◆01 現地調査から
ゲームの基本。
それはlevelを上げることでは無く、現地調査だ。
と、独自の考えを実行すべく、近くで農作業に勤しむ老人に訪ねてみる。
「あの、ここはどこですか?」
〔ここかい? ここは始まりの村さ〕
うん。
ここは始まりの村だそうだ。
確かに宿屋と武器屋はボロボロだし、ぴったりなネーミングだ。
まさに、ゲームの最初の地そのものだ。
「それで、依頼はありませんか?」
〔依頼なら、隣町の依頼所に行きな〕
それだけ言うと、畑仕事へと早々と戻っていく。
結構な年寄に見えるが、背中には重そうな鍬を担いでいる。それに、よくみたら遠くのほうでは、別の老人が野菜を詰め込んだ荷車を軽々と引いていた。
あの、そこは土の上でデコボコしているからそんな楽じゃないはずじゃあ。
……――。
考えを改めよう。
ここはゲームの世界。
何かがおかしくてもそれは普通だ。
……アンダースタンド?
「おけ。ここは異世界だ。僕の常識なんて通用しない」
と、決意を新たにし、とりあえず隣町へと向かった。
◆
隣町はそれなりに大きい。
都会とまではいかないが、それでもちょっとした町だ。
様々な屋台に、様々な食べ物が置かれている。
野菜に肉、それに惣菜もあるみたいだ。
そして、食べ物の横には5アバンと書かれていた。試しに他の屋台も見ると数字だけが異なるが、アバンは同じだった。
どうやらアバンは、この世界の通貨の単位みたいだ。
そして、よくよく見ると金属の塊、何かが描かれたものを商人に渡している。
おそらくは、それがお金か。
僕もこの世界で生きていくためには必要となるはずだ。
そして、それを稼ぐにはギルドで依頼を受けて報酬を貰うしかないだろう。
だがどれがギルドがわからない。
なんせ、建物が多すぎるって程でもないが、それなりにある。
一つ一つ見ていたら、日が暮れそうだ。
「すみません、依頼所はどこですか?」
〔依頼所? それなら、あの馬鹿でかい建物だよ〕
「ありがとう」
道行く人に試しに聞いてみた。
確かに遠くに馬鹿でかい建物がある。
それが依頼所らしい。
早速向かい、そして入ってみた。
中は広々としていた。
中央には円状の巨大な掲示板が置かれており、多くの人たちが見ていた。
そして、入り口から一番遠く。
そこにカウンターがあり、そして受付員が座っている。
見たところ、依頼書を掲示板から破って持って行き、依頼を受けるみたいだ。
試しに依頼書を見てみる。
・――
薬草採取依頼。
町より離れたカルカン草原に生える薬草の採取依頼。
《報酬》1ギロ、10アバンから。
依頼主・薬屋のナバレ、薬屋のマミック。
――・
・――
魔物討伐依頼
町より離れたカルカン草原にはびこるガルガンの討伐依頼。
《報酬》1体、100アバンから
最大10体まで。
※制限なし、ただし命の保証はしません。
依頼主・王都オレリア
――・
うん、なんだかこれは危険な気がプンプンする。
まず薬草採取。
これはいいだろう。
安全だ、それに簡単だ。
だが、魔物討伐と同じ場所だというのを除けば……。
そもそもガルガンってなんだ?
魔物討伐というからには、狂暴な生物だとは思うが、想像もつかない。
そして、報酬。
はたして100アバンは適正価格なのだろうか?
よもや、安すぎるってことはないよな……。
「――……」
どうしよう……。
とりあえず、他の依頼も見てみるか。
それで判断しよう。
・――
ギルド募集依頼。
夜猫の灯。
募集人数2人。
魔法士優遇。
《報酬》1カ月・1800~2050アバン
3カ月・6000~8000アバン
※能力によって変更有。
依頼主・夜猫の灯
――・
うん。これは、無理だ。
流石に能力値が0の僕が入れて貰うことができるわけない。
・――
魔物討伐依頼。
赤竜の捕獲を求める。生死は問わず。
《報酬》1体につき、最低10000アバンから。
状態によって変動有。
Sランクのみ、命の保証はしません。
依頼主・ガレル王国、武器商会アンダス
――・
うーん。
赤竜が10000で、ガルガンが100。
計算では赤竜の強さの100分の1ってことか?
よくわからない。
まあ、とりあえず実験がてら薬草採取依頼を受けるか。
仮にガルガンに合っても、死ぬことはないだろうし……?
「あの、依頼を受けたいんですが……」
〔それなら、ギルド証、もしくは、会員カードを提示してください〕
「……持ってないです」
〔それなら、発行します。名前は?〕
「トラウスです」
〔はい、こちらが会員カードとなります。本日は薬草採取依頼とのことですね。場所はカルカン草原と……それなら、出口を右に曲がって行けば着きますので……あと、これは袋です。薬草を入れるのに使用してください〕
「はい」
〔では、いってらっしゃいませ、冒険者さま〕
と、なんとか依頼を受けることが出来た。
1ギロがどれくらいかわからないけど、まあ、出来る限り集めればいいか。
……あ、そうだ。
その前に、少しばかり僕の能力がどうなのかについて聞いてみるか。
「すみませんが、能力値について聞いてもいいですか」
――――・
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