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序章~女々しく夢を語るやつは死ね!~

「ちこくちこくぅ~!」

俺は自転車を漕いでいた。目の前には十字路。

そして、そこを通りかかると、食パンをくわえた美少女がぶつかってくる。その少女は転校生で、俺のとなりの席に座って「君、あのときの!」ってなるんだ。

そんな妄想をしながら、十字路に通りかかる。

ドンッ!

俺にぶつかってきたのは食パンをくわえた美少女ではなく、二トントラックだった。

俺は自転車ごとグシャグシャになりながら、ぶっ飛んで死んだ。


☆★☆★☆★


「──く...ここは...」

俺は目を開ける。俺の目の前にいたのは額にゴーグルを付けた金髪の美少女!

「よかった!目が覚めたみたいね。君が道端に倒れてたから連れてきたんだ」

「ここは...?」

「まさか、記憶喪失!?」

記憶喪失というわけではなかったが、ここは見知らぬ場所だった。

RPGに出てくる村人の家、といった感じの部屋だ。

まさか、あれか!?異世界に転生しちゃった的な?俺は伝説の勇者で、この美少女と旅をして、魔王を倒して世界救っちゃったりしちゃったりする的なあれなのか!?

「...いよいよ怪しくなってきたわね」

少女は、ぶつぶつ呟いている。

「あの」

「あ!ごめんね!ちょっとこっちに来てくれる?」

起き上がり、少女のあとについていく。

「な、なんだよこれぇ!?」

そこにあったのは村感溢れる部屋には不釣り合いな駅の改札口のような形をした近代的メカニックだ。

「とにかくテストしなきゃ。そこを通ってくれる?」

「ああ」

俺はとりあえず少女の指示にしたがって、機械の間を通った。

ブゥー!ブゥー!

突然耳障りなブザーが鳴り響き、部屋の照明が危機感を煽る赤へと変わる。

「やっぱり!」

少女が叫ぶ。

「いったい、どうなってるんだ!?」

俺は後ろの少女を振り返る。

そのとき!

改札口のような近代的メカニックが、ウィーンというモーター音を立てながら鳥籠のような形に変形し、俺を閉じ込めた!

「動かないで!それ以上動いたら、とげとげが檻の内側にジャキンってなって、グサッて死ぬわよ!」

少女が俺を睨みながら言った。

俺はとにかく一ミリも動かないことにした。"だるまさんが転んだ"をやっている気分だ。

「最後の質問だ」

後ろから、落ち着いた低い声が聞こえた。あの"デデンデンデデン"というBGMが聞こえてきそうな声だ。

緊張で俺の全身から汗が吹き出す。

「おまえは転生者か」

「た、た、多分!多分そうだ!」

「ならば死ね!」

ガッシャァアアアアン!!

──なにが起こった?──

世界がスローモーションになる。俺の目の前に躍動する赤い塊が飛び出てきた。心臓...?俺の──

後ろに立っていた男の拳が、檻ごと俺の左胸を貫いていた。

俺の意識は闇にとけ、二度と目覚めることはなかった。

俺は再び死んだ。


☆★☆★☆★


「助かったわ、ジャック」

胸にぽっかりと穴を開けて血だまりのなかに倒れる男の死体を眺めながら金髪の美少女カーナビーは言った。

「本名で呼ぶなといつも言っているはずだ」

ジーパンを履いた逆三角形の超筋肉ボディの男が言った。

「わかった、マッスル」

カーナビーの返事を聞く前に、マッスルはいなくなっていた。

カーナビーは半ば呆れながら建物の外へ出る。

そのとき!

「待っていたぜ!お嬢さん?」

「俺たちは知っているんだ!おまえがあの筋肉野郎と組んで、俺たち転生者を殺していることをなぁ!?」

二人は、そっくりな見た目をしていた。筋肉に覆われたボディのがっしりした男だ。一人は右腕、もう一人は左腕が、極端に発達していて地面につくほどの長さと丸太のような太さがあった。

「俺は右肩のジョー!」

右・肩・の・ジ・ョ・ー!

「俺は左肩のサム!」

左・肩・の・サ・ム!

「「二人合わせてショルダー兄弟!!」」

「転生前の世界で野球部をやっていた俺たちの肩はとても強い!!」

「そして、俺たち二人のコンビネーションで無敵!そういうことだ!とりゃあ!!」

二人はカーナビーに、殴りかかる!

「きゃあああ!!」

吹き飛び、壁に打ち付けられるカーナビー!

「ハハハ!!さぁ、教えてもらおうか!なぜおまえらは、俺たち転生者の命を狙ってるんだ!」

「教えろ!さもないとおまえの命はな──っつがあああああ!?」

右肩のジョーが吹き飛ぶ!

「なぜ転生者を殺すか、だと?」

「お、おまえは、マッスル!」

左肩のサムが狼狽える。

「おまえら転生者は、だいたい前の世界ではろくなことをしてこなかったクズだ!どこの世界に来ようが、どんな能力を持っていようが、おまえらの本質がクズであることに変わりはない!だから死ね!」

「黙れぇええ!」

左肩のサムが飛びかかる!

だが、マッスルは最小限の動きで避けると、サムの発達した左腕を片手で掴み、へし折った!

「うでがああああ!!」

サムは地面に転がりのたうちまわった。

「よくもサムを!!」

右肩のジョーが、マッスルの背後から迫る!

しかし、マッスルは振り返ることすらしなかった。

「うでがああああ!!」

ジョーは地面に転がりのたうちまわった。

マッスルは、ゆっくりと振り返るとジョーの頭を掴み持ち上げる。

「やめろー!何をする!!」

マッスルは、ゆっくりと振り返るとサムの頭を掴み持ち上げる。

「やめろー!何をする!!」

「ねんねしな!」

ガンッ!

ジョーとサムは互いに頭をぶつけ、頭蓋骨が砕け散って死んだ。

彼らもまた、二度と転生することはなかった。

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