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社畜転生 〜魔物と為りて世界を覇す〜  作者: ただの酒呑み
第1章 魔族ゼルド顕名編
4/28

4.上級魔物との邂逅

▪️魔王軍体制

・魔王

・七大魔将(それぞれが十万体規模を掌握)

・魔族(一万体規模を掌握)

ーー以下が魔物

・上級魔物(五百-千体規模を束ねる)

・中級魔物(百体規模を束ねる)

・下級魔物(最下層、細かくは更に階級あり)

 黒鉄の腕輪を嵌めた俺は、村の広場に立ち、深刻な面持ちで考えていた。


 ーーああ、腹減ったな。昨日から何も食ってねえな。魔物って何食うんだ。吉野家ないのか…。


 広場ではざわめきが走っている。徴兵所での一幕を見ていた野良や下級たちが、恐る恐る視線を寄越す。


 翼を広げただけで魔王軍に入った存在――それが彼らにとっての俺、ゼルドだ。


「……すごい。あの中級が、あそこまで怯えるなんて」

 ラグが震え混じりの声で呟いた。


 だがその直後、重く響く足音が村に迫った。


 広場の端。石造りの建物の影から、巨躯の魔物が姿を現す。


 立派な毛皮。額に湾曲した一本角。

 両腕には鎖のような筋肉が絡み、深紫色の目が鈍く光る。

 ――オークというやつか。


「……あれは」

 ラグが顔を伏せて囁く。


「この村出身の上級魔物、ガルザーク様です……八百を従える大隊長」


 上級ーーこんなに早く出会えるとは。


 ガルザークは一瞥しただけで俺を射抜くように見据えた。

「……新顔だな。翼に鱗。下級の風貌ではないが……何者だ」


 その声は地響きのように重く、広場全体に圧を撒き散らした。


 俺は一歩踏み出し、静かに答えた。

「名はゼルド。今日、魔王軍に加わったばかりだ」


「……ゼルド」

 その名を転がすように呟き、ガルザークの口元に不敵な笑みが浮かぶ。


「面白い気配を持っているな。だが、魔王軍は遊び場ではない。力を示さぬ者に居場所はない」


 周囲が凍り付く。試すつもりだ。


 俺は肩をすくめ、口の端を歪めた。

「力、ね。……なら見せてやろうか?」


 背の翼をわずかに広げただけで、突風が土埃を巻き上げる。


 ガルザークの瞳が細くなった。

 次の瞬間、地面が揺れた――奴が一気に踏み込んだからだ。


 俺の目前に迫った巨拳を咄嗟に受け止める。

 掌と掌がぶつかり合い、空気が爆ぜた。

 

 刹那、考えが巡る。


 ーーあれ…?全然強くないな。


 しかし今こいつを殺しても、旨味はないはず。

 一旦は引き下がってやるか……。


 俺が力を弱めた瞬間、ガルザークも拳を引き、静かに笑った。


「……なるほど。新参にしては上等だ。だがまだ、上級の域には届かん」


 挑発めいた言葉。しかし、その目には確かに“認める色”が宿っていた。


 ガルザークは背を向け、低く言い放つ。

「早速部隊に配属してやる。初陣で血を流せ。……生き残れたなら、その名をもう一度呼んでやろう」


 そう言い残し、威圧感を背に去っていった。


 静寂が訪れる。広場にいた魔物たちが一斉に俺を見た。恐れと畏敬の入り混じった眼差し。


 ……悪くない。

 最短で頂点に行くには、こうして目立ちつつ、上に取り入るのが一番だ。


 ラグたちが恐れながら駆け寄る。

「ゼルド様……あなたは一体……」


 順調な出だしに満足しつつ、一方由々しき問題があった。


「……腹が減った」


「……!少々お待ちを……!」


 俺の声に慌てて用意されたのは……腐りかけた肉と一握の木の実。水すら濁っている。


「お前たちは普段こんなものを食っているのか……」


 ラグは俺をちらっと見て、悔しそうに答える。

「肉は……滅多に食えません……」


 ――この村なりのご馳走というわけか。


 どうやら、こちらの世界の格差は想像以上のようだ。

 あのガルザークの体躯を見る限り、強い者は満足な生活が出来ているのだろう。


 俺は異臭のする肉を噛みちぎり、宣言した。


「ラグ……安心しろ。こんな世界は俺が正してやる。……次の戦を見ておけ」


 ろくに喧嘩もしたことがないのに、不思議と自信が漲る。

 弱かった人間時代の反動なんだろうか。


「ゼルド様……!」


 ラグたちの期待の眼差しを受け止めつつ……俺は肉を吐き出した。


「臭えっ!」

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