そこまではその通りだったかもしれない、
でも、勇者一行として冒険を始めたきっかけは、
私が描いたものだったかもしれないんですわ」
「おれは!勇者として王様に魔王を討伐するように、
いわれたんだぜ! それはオレの記憶であって、
誰かが、書いて作ったフィクションなんかじゃないぜ!」
「ええ、そうですわね、
でもそれが捻じ曲がった、
勇者達が牢屋に投獄されるなんて書いたから」
「この姫さんは、
俺たちの冒険を捻じ曲げたんだ、
悪いようにも良いようにもな」
「どういうことなんだよ!どうしたらいいんだ?
そうだ! 姫様! ここは1つ何か書いて証明してくれ!
俺にはまだ信じられないんだ!」
「勇者! 姫さんに書かせちゃあならない!
それは操り人形になるってことだ!」
「信じてもらえなくて当然ですわ、
でも書いた証拠ならここにありますわ」
姫は、勇者達の物語を巻物にして保有していた。
勇者はそれを受けとり、読むと、
「でもどうせ後で書いたんだろう?
後で書いたならどうとでもつじつまの合う話だ!」
「・・・・・・」
「サルシャ姫……本当、なのか?」
一同を沈黙が包む、
(何があってもおれは勇者だ、それは変わらないでも)
(魔法使いとして、どうしてもそんな能力納得ならないけど)
(わたしの過去まで書かれていないのは私に興味が無いから?)
(ああ、話そうが話すまいが変わらないだろう、これも
姫さんの筋書どうりかもしれないんだからな、
なにをどうやってもそれは変わらないことなんだ)
「これだけはいわせて、
みんなと一緒に冒険したことは、
全部、創作したものじゃあない、
確実にあった冒険なのよ」
「なるほど、あなたがたが連戦連勝な理由が分かった気がします」
気付いた時には一つの背の高い黒い影が現れていた!
「なっだれだ!」
「訊かれた!?」
「油断していました!」
「ちっ厄介な!」
「あ、あなたはまさか三魔王の一人、道の魔王!?」
「さすがは文の魔王の娘様ですな、そして勇者一行、
こんな話を訊いて、私が、喜ばないとでも思いましたか?」
道の魔王は姫を抱えると、笑みを浮かべた。
「な、姫を! おのれ! 姫を離せー!!!」
「それは出来ない相談ですな、
いま、姫様を支配してしまえば、
全てが私の思い通りに!
大魔王様さえ!
わたしにはかなわなくなる!」
道の魔王は詠唱を始めると、
「や、これは支配の魔法!? やめるのです!」
「できませんな! わたしの操り人形になりなさい!」
「やめろー!!」
勇者達は武器を構えると、道の魔王に挑みかかった!
「邪魔立てを、バーンフレア!」
「はっ!? 魔法障壁!!」「光の壁!」
咄嗟に魔法使いと僧侶はバーンフレアの衝撃を防ぐと、
勇者達は押し戻された!
「ではさらばです!勇者達よ!
次会う時は、あなたたちも操り人形です!」
道の魔王は飛び去った、
勇者達にその脅威を残して。
「なんてことだ」
盗賊は自らのふがいなさに、眼を伏せた。
次回!
勇者は操り人形!




