閃光!衝撃!フルエクスプロージョン!
姫の渾身の魔法は届くか?
夜の闇の中に、一つの太陽が顔を出した、
さながら夜明けのように辺りを明るく照らし出す閃光は、
轟音を伴って、爆風と共にあたりに大量の塵を巻き上げる!
「っつ!あれはまさか!」
魔界の魔物と未だ戦闘を続けていた勇者は閃光が走った方向が、
そう遠くないことを悟ると、戦う手を止めて走りだした、
魔物の方も異様な魔力を感じ取ったのか、
避けるようにして逃げ出した。
「あれって!」
一晩中、高台で見張りをしていた魔法使いは、
強大な光の柱の跡に、空をつんざく轟音が奔るのを訊いた。
「いくよ大怪鳥!」
魔法使いは大怪鳥を支配し、
使い魔として、その背に乗って飛んで向かった。
「なんだ、大魔王か!
大魔王が攻めてきたのか!?」
レジスタンスのアジトに轟音が響くと、
フンバールは急ぎ武器を手に取った、が、
「みなさん、落ち着いてください!
これは私の仲間かもしれないんです!」
僧侶がそう言い放って、見張り台に、
駆け出すのを眼で追って
「アンタ、一体!?」
僧侶は地下にあるアジトにまで伝わる、
振動と、光の柱の位置がそう遠くないことを、
悟ると、急いで駆け出した!
双眼鏡では眩しすぎる!
「まったく派手にやらかすもんだぜ!」
盗賊はそう言うと、
急いで光の方へ駆けだした!
「きっと魔力であの光も維持されてることだ!
地図だと大体ここらか!」
与えられた旅人の一式の中には地図もあったので、
素早く駆け出すと、だれよりも早く、
森を抜け、湿地帯を抜け、
草原を抜けて、光の柱の立つ大地の近くまで来た!
「姫さんはあそこか!?」
光が収束し、消え去った点に、人影が1つあった、
「ちっ、派手に吹き飛ばしてくれやがって!」
盗賊は姫の下に向かうと、その無事を確認した、が、
「姫さん! どういうつもりだ!」
「ああ、盗賊! 久しぶりですわね!
といっても案外、近くだったようですけど」
二人きりだ、そして、
「―――わたくし、魔力を使い果たしてしまいましたわ、
どうにも敵が多くって仕方なしでしたけれど」
「丁度いい、話すことがある」
盗賊は姫に近づきしゃがみ込むと。
「全部姫さんの書いた小説どおりなのか? このことも?」
と姫に問うた、
サルシャ姫は弱った様子で、やがてフッと息をして答える。
「どこで盗み聞きをされたのかしら?
抜け目がないのね、盗賊さんは」
「だとしたら随分と間抜けなプロットだぜ、
わざわざこんな目立つことを派手に、
しかも自分は瀕死になりかけて、だ」
盗賊は姫が弱っているのを見て、
今が機会だと考えたのだ、当然、執筆する力も残ってないだろう。
「ありがとう、初めて感想が訊けたような気がしたわ、
でも残念ね、わたしも実力を試したくなったから、
ここまでのことを小説として書くことは封じているの、
勇者と一緒に純粋に冒険がしたかったから、わたし」
「姫さんがもっと早く解決を望んだのなら、
俺たちに、わざわざ試練なんぞ与えずに、
速攻で大魔王を退治できたはずだ、それこそ、
俺たちを駒のように使って、でもそれをしなかった、
愚かというんだ、そういう宝の持ち腐れを」
「なんとでも言って、
わたし、もっと冒険がしたかったの、
本の中だけでない、本当の冒険が、
あなたたちとなら、出来る気がして」
「自分で書いたものに情が移ったのか?
俺の存在さえもお前が作りだしたものかもしれない、
姫さんは神の視点を持ちながら、
その駒と一緒にパーティーを組みたいなんて、
悪趣味だとは思わなかったのか?」
「そうね、否定しないわ」
「俺たちは、勇者たちは、
姫さんに作られた、物語なのか?」
盗賊は一番の疑問を投げかけた、
そして、
「誰でも書いたものに愛着が湧くけど、
それだけじゃないの、現実に勇者が現れて、
現実にそれが本当に生きていて、動いていて、
本当はもっと些細な暮らしがあってって、
そう思うと、もっとあなたたちのことが、
知りたくなったわ。だからあなたも」
「盗賊! サルシャ姫!」
勇者が駆けつけた、続いて!
「サルシャ姫様!
魔力が尽きてしまっているでしょ!
わたしの魔力、分けるわ!」
魔法使い、そして、
「はあ、はあ、
わたしの魔力も使ってください!」
僧侶が、そこに現れた。
「みんな待つんだ!
話がある!」
盗賊は姫を助けようとする皆を静止し、
姫との会話を続ける。
バレがきましたね。




