第2話
どうやら生まれ変わってしまったらしい、しかも前世の記憶を持って。とはっきりと断言出来るようになったのはそれから二週間程経ってからだった。それでもなかなか信じられるものではない。
母?やその他の人たちの話を聞くに、どうやら私は“レイナ・コントル”という名前で新たな生を受けたらしいのだけど、未だに自分の顔を見たことがない。
名前からして、私が慣れ親しんできた日本のものではないことがわかった。何より、母の顔立ちがまず日本人のものではないし。
そして、最も謎なのは
どうやら私の地毛が水色っぽいってことだ。
枕元に落ちる短くて細い毛を見て驚愕したのは記憶に新しい。こればっかりは全く理解出来ないんだけど、遺伝なのか、そもそも母はあの水色が地毛なのか。そもそも人間って地毛が水色ってありえるの?
ここは日本ではない、それは理解出来た。でもそうなると出てくるのは、日本語通じてるのは何故?となる。ここまで謎が出てくると、ファンタジーな世界にでも転生してしまったのかと錯覚してしまう。でも、そうだったら少し楽しみでもある自分がいたりもする。
そんな悶々とした日々を過ごしていたある日。
「レイナ、ご飯よ」
「あぅ」
中身が高校三年生なだけに、最初は母とはいえ、私からすればお姉さんのおっぱいを貰うというこの時間が苦痛だった。それでも今ではなんとか慣れてきている。でも正直、そろそろ美味しい普通の食事がしたい。身体的にはアウトだけど。
「美味しい?」
やめて、聞かないで…と思いつつ生きるために食事をする。早く食事を終えたくて、ごくごくと飲もうとするがそれが災いした。
「っけほ!げほげほ!!」
むせた。
ひええ苦しい。この体でむせるというのはとても大変なことだと知る。母よ、ヘルプ。
「やだ!大変」
そういうと母は慌てて、何やらぶつぶつと呟きだす。何してるんだ、早く助けて。
「…今、かの者に加護を授けよっアクアヒール!」
母がそう言い放つと、すっと胸の違和感が消えて呼吸が安定する。
「大丈夫レイナ?」
そっと私の顔を除き混んでくる母の表情は真剣そのものだ。
「あばば!?」
ちょっとお待ちよお母さん。なんだ今の厨二くさいのは、俗に言っておまじない的なの?
「まだ苦しい?ごめんね、私回復魔法苦手なのよ」
ま ほ う ですって?
未だに母はしきりに心配をしてくるが、正直こっちはそれどころではない。魔法ってなに。母上は心の病でも患ってらっしゃるのかしら?けど、それだとさっきの違和感の解消が説明出来ない。
え、何ここファンタジーの世界なの?
「ふぉおおおお!!」
私のテンションが急上昇したのは言うまでもない。