魔族12諸侯
魔王領の平定はなるか?
また倒してしまった魔族を、
魔族諸侯は結集し、この恐怖を口ぐちに語り合い始めた。
「姫様じきじきに引導を渡しに行くなんて」
「しかも腕っぷしの強い勇者揃いで」
「これは一代で財を成した魔族諸侯にとっては悪いことでしかない」
「どうしたものなのだ?どうすれば逃れられる?」
「我らは死なないために最善を尽くすしかない」
魔族諸侯は自らの領地で簒奪したと思えるところをリストにまとめた、
それは元は人の住む土地だったものを、
無理から魔族領に編入して、
国土に飛び地のようになってる領土だった故にこれを、
捧げることで、姫の怒りを避けようと思ったのだ。
「何か勘違いしてるようだけど、虐殺の罪は消えないわ」
集まった魔族諸侯は12名、
どれも疑いのあるものばかりで構成されていた。
中には今も奴隷制の残るこの世界で、
奴隷解放をうたって、人間を人の世界に開放する諸侯も現れ出したが。
「それで?反省をしたつもり?」
魔族諸侯は恐れおののいて、
様々な術具や拷問器具を捨て、
捕虜に対する扱いも人並みのものに切り替えた。
「なるほど、証拠を消しにかかっているのね」
「どうしろというのですか!我ら魔族諸侯の命をお求めですか!?
姫様は我らに死ねとおっしゃりたいのですか?!」
「死んでも変わりがいるじゃない、
諸侯といくら名乗っても、
名士たりえないのなら消えて貰って結構よ」
「ぐ、ぐ、ぐ」
諸侯はぐうの音もでないまま丸め込まれてしまい、
その権威は失墜し、一角の魔族に落ちついてしまった。
「始末しなくて良かったのかい? 姫様?」
勇者は剣を磨きながら訪ねる。
「あいつらは群れているから犯行を行ったわけだし、
その群れを崩してしまえばあとは野に返るのみよ」
「野に返った奴らが一番獰猛だとは思うけどな」
盗賊は自身が生きてきた勘からそう答えた。
「わたしに出来ることはここまで、
あとは魔族諸侯の出方を見るまでよ」
魔族12諸侯は、それぞれの土地に帰り、
統治する為に姫の法を受け入れた。
罪びとは罰し、善人を優遇した。
これにより魔王領の治安はますます良くなり、
新しく開かれた学校によって、
魔族の学力もすこしずつ向上、
また教科書を大幅に見直すことで、
今まで蛮行を奨励したような英雄譚ではなく、
土地を整えた魔族や、
科学的功績をあげた魔族を推薦して、
本に収集したために。
魔族が持つ殺戮の歴史は封じられ、
完全に次世代は平和の時代を歩む存在へと、
昇華されていった。
これもひとえに魔王とその娘の平和路線のおかげである。
「なんだかみるみるうちに治安が安定してきたな」
「本当、最初に来た時は外にいかつい連中がいっぱいだったのに、
サルシャ姫が魔族諸侯をしかりつけてから、
あっという間に文明が安定してきたようだわ」
魔族の安定、それは盤石な教育に基づいてなされる。
確かな魔族の未来の為には、
今、過去の蛮行を取り締まって、締め付けを強くする必要がある。
サルシャ姫はひたすらに責務を果たし続ける。
それがライフワークと言わんばかりに。
魔族の蛮行を次々と押さえつける姫君サルシャ、
こののちに待っているのは反乱か安寧か?




