えぴそーど 2.矢代と櫻井。
面倒くさいことになった
後輩の彼氏がよりにもよって中学時代の元彼氏とかどんだけ世界狭いんだ・・・
顔なんて見に行くんじゃなかった。
普段だったら「ふ~ん、お幸せにねえ」くらいで終わらせたのに、クッソ
まあでも大丈夫、そんなしょっちゅう会うはずないし他人のフリしてればいつも通りだ
・・・こういうシチュエーションて普通トキメクのかな?
昔の元彼氏に再開してキャッ嬉しい!とかなるのか、残念ながら私には一切そういう感情はない
むしろ櫻井とは友達にすら戻りたくないくらい会いたくない相手だった
まあそんな理由とかもうどうでもいい、これ以上深く関わる予定はない
私はそう自分に言い聞かせながら何事もなかったかのように家に帰りゲームをして寝た
次の日、普通に起きてバイト行く準備してスマホいじりながらバイトに行って
いつも通りの時間割。そしてバイトも終わって帰ろうとした時だった
≪今ね、矢代さんいたら呼んでくださいって言ってきた男の人いたよ?店前にいる≫
「私友達少ないしもしかして物好きなストーカーじゃないですか?」と冗談交えて見に行ったら
(なーーーーーんでアイツがまーーーーたいるんだよーーーーーー)
そこにいたのは櫻井だった。性格悪すぎか^~
無視して帰ってやろうと思ったが、先輩がいる前でそんな外道な行為はできない。
「こんばんは、今日なぎさちゃんお休みですよ」
〈そんなん知ってて来てるに決まってんじゃん、矢代みなさん〉
(あ~・・・嫌い^^)
「私を待ってるって聞いたんですが、ご用件は」
早く要件話してとっとと帰れと思っていた
〈俺さあ、まだお前のこと引きずってんだよね〉
・・・・・・・・・はあ?・・・・・・・
こいつ今なんて言った、どの口がどんな顔で
怒りを超えて呆れだった。
「振ったのはそっちからだし、引きずってるとかただのバカだよ」
笑えもしないし冗談も通じないくらい感情が冷めきっていた
嫌いを超えると興味すら湧かなくなるとはまさにこのことかと実感させられた。
〈うん、冗談だよ(笑)〉
「ああ、そう。それだけなのね?おやすみなさい」
一方的に会話を遮断し、何事もなかったかのように着替え室に戻った
≪今の彼、なぎさちゃんの彼氏じゃなかったっけ?矢代ちゃん知り合い?≫
「ああ、まあ昔の友人です。なぎさちゃんいないよって伝えたら帰りました」
≪シフトなんてLINEで本人に確認すればいいのにね~(笑)サプライズ的なのが好きなのかしらね≫
「そうですね~。」
(ああ、本当にどうでもいい。)
早く家に帰っていつもの時間割通り過ごしたくて急いで着替えた。
小学校は別だったが塾が一緒で櫻井と矢代は仲良しだった
中学で同じになり、付き合い始めて、高校は別になって別れたという
まあそこらへんによくいるようなカップルだった
高校に上がってからお互い忙しくなり連絡が途絶えはじめ
すれ違いが重なって自然消滅という言い方が一番近い気がする
正直、もう一生会うことなんてないと向こうも思っていたはずだ。
お互い同窓会にも参加しないメンバーで
顔を合わせたくないと意識していたからだと思う。
そんな風に避けてた結果これだ、こんな小さなキッカケで遭遇してしまった。
神様はなんてイタズラをするんだ、こんな偶然いらないです。
櫻井に会って一層男が嫌いになりました、どうしてくれるんですこのままだと私独身決定ですよ!
軽く苛立ちながら洗濯物をバフバフを伸ばしながら干していた矢代だった。