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地獄の公爵グレッペター

グレッペターとは何者なのか?

どんなことをしているものなのか?

「あの娘め!面倒なことを始めおって!」


地獄の公爵グレッペターは、部下に指示を出して、

自らの邸宅の中を掃除を始めていた。

他ならぬ魔術の実験がために使っていた、

人体を片づけるために。


「よし、地下に無事に隠したな、

 これであの娘の追及の眼からひとまず、

 逃れることができるだろう」


そしてグレッペターの住まいに姫が訪れたのは、

正午を過ぎた頃になってからだった。


「ようこそ!おいでくださいました!サルシャ姫」

「ええ、グレッペター、元気そうで何よりです」


グレッペターはもてなすための豪華な料理の数々と、

香をたいて、あたりを清めて回っていた。

そう人間の匂いを隠すために。


「グレッペターなにも香炉を振りまいてあるかなくてもいいのに」

「いえいえ!いかんせん古い住宅ゆえに清めて回らなければ!」

(わたしが鼻を利かせて骸の在処を探すとでもおもってるのかしら)


グレッペターは大雑把にしか状況を把握していなかったが、

とにかくサルシャ姫が王命で人殺しを取り締まってまわっていると、

そう訊いたので、自宅に死体があると危険だと考えたのだ。


「ところでグレッペターは先の戦いでどんな戦功をあげたのかしら?」

「せっ戦功ですか?」


魔族ならここで人間をいかにむごたらしく殺してやったかを、

誇るところだが、グレッペターは元人間であったし、

そんなヘマはするわけにはいかない。


「わたしは、戦争で1人でも多くの同朋を救うべく」

「べく」

「数々の魔法で奇跡をほどこし」

「こし」

「人間でさえも蘇生術で生き返らせてみせたのです」

「なるほど、ではみせて」

「へっ?」

「蘇生術をみせてほしいのよ、

 あそこにある人体模型で」


しまった!部下のものめ!あんな目立つところのものを、

隠しそびれるとはおのれ!とグレッペターは舌打ちした。


「でっ、ではわたしの奇跡をお見せ致しましょう!

 蘇れ、人体模型!!」

グレッペターの手から光が燦燦と輝きはじめると、

たちまち人体模型は人の姿となり服をまとってパタパタと踊り始めた。


「見てください!姫様!人間が息を吹き返しましたぞ!」

「へーほんとね、まるで殺した人間が蘇ったみたい」

「・・・・・・」

「一度殺したのかしら? あの人間を」

「い、いいえ! あれは部下が勝手に運んできたもの!」

「苦しい言い逃れね、部下に罪をなすりつけるだなんて」


おのれ!


「では逆にお聞きしますが!

 そもそも過去に起きた戦争時に数多くの人死にが出るのは、

 当たり前の事! その当時は人間も魔族の死体の管理も、

 我々に一任されていました故に、

 その罪を戦後いきなり追求するのは、

 法の不遡及の点から考えても可笑しゅうございます!

 ましてや私はこの国の公爵であり護国の英雄ですぞ!」


「英雄か英雄でないかはその時々の人の評価によるものだし、

 公爵という爵位を与えたのは他ならぬ王命で魔王であるはず、

 すでに通達したはずだけど、人殺し、同族殺しに関与した、

 大罪人は法によって裁かれるのよ? あなた何人殺したの?」


「過去のことは過去の事です!」


「現在進行形の問題でもあるのよ?

 時効になるものももちろんあるけれど、

 私は保障できていない虐殺の証拠を、

 ひとつひとつ調べて回って、

 裏も取っているわ」


「姫様!このような聴衆の前で私を裁くおつもりですか!」

グレッペターはだんと席を立ちあがると、

周りの聴衆から笑いの声が上がったのをみた。


「あなた方もですぞ!わたしは辱められた!

 このことは確かに抗議いたしますからな!」


「そう? グレッペター、

 でも残念ね、公爵の爵位は取り上げることになっているわ」


「な、なにを?」


「他ならぬ王命によって、

 人死にをすきままにして、

 更にはあなたには魔族を殺した過去もあるからね」


グレッペターは過去に魔法使いとして人間の王に仕え、

魔族を数多く殺した過去もあったのだ。


「許されぬことです!

 断固としてこのグレッペター!」


「猶予は与えます、

 今日のところは引き下がってあげるけど、

 はやく家から立ち去ることね、

 さもなくば不法占拠で差し押さえます」


「くそっ!!」


サルシャ姫が去った後に、

グレッペターは部下の頭を叩いた。

 

もっとつサルシャ姫が法を理解してるかは謎ですが、

法をすきままに立ち回ってるのは確かなようです。

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